2014年12月02日

第20回 12月2日 倉敷自然史博物館 江田伸司先生

今日から日本列島を急に寒気が多い、非常に寒い一日でした。バードウォッチングで野外活動だったので、生徒にとって非常に辛かったとようです。しかしながら、双眼鏡を使った経験は新鮮だったようで、鳥の姿を一生懸命追っていました。

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投稿者: 秋山繁治 日時: 16:38| | コメント (0)

2014年11月10日

生命科学基礎 国立感染症研究所 津田良夫先生

生命科学コース1年生対象に、昆虫生態の研究者である津田良夫先生に、蚊についての基礎知識、今年の都心で起こったデング熱の感染問題への研究者としてどのように対応したかについて話していただいた。

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投稿者: 秋山繁治 日時: 18:51| | コメント (0)

2014年09月10日

2014年度授業「生命」 3学期の講師

第21回 1月13日 菅原文昭(兵庫医科大学)
第22回 1月20日 金重美恵子(岡山中央病院)
第23回 1月27日 原明子((「ESD推進のための公民館-CLC国際会議」事務局)
第24回 2月10日 中島由佳(大手前大学)
第25回 2月17日 東優子(大阪府立大学)
第26回 2月24日 中塚幹也(岡山大学)
第27回 3月3日 山根辰朗(やまね動物病院)

投稿者: 秋山繁治 日時: 07:22| | コメント (0)

2014年09月02日

第11回 「脊椎動物の終脳の起源と進化」 村上安則(愛媛大学理学研究科)

「脳は発生学的にどのように進化してきたか」をテーマに研究を続けている村上先生の講演でした。話題は、恐竜まで及び、学術的には鳥類は恐竜の進化形で「今の時代も恐竜が生きている」と言えのだという意見が印象的でした。

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【生徒の感想】
 夏休み中に、愛媛大学に行き、「生物環境試料バンク(es-BANK)」という研究施設があるということを知りました。愛媛大学での研究に興味があったので、今日のお 話を楽しみにしていました。 「脳」といえば、ヒトの脳を私はすぐに思いつきます。ですが、今日のお話の最初に、たくさんの動 物の脳の写真を見て、様々な形があり、同じ「脳」でも違うということをまず、知りました。さらに、脳のパーツの名前について知り ました。今までは、大きく「脳」という一括りとして「脳」と考えていましたが、今日のお話で小さなパーツが集まって「脳」という 1つの臓器を作っているということを知ることができてよかったです。また、動物の体の構造は違う点が多いのに対して、脳の構造は 同じということを聞いて、脳は、不思議な臓器だと感じました。
 次に、動物の種類ごとに脳のパーツの発達している部分が違うということを知りました。嗅球が大き いことで嗅覚に優れていたり、小脳が大きいことで体のバランスや動きを制御に優れていたり、中脳が大きいことで視覚が優れていた り、終脳が大きいことで視覚・味覚・触覚の情報を処理するために大きく進化したことが分かったり、と脳からわかることがあるとい うことを知りました。また、赤外線を感知するヘビについてのお話が驚きました。一部のヘビは、ピット器官というところで熱を感知 し、熱を視覚的に見ているということが不思議でした。「脳」は、情報を処理して考えるという大切な臓器だと思っていましたが、1つ1つの部分について詳しく調べると、脳がどのように大切なのか、ということを知ることができました。
 また、脳の研究で2つの方法について聞きました。方法の1つに、今生きている動物の発生時の脳の違いを調べ、脳をつくる遺伝子を調べたり、脳をつくる過程を 調べたりするという方法がありました。同じ点があったら、過去から今までに受け継いでいることがわかり、違う点があったら、進化 して変わったということが分かるとおっしゃっていました。例えば、1番原始的な生物と言われている円口類のヤツメウナギとマウスの脳について調べると、脳をつくる遺伝 子が発現する場所について、同じ点が多いが、終脳では2つの動物に違う点があることが分かっているそうです。わからないことを調べるためには、今あるもの で調べないといけないので、その方法は一般的なものではないかと思いました。さらにもう1つ方法があるとしたら、過去の脳から…と思っていたら、その通りでした。もう1つの方法は、化石から脳の形を推測して、調査するという方法でした。その調査から、今いる動物の祖 先である動物の脳の構造や末梢神経の形態は、今の動物と同じだそうです。さらに、私たちの祖先は、鼻の穴が前の方にあったので、 スペースがほかの動物よりもあったおかげで、脳が大きく進化したとおっしゃっていました。大昔から少しずつ進化してきた結果が、 今生きている私たちだと思うと不思議でした。また、恐竜のティラノサウルスも化石によって調べられているということにびっくりし ました。骨の空洞から脳の構造を3Dで表現することができるそうです。そこからの研究で、ティラノサウルスは嗅覚が優れていたというこ とが分かるのが本当に不思議な感じでした。
 今日の講義の時間は、脳の不思議から進化の不思議まで、今の私たちの存在に関わるお話を聞くこと ができてよかったです。脳については、まず、いろいろな形があることから驚きでした。私たち、ヒトの脳は、動物の脳の話の中で は、ほんのちょっとの話だったのだなと感じました。進化については、化石から脳について調べて、ある部分は変わっていないけど、 他のある部分は違っているとわかるということが不思議でした。そこから、進化の不思議さ、素晴らしさを感じました。今、私たちが 存在していることですら、不思議に感じます。脳の不思議さを感じることができ、よい時間を過ごすことができました。(Y.Yさん)

投稿者: 秋山繁治 日時: 18:12| | コメント (0)

2014年08月26日

第10回 「再生の研究」 牧 信安(大阪大学蛋白質研究所)

イモリを材料に再生の研究をしている研究者から、再生についての生物学的な基礎を学んだ。

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投稿者: 秋山繁治 日時: 16:26| | コメント (0)

2014年08月25日

2014年度授業「生命」 2学期の講師

授業「生命」の8月から12月の講師が決定している状況です。

第10回 8月26日 牧 信安(大阪大学蛋白質研究所)
第11回 9月2日 村上安則(愛媛大学理学研究科)
第12回 9月9日 瀧川奈義夫(川崎医科大学)
第13回 9月16日 岡 三喜男(川崎医科大学)
第14回 10月7日 加藤茂明(相馬中央病院)
第15回 10月21日 狩山俊吾(倉敷自然史博物館)
第16回 10月28日 橋本主税(JT生命誌研究館)
第17回 11月11日 秋山繁治(本校)
第18回 11月18日 篠崎尚史(日本臓器移植ネットワーク)
第19回 11月25日 矢部隆【愛知学泉大学) 
第20回 12月2日 江田伸司(倉敷自然史博物館)

投稿者: 秋山繁治 日時: 13:32| | コメント (0)

2014年04月16日

7月15日授業「生命」の田崎和江先生からメッセージ

9月はイタリアの世界湖沼学会で「福島の津波と放射能汚染を受けた水田について」発表します。
10月は3女の初産でおバーちゃん業をしなければなりません。海外学術誌に掲載された論文2編の別刷りに日本語をつけたもの、福島の除染活動の道のりを掲載してもらった新聞記事を一括して冊子にしたもの、「原発事故から3年、私たちは何を学んだか」の普及書を作りました。
 清心の授業「生命」では、英語,科学、生命、環境修復、女性研究者の立場―――をキーワードとした講義をしたいと思います。よろしくお願いいたします。

河北潟湖沼研究所(金沢大学名誉教授) 田崎和江

投稿者: 秋山繁治 日時: 11:49| | コメント (0)

2014年04月10日

2014年度授業「生命」 1学期の講師

授業「生命」の4月から7月の講師が決定しました。

第1回 4月15日 秋山繁治(清心女子高等学校)
第2回 5月13日 秋山繁治(清心女子高等学校)
第3回 5月27日 真辺(女性フォーラム)
第4回 6月3日 萩原弘子(大阪府立大学)
第5回 6月10日 西平孝史(彫刻家)
第6回 6月17日 青樹恭(フリー・ライター)
第7回 6月24日 乙竹文子(岡山メディア・フォーラム)
第8回 7月1日 乙竹文子(岡山メディアフォーラム)
第9回 7月15日 田崎和江(金沢大学名誉教授)

投稿者: 秋山繁治 日時: 21:34| | コメント (0)

2014年03月31日

2013年度 授業「生命」の実施内容

2013年度の授業「生命」が終わりました。毎年多くの先生方にお世話になって、この授業は成立しています。本当に感謝です。

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投稿者: 秋山繁治 日時: 16:52| | コメント (0)

2013年12月03日

第10回授業「生命」動物の観察(倉敷市自然史博物館 江田伸司)

自然観察nの第2回目として、学校周辺の水田地域に飛来する鳥の観察をおこなった。最初に双眼鏡の使い方など学び。鳥の観察の仕方の基礎知識や鳥の区別するポイントを学んだ。

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投稿者: 秋山繁治 日時: 17:54| | コメント (0)

2013年11月18日

「生命科学基礎」 蚊の生態 (国立感染症研究所 津田良夫) 

 生命科学コース1年生の課題研究関連の講義が始まりました。第一回は津田良夫先生の蚊についての話でした。内容は、蚊の分類、蚊の生態、ビデオで蚊の吸血の様子やボウフラの採餌、震災後の蚊の発生など多岐にわたっており、楽しく聞かせていただきました。

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投稿者: 秋山繁治 日時: 20:22| | コメント (0)

2013年09月10日

第12回授業「生命」 消化器がんの外科治療(川崎医科大学教授 平井敏弘)

癌についての講義2回目。今回は、胃がんを中心に話していただいた。講師の平井先生は、手術の映像に生徒がショックを受けないか心配していたが、生徒の方は、手術の技術に興味があったようで、「胃を縫った後、糸はどうなるのか」、「手術中に心臓が止まったら、直接手で心臓をマッサージするのか」、「メスで切るときに、皮膚に傷が残りにくい方向はあるのか」などの質問をしていた。

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投稿者: 秋山繁治 日時: 18:37| | コメント (0)

2013年08月31日

2013年度 授業「生命」 9月から12月の内容

9月3日(火) 第11回 がんの話(川崎医科大学教授 山口佳之)
9月10日(火) 第12回 消化器がんの外科治療(川崎医科大学教授 平井敏弘)
9月17日(火) 第13回 (愛媛大学準教授 村上安則
9月24日(火) 第14回 「自由」について考える(本校教員 秋山繁治)
10月8日(火) 第15回 放射能と生命(金沢大学名誉教授 田崎和江)
10月22日(火) 第16回 カメの話(愛知学泉大学教授 矢部隆)
10月29日(火) 第17回 臓器移植の話(日本臓器移植ネットワーク 篠崎尚史)
11月12日(火) 第7回 植物の観察(倉敷市自然史博物館 狩山俊悟)
11月19日(火) 第8回 ジェンダーを考える(大阪府立大学教授 東優子)
11月26日(火) 第9回 視点を変えて考える(JT生命誌研究館 橋本主税)
12月3日(日) 第10回 動物の観察(倉敷市自然史博物館 江田伸司)

投稿者: 秋山繁治 日時: 13:49| | コメント (0)

2013年07月02日

第10回「生命」 仮設被災民は大丈夫なのか(相馬中央病院 加藤茂明)

 福島県相馬市での、浜通りの人たちの放射線被爆と医療の現状について、現場の病院で経験したことを話していただいた。岡山県から東北地方は遠いので、なかなか生徒たちは、被災地の状況を実感として理解しにくい。今回の話は、生徒たちにとって被災者のことを理解してもらうということで重要であったと思う。

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投稿者: 秋山繁治 日時: 19:41| | コメント (0)

2013年06月18日

第8回「生命」 メディア・リテラシー①(メディアフォーラム岡山・乙竹文子)

この講義は2回連続で、テレビなどの映像を分析し、社会的な問題について考える視点を学んでいる。今回は、コカコーラのコマーシャルを題材に視聴し、議論した。

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【生徒の感想】

今日は、乙竹先生が来られて、「メディアリテラシーとは何か?」についての前半の講義でした。
 まず、なぜそんなことを学ぶのかというと、そういう社会になったからです。現代は誰も経験したことのないメディアが偏在する「メディア社会」です。メディアリテラシーとは、社会が現在どのような状況にあり、社会にとって何が重要であるか考える事です。国連は、21世紀の課題として、メディアリテラシーを位置づけたそうです。メディアは社会的なものであって、単に個人的なレベルでは収まらないものです。私たちは、メディアが人間の生活の全体を覆いつくす中での生活を強いられています。
 現在はメディアが日常的に深く入り込む社会です。その為、私たちはグループでディスカッションしてくださいと言われた時に、普通にディスカッションを始めていました。メディアに左右されず、自分自身を生きることは、簡単なことではありません。メディアに左右されないためには、メディアに主体的,能動的になることが必要です。メディアリテラシーは実践しないと身に付かないものです。それぞれのメディアに特性,テクニックがあります。
 私たちは私たちの現実を生きているのではなく、メディアによって構成された『現実』を生きています。メディアリテラシーを学ぶ上で不可欠なメディアリテラシー分析のためには、生産・制作,メディアテクスト,オーディエンスの三つの要素を視野にいれることが大切です。それによってメディアが作り出す『現実』が見えてきます。
 メディアリテラシーを学ぶ方法は、グループで話し合うこと・能動的に参加すること・対話による学習をすることです。グループで活動することで、たくさんの人の異なる意見などを聞くことができます。対話による学習では、他人の意見に対して、NOとは言わず、自分にない知識を足していくことが大切です。
 メディアリテラシーの取り組みにおいて発せられる「問いかけ」の「正答」,「正解」はありません。なぜなら多様性が大切だからです。
 今回皆で話し合った結果、みんな「コカ・コーラ化された世界」を生きていると感じました。

投稿者: 秋山繁治 日時: 19:56| | コメント (0)

2013年06月11日

第7回「生命」 免疫についての研究(大阪大学・Dr. Keber)

大阪大学医学部のポスドク・Dr.Keber先生に国の文化や教育システム、そして免疫の研究について話していただいた。

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【生徒の感想】 
 今回の講義では外国の方がお話してくださるということで、一体どんな内容なのか楽しみなのと同時に、英語がきちんと聞き取れるかがとても心配でした。でもわたし達にも分かり易い英語や表現を選んで話してくださり、とてもフレンドリーなお二人だったので、それほど構えることなく楽しんで講義を受けることができました。
講義の内容としては、前に授業で教わった範囲だったのですんなりと頭に入ってきた気がします。でも発展的なことや、かなり専門的な内容も含まれていて、とても勉強になることが多かったです。
特に最後に説明してくださった、細胞の研究の話がとてもおもしろく、機会があればもっとお話を聞いてみたいと思いました。
 そしてなんといっても、講義中ずっと通訳をしていただいていた方の英語力が素晴らしかったです。講師の先生がおっしゃったことをその場で、しかも面白く説明してくださってより理解が深まりました。
ボルネオ研修に参加した時も周りの人の英語力にたじたじだったことを思い出し、英語力の大切さを改めて痛感しました。英語ができればどこへだって行くことができるし、何よりも自分の世界が広がると思います。
 お話してくださったお二人がおっしゃっていたように、私も積極的に物事に取り組み、「使える英語力」を身につけていきたいと思います。
また、スロベニアという国について知ることができ、英語での講義は私にとって学ぶことが多く、今回の講義に参加できて本当に良かったと思いました。

投稿者: 秋山繁治 日時: 19:32| | コメント (0)

2013年06月04日

第6回「生命」 性について考える(フリーライター・青樹 恭)

女性同性愛者として生きてきた経験や性について考えてきたことをフリーライターの青樹恭さんに話していただいた。生徒たちにとって、生物的な性やジェンダーについて考える貴重な時間になった。

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【生徒の感想】
 なぜ、身近に同性愛者がいないと思っているのかというと、そういう人が言わないから。なぜ言えないのかというと社会がそういう雰囲気みたいなものを作っているからです。人は、社会という言葉の陰に隠れているだけで、結局は私たちのことです。言わないからといっていないものとしていいのかというとそうではないと思います。
 セクシュアリティは多様で、内面的な性別と外面的な性別が違う人がいたり、ある時は男である時は女だと思っている人もいます。
 人は名付けることが好きだから「レズ」とか「ホモ」とか名付けて、差別の対象にします。ドイセクシュアルの人は、最も大切なのが性別以外の基準であるというだけの話だと聞いて、確かに基準が違ったら、好きになる対象も変わってくるし、それは個人個人の決めることで社会が差別するの対象にするようではいけないと思いました。
 「普通」「一般」という言葉によって、そこから外れている人は、生きづらさを感じているそうです。世の中に普通という言葉があるからそういう人が悩み、少数派を差別する可能性も出てきます。「普通」という言葉はすごく便利で、相手も自分と同じ認識を持っていると考えて使う簡単な言葉です。「普通」を相手と比べると意外と違うものだったりします。ある条件下では普通であることが別の条件下では普通ではないこともあります。私も普段から「普通」という言葉を使うときに少しでも意識していきたいです。また、青木先生がおっしゃったように「自分が使っている普通とは何かを考える」、「いろいろな人のあり方を否定しない」、そして、「当事者が今、身近に存在するかしれない」・・・を意識していきたいです。
 自分の価値観だけで人を見たり、同意を求めたり、判断することが失礼に値したり、人を傷つけることもあるのだとということを再認識するいい機会になったと思います。

投稿者: 秋山繁治 日時: 19:23| | コメント (0)

2013年06月03日

2013年度 授業「生命」の4月から7月の内容

4月16日(火) 第1回 ワークショップ①(秋山繁治)
4月30日(火) 第2回 ワークショップ②(秋山繁治)
5月7日(火) 第3回 彫刻について考える(彫刻家・西平孝史)
5月14日(火) 第4回 闇の子供たち・命について考える(秋山繁治)
5月28日(火) 第5回 ボーヴォワール『第2の性』と性差について(大阪府大・萩原弘子)
6月4日(火) 第6回 性について考える(フリーライター・青樹 恭)
6月11日(火) 第7回 免疫についての研究(大阪大学・Dr. Keber)
6月18日(火) 第8回 メディア・リテラシー①(メディアフォーラム岡山・乙竹文子)
6月25日(火) 第9回 メディア・リテラシー②(メディアフォーラム岡山・乙竹文子)
7月2日(日) 第10回 東北大震災から2年が経って(相馬中央病院放射線対策室・加藤茂明)

投稿者: 秋山繁治 日時: 08:13| | コメント (0)

2013年05月28日

第5回「生命」 ボーヴォワール『第2の性』と性差について(大阪府大・萩原弘子)

授業「生命」は大阪府立大学の萩原弘子教授の講演でした。難解に感じられてきたボーヴォワールの名著『第二の性』について高校生にとってわかりやすい言葉でその意味を説明してくださいました。
http://www.human.osakafu-u.ac.jp/staff/red/r_hagiwara_hiroko

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投稿者: 秋山繁治 日時: 19:14| | コメント (0)

2013年03月01日

2012年度 授業「生命」の実施内容一覧

2012年度の授業「生命」は、2月26日の最終講義で無事に終えることができました。協力していただいた講師の方々に感謝しております。高校生に、「生命」について多面的な視点でその重要さを学んでもらうというコンセプトで実施しています。2013年度も、新たに魅力の増した授業になるように頑張って企画していきたいと考えています。

01.04月17日 第1回 オリエンテーション(秋山繁治)
02.04月24日 第2回 ワークショップ(秋山繁治)
03.05月08日 第3回 性について考える①(フリーライター・青樹 恭)
04.05月15日 第4回 性について考える②(フリーライター・青樹 恭)
05.05月29日 第5回 彫刻について学ぶ(彫刻家・西平孝史)
06.06月05日 第6回 野外彫刻調査(秋山繁治)
07.06月12日 第7回 野外彫刻の意味を考える(女性フォーラム・真邊和美)
08.06月26日 第8回 メディア・リテラシー①(メディアフォーラム岡山・乙竹文子)
09.07月03日 第9回 メディア・リテラシー②(メディアフォーラム岡山・乙竹文子)
10.09月04日 第10回 映画『DEAD POETS SOCIETY(いまを生きる)』(秋山繁治)
11.09月11日 第11回 脊椎動物の脳の起源と進化(愛媛大学・村上安則)
12.09月25日 第12回 外国人研究者による研究紹介(大阪市立大学・JSPS)
13.10月09日 第13回 ジェンダーについて考える①(大阪府立大学・東優子)
14.10月23日 第14回 ジェンダーについて考える②(大阪府立大学・東優子)
15.10月30日 第15回 臓器移植について考える(東京歯大市川総合病院・篠崎尚史)
16.11月13日 第16回 両生類の原腸陥入について(JT生命誌研究館・橋本主税)
17.11月20日 第17回 身近な植物を観察する(倉敷市立自然史博物館・狩山俊悟)
18.11月27日 第18回 カメの話(愛知学泉大学 矢部隆)
19.12月04日 第19回 身近な動物を観察する(倉敷市立自然史博物館・江田伸司)
20.01月15日 第20回 環境問題を考える(岡山の自然を守る会・友延栄一)
21.01月22日 第21回 ESDについて(岡山ESD推進協議会・原明子)
22.02月05日 第22回 学校飼育動物について考える①(内閣府日本学術会議・中島由佳)
23.02月12日 第23回 学校飼育動物について考える②(獣医師・山根辰朗)
24.02月19日 第24回 DVについて考える(大阪教育大学・野坂祐子)
25 02月26日 第25回 性同一性障害について考える(岡山大学・中塚幹也)

投稿者: 秋山繁治 日時: 11:25| | コメント (0)

2013年02月18日

「生命科学基礎」 動物の行動を調べる(福山大学生命工学部 渡辺伸一)

高校1年生対象の「生命科学基礎」では、高校2年生で取り組む「生命科学課題研究」で取り組む分野を選んだり、知識・技術を身に身に着けるための講義をおこなっている。今回は、動物の行動を調べる方法で、直接観察できない手法として、近年技術開発されてきたバイオロギング(ビデオやデータロガーなどの機器による記録)について紹介してもらった。

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動物の行動を調べるとは

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アザラシがごろ寝

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アザラシの潜水深度は?

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直接観察できないときに使う方法

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カブトガニの行動を解析する


投稿者: 秋山繁治 日時: 17:21| | コメント (0)

2013年01月22日

第21回「生命」 ESDについて学ぶ(岡山ESD推進協議会・原明子)

今年度、本校はユネスコスクールに加盟し、ESD活動にも学校として参加することになった。岡山ESD発足当時から、生物部は重点取組組織として活動してきているので、生命科学コースの生徒にもその活動の内容を知ってもらおうと思った。

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生命・・・いろいろあるのがいい(多様性)

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「ゴミ問題」を考えると

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「ゴミ」とは何か

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「ゴミ」の定義を考える

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グループに分かれて討議

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「ゴミ」の定義について発表

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地球社会のシステム

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持続可能な社会とは?

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世界の国々の「持続可能度」を点検


投稿者: 秋山繁治 日時: 15:52| | コメント (0)

2012年12月21日

2012年度 授業「生命」の1月から2月の内容

1月15日(火) 第20回 自然を守る会 友延栄一
1月22日(火) 第21回 岡山ESD推進協議会 原明子
2月5日(火) 第22回 学校飼育動物① 内閣府日本学術会議 中島由佳
2月12日(火) 第23回 学校飼育動物② 獣医師 山根辰朗
2月19日(火) 第24回 大阪教育大学 野坂祐子
2月26日(火) 第25回 岡山大学医学部 中塚幹也

投稿者: 秋山繁治 日時: 20:59| | コメント (0)

2012年11月13日

第16回「生命」 両生類の原腸陥入について再検討する(JT生命誌研究館・橋本主税)

高等学校の生物で学習する両生類の原腸陥入について、ノーベル賞を受賞したシュペーマンの観察を再検討するという講義内容であった。アカハライモリとアフリカツメガエル、ニワトリを材料に、詳細に胚発生を観察する大切さを学んだ。

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原腸陥入

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頭尾軸の決め方

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カエルが成体になるまで

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ニワトリの発生


投稿者: 秋山繁治 日時: 19:32| | コメント (0)

2012年09月02日

2012年度 授業「生命」の9月から12月の内容

9月4日(火) 第10回 映画『DEAD POETS SOCIETY(いまを生きる)』(秋山繁治)
9月11日(火) 第11回 脊椎動物の脳の​起源と進化(愛媛大学大学院理工学研究科・村上安則)
9月25日(火) 第12回 JSPS 外国人研究者による研究紹介(大阪市立大学・)
10月9日(火) 第13回 ジェンダーについて考える①(大阪府立大学人間社会学研究科・東優子)
10月23日(火) 第14回 ジェンダーについて考える②(大阪府立大学人間社会学研究科・東優子)
10月30日(火) 第15回 臓器移植について考える(東京歯科大学市川総合病院・篠崎尚史)
11月13日(火) 第16回 両生類の原腸陥入について再検討する(JT生命誌研究館・橋本主税)
11月20日(火) 第17回 身近な植物を観察する(倉敷市立自然史博物館・狩山俊悟)
11月27日(火) 第18回 カメの話(愛知学泉大学 矢部隆)
12月4日(火) 第19回 身近な動物を観察する(倉敷市立自然史博物館・江田伸司)

投稿者: 秋山繁治 日時: 23:46| | コメント (0)

2012年04月17日

第1回授業「生命」 いろいろな視点で考える 秋山繁治

 本校がSSHに指定されたI2006年4月に作成されたNWES(文部科学省・International Network of Women Engineers and Scientist)のDVD「理系に行こう!(You can do anything)」には、8人の女性の仕事と本人の生き方が紹介されている。その中の一人を紹介した。それは科学技術政策研究所の治部真理さんで、本校の卒業生である。本校からノートルダム清心女子大学文学部英文学科に進学し、大学の卒業研究でエマソンの著書「自然について」を読んで人間の意識を量子力学で捉える研究に興味をもち、スタンフォード大学のプリブラム教授のもとで研究し、成果をあげた。今は、若い科学者を養成する仕組みをつくることに取り組んでおられる。生徒に「自分のやりたいことを探すことの大切さ」を感じて欲しい。
 講義は、エイズのポスター、課題文を教材にして、ワークショップ形式で行った。


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DVD「理系に行こう!」

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ワークショップ


投稿者: 秋山繁治 日時: 17:37| | コメント (0)

2012年度 授業「生命」の4月から6月の内容

4月17日(火) 第1回 オリエンテーション(秋山繁治)
4月24日(火) 第2回 ワークショップ(秋山繁治)
5月8日(火) 第3回 性について考える①(フリーライター・青樹 恭)
5月15日(火) 第4回 性について考える②(フリーライター・青樹 恭)
5月29日(火) 第5回 メディア・リテラシー①(メディアフォーラム岡山・乙竹文子)交渉中
6月5日(火) 第6回 メディア・リテラシー②(メディアフォーラム岡山・乙竹文子)交渉中
6月12日(火) 第7回 未定
6月12日(火) 第8回 未定
6月26日(火) 第9回 未定

投稿者: 秋山繁治 日時: 06:20| | コメント (0)

2012年02月07日

授業「生命」 第22回 神戸薬科大学 小林吉晴先生

神戸薬科大学の小林吉晴先生の講義がありました。糖尿病などの病​気の兆候を尿や便、体の反応から判断する方法などを学びました。神戸薬科大学には、これまで毎年のように卒業生が進学させていただいています。

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病態生化学研究室の小林先生の講義

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尿や弁に病気を判断できる兆候が現れる


投稿者: 秋山繁治 日時: 20:20| | コメント (0)

2011年10月11日

授業「生命」 第14回 ジェンダー・スタディーズ② 大阪府立大学 東優子先生

東先生が最初に投げかけた質問は、「以下のメッセージについてどのように思いますか」というものだった。
A while back, at the entrance of agym, there was a picture of a very thin and beautiful woman. The caption was "This summer, do you want to be a mermaid or a whale?"
講義の中で、「今の社会がどのような女性像を求めているか」を再考し、そして、そのことに対して、あなた自身がどのように生きるか」という問いを生徒たちに投げかけてるくださっていると感じた。

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ジェンダーについて考える

投稿者: 秋山繁治 日時: 18:52| | コメント (0)

2011年09月09日

2011年度 授業「生命」の9月から11月の内容

授業「生命」では、医学、薬学、生物学、心理学、芸術などのいろいろな視点で生徒が「生命」について考えるための材料を提供するために企画したものです。講義、ワークショップ、心理テスト、校内の動植物の観察、野外彫刻の調査などで構成しています(毎週火曜日6・7時限)。

9月6日(火) 第10回 題材「今を生きる」(秋山繁治)
9月13日(火) 第11回 題材「パッチ・アダムス」(秋山繁治)
9月20日(火) 第12回 ジェンダー・スタディーズ①(大阪府立大学・東優子)
9月27日(火) 第13回 沖縄・西表の自然①(岡山県環境保健センター・中本敦)
10月11日(火) 第14回 ジェンダー・スタディーズ②(大阪府立大学・東優子)
10月25日(火) 第15回 植物の観察と採取(倉敷市立自然史博物館・狩山俊吾)
11月1日(火) 第16回 動物の観察と採取(倉敷市立自然史博物館・江田伸司)
11月15日(火) 第17回 沖縄・西表の自然②(愛知学泉大学・矢部隆)
11月22日(火) 第18回 臓器移植を考える(東京歯科大学市川総合病院・篠崎尚史)
11月29日(火) 第19回 ESD(岡山ESD推進協議会事務局・原明子)

投稿者: 秋山繁治 日時: 16:56| | コメント (0)

2011年06月30日

2011年度 授業「生命」の4月から6月の内容

4月12日(火) 第1回 オリエンテーション(秋山繁治)
4月19日(火) 第2回 ワークショップ(秋山繁治)
5月10日(火) 第3回 性について考える①(フリーライター・青樹 恭)
5月17日(火) 第4回 性について考える②(フリーライター・青樹 恭)
5月31日(火) 第5回 メディア・リテラシー①(メディアフォーラム岡山・乙竹文子)
6月7日(火) 第6回 メディア・リテラシー②(メディアフォーラム岡山・乙竹文子)
6月14日(火) 第7回 野外彫刻を考える①(女性フォーラム・眞邊)
6月21日(火) 第8回 野外彫刻を考える②(彫刻家・西平孝史)
6月28日(火) 第9回 岡山駅前で野外彫刻の調査(秋山繁治)

投稿者: 秋山繁治 日時: 19:23| | コメント (0)

2011年02月22日

授業「生命」 第26回 大阪教育大学 野坂祐子先生

2010年度最後の授業「生命」は、大阪教育大学学校危機メンタルサポートセンターの野坂祐子さんの「性暴力の理解・回復と支援のための第一歩」という演題での講義を聞き、その後でワークショップを体験しました。「性暴力は日本ではめったに起こらない」と認識されているが、女性の過半数はなんらかの性暴力を受けていりこと、そして、性暴力には、言葉による性暴力、性器露出、チカンなど、さまざまな形のものがあることを学びました。

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性暴力について説明

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性暴力には適切な対応が必要

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ワークショップ開始

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性暴力のケアについて意見交換


投稿者: 秋山繁治 日時: 19:05| | コメント (0)

2011年02月15日

授業「生命」 第25回 愛知学泉大学 矢部隆先生

矢部先生には、課題研究のカメ調査でアドバイスをいただいている。今回は、カメの起源から帰化種の在来種への影響などの環境問題に及ぶ広範な内容を扱った話を聞くことができた。

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カメの起源

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真剣な姿勢で聞き入る生徒たち

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帰化種の問題

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海外での帰化種の問題


投稿者: 秋山繁治 日時: 19:26| | コメント (0)

2011年02月08日

授業「生命」 第24回 京都大学大学院理学研究科 阿形清和先生

今年もプラナリアについての講義と実習を阿形先生にお願いした。発生生物学における最新の研究成果を、高校生にわかりやすく話していただいた。TAとして、本校の大学院後期博士課程2年生の岡本さんに実験の指導をしてもらった。

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京都大学の阿形先生の講義

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今日の実験材料プラナリア

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プラナリアは再生力をもつ生物

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高校教科書の再生の説明は正しいか?

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実験に取り組む生徒たち

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肉に集まってきたプラナリア


投稿者: 秋山繁治 日時: 19:37| | コメント (0)

2011年02月01日

授業「生命」 第23回 岡山メディアフォーラム 乙竹文子先生

1月18日に続いて、2回目の授業で、TVのコマーシャルを分析する実習を行った。

投稿者: 秋山繁治 日時: 19:38| | コメント (0)

2011年01月25日

授業「生命」 第22回 山口大学医学研究科 岩尾康宏先生

受精について、両生類の精子に先体反応を中心に、両生類による基礎的な研究の医学への応用の可能性まで話していただいた。

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テーマは、「両棲類の受精のしくみ」

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両棲類の分類

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始原生殖細胞の移動

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精子の先体反応

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センター試験に精子の先体反応が出題


投稿者: 秋山繁治 日時: 18:42| | コメント (0)

2011年01月24日

授業「生命科学基礎」 岡山大学理学研究科 富岡憲治先生

生命科学コース1年生対象の講義で、2年生の「時間生物学グループ」の課外研究に直接関連した内容であった。

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時間生物学で何を扱うか?

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概日リズムとは?

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時計の機構についての解析


投稿者: 秋山繁治 日時: 20:58| | コメント (0)

2011年01月18日

授業「生命」 第21回 岡山メディアフォーラム 乙竹文子先生

毎年2回シリーズで実施しているメディアリテラシー講座の1回目。テレビ番組から報道番組やコマーシャルを分析する実習も行っている。

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メディアリテラシーとは?

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なぜ、メディアリテラシーの必要性

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市民を取り巻くメディア環境


投稿者: 秋山繁治 日時: 18:39| | コメント (0)

2011年01月17日

授業「生命科学基礎」 国立感染症研究所 津田良夫先生

本校で、生物を担当していただいた津田先生は、長崎大学熱帯医学研究所を経て、現在国立感染症研究所で昆虫医科学部 第一室長をされている。昔、机の上に土をガラスで挟んだ容器に蟻を飼っていたり、生物室横のカイズカイブキに営巣するクモの生態を調べていた当時の先生の姿を思い出す。今日は、蚊が鳥マラリアの媒介しているという話を中心に、蚊の吸った血液のDNAを調べた成果などについて説明していただいた。

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動物園のペンギンのマラリア感染

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蚊の吸血嗜好性

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いろいろな蚊

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蚊の生息環境を解析

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どんな動物から吸血するか


投稿者: 秋山繁治 日時: 18:48| | コメント (0)

2011年01月16日

2011年度 授業「生命」の1月・2月の内容

1月17日(火) 第20回  金重惠美(岡山中央病院)
1月24日(火) 第21回  秋山繁治(清心女子高等学校)
2月7日(火) 第22回   小林吉晴(神戸薬科大学)
2月14日(火) 第23回  未定
2月21日(火) 第24回  野坂祐子(大阪教育大学 )

投稿者: 秋山繁治 日時: 15:21| | コメント (0)

2011年01月11日

授業「生命」 第20回 奈良女子大学理学研究科 荒木正介先生 

生物教科書でイモリのレンズの再生が紹介させているが、荒木先生自身の研究成果として、同じ両生類でも、アフリカツメガエルとネッタイツメガエルでは仕組みが違うことを発見したという話が特に興味深かった。

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眼の構造の説明

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イモリの眼の再生は背側から

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解剖の方法

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カエルの角膜を除去する方法

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イモリとカエルの再生過程の違い


投稿者: 秋山繁治 日時: 18:32| | コメント (0)

2011年01月04日

2010年度 「生命科学基礎」1月・2月の研究者による」講義の予定

生命科学コース1年生対象の「生命科学基礎」は、2学期末に、課題研究について2年生から説明を受けた後、3学期は、大学の研究者から課題研究に関連した話をきくことになっています。

1月17日(月) 国立感染症研究所 津田良夫
1月24日(月) 岡山大学大学院理学研究科 富岡憲治
1月31日(月) JT生命誌研究所 橋本主税
2月7日(月) 福山大学生命工学部 渡辺伸一 
2月14日(月)  川崎医科大学医学部 西松伸一郎
2月21日(月) 鳥取大学大学院工学研究科 伊藤敏幸

投稿者: 秋山繁治 日時: 16:20| | コメント (0)

2011年01月03日

2011年1月と2月の授業「生命」の予定

3学期は、医学、薬学、生命科学の研究紹介とメディアリテラシーの実習を行います。時間は、13:55~15:35までです。

1月11日(火) 第20回 奈良女子大学大学院理学研究科 荒木正介 
1月18日(火) 第21回 岡山メディアフォーラム 乙竹文子
1月25日(火) 第22回 山口大学大学院医学研究科 岩尾康宏
2月1日(火) 第23回 岡山メディアフォーラム 乙竹文子
2月8日(火) 第24回 京都大学大学院理学研究科 阿形清和
2月15日(火) 第25回 愛知学泉大学 矢部隆
2月22日(火) 第26回 大阪教育大学 野坂祐子

投稿者: 秋山繁治 日時: 21:23| | コメント (0)

2010年11月30日

授業「生命」 第19回 大阪府立大学人間社会学部 東優子先生

「性の健康と権利」と題して、最初に生徒に投げかけた質問は、「赤ちゃんを産み育てるのに、理想的な人ってどんな人?」。生徒の「経済的に余裕がある人」という答えが返ってくる。「セックスエリート」とは、どんな人をいうのかを説明しながら、性について生徒に再考を促す。「性」には、生き方に影響を及ぼすような問題が含まれていることに気づかされる授業であった。

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理想的な人は?

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セックスエリートとは?

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障害を持つ人たちの性

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リプロダクティブ・バイアス

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性的少数者と人権問題

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世界におけるHIV感染の特徴

投稿者: 秋山繁治 日時: 22:16| | コメント (0)

2010年09月28日

授業「生命」 第14回 野外彫刻(作家の視点) 西平孝史(彫刻家)先生

彫刻作家に、捜索する側の視点や鑑賞の仕方を解説していただいた。競走馬テスコボーイ(トウショウボーイの父)のブロンズ像を制作する過程については、著書(『ブロンズ』吉備人出版)を見ながら説明を聞かせていただいた。岡山県に古くから伝わる鬼神「温羅(うら)」を表現した新作も見ることができた。

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彫刻家の西平孝史先生

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テスコボーイの制作過程を学ぶ

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骨格の構造まで考えて創作

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作品を紹介

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新作の鬼神「温羅(うら)」

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授業後も、生徒は作品に興味津々


投稿者: 秋山繁治 日時: 22:20| | コメント (0)

2010年09月21日

授業「生命」 第13回 岡山駅周辺での野外彫刻調査 生命科学コース主任 秋山繁治

スクールバスに乗って、岡山駅前に移動し、周辺で野外彫刻を探して、調査記録をとるという実習をした。西川緑道公園には、多くの野外彫刻があるので、まず、調査の方法などについて現地で説明した。

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西川緑道公園で説明

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分散して調査に出発

投稿者: 秋山繁治 日時: 18:36| | コメント (0)

2010年09月14日

授業「生命」 第12回 「同性愛者の視点で性を考える」 青樹 恭先生

マイノリティである同性愛者として体験してきたことを、異性との結婚、別離、今の考えを話していただいた。同性愛は、性的指向の違いであること、「オネイ言葉」、「ニューハーフ」などのマスコミの扱い方によって作られた偏見があることを知った。

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結婚後、同性愛者として自覚

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興味をもって、聞いていた


投稿者: 秋山繁治 日時: 19:36| | コメント (0)

2010年09月07日

授業「生命」 第11回 生命科学コース主任 秋山繁治

「多様性を考える」というテーマで、だまし絵、世界エイズ・デーのポスター、課題文を題材にしたワークショップで授業を進めた。次週は、同性愛者の視点でフリーライターの青樹恭さんに、「性に関わる生き方」について語ってもらうことになっているので、「性自認」、「性的指向」、「性同一性障害」、「インターセックス」、「同性愛」などの基本的な用語について必要事項として解説しておいた。

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5人のグループに分かれて話し合い

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各グループごとに結論を発表


投稿者: 秋山繁治 日時: 18:55| | コメント (0)

2010年09月05日

2010年度 9月から11月までの授業「生命」の予定

1学期は、飼育動物をテーマにいろいろな視点で考えてきたが、二学期は、「性」をテーマにして、いろいろな視点で自分自身の生き方を見つめてほしい。

9月7日(火) 第11回 多様性を考える:秋山繁治
9月14日(火) 第12回 同性愛:青樹 恭(フリーライター)
9月21日(火) 第13回 野外彫刻(野外調査):秋山繁治
9月28日(火) 第14回 野外彫刻(作家の視点):西平孝史(彫刻家)
10月12日(火) 第15回 野外彫刻(女性の人権の視点):真邊和美(女性フォーラム)
10月26日(火) 第16回 ESD(持続開発教育):原 明子(岡山市環境保全課)
11月9日(火) 第17回 臓器移植:篠崎尚史(東京歯科大学市川総合病院角膜センター)
11月16日(火) 第18回 性同一性障害(医師の視点):中塚幹也(岡山大学医学部)
11月30日(火) 第19回 性の健康と権利:東優子(大阪府立大学人間社会学部)

投稿者: 秋山繁治 日時: 19:28| | コメント (0)

2010年06月26日

(公開授業)科学英語研修会・ディベートを取り入れた授業

SSH事業の一環として、成果を公開するためにおこなっている英語研究会を開催した。昨年(第一回)は、ES細胞の利用についての是非を問ったディベートと、バングラディッシュからの留学生(大学研究者)による講義であった。今回は、ディベートを取り入れたタイプの違う授業2つを公開した。参加者は、54人で、県外から30名(SSH関係26名+その他4名)、県内24名(SSH関係4名+その他20名)であった。

 公開授業①は、生命科学コースの2年生によるディベートで、小学校の飼育動物についての課題研究にも関係した内容のシナリオディベートである。論題は、「日本の小学校で、飼育動物をペットとして飼うことを廃止すべきである」。生徒が実際に調査し、自分たちの論点で考え、英語で原稿を作成したものをディベート形式で発表した。

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 公開授業②は、NELP(Native English Language Program)の一年生によるディベートで、映画「ブタがいた教室」を視聴し、その内容と同じ論題でディベートをした。論題は、「清心女子高等学校は、ブタを飼育して、最後に殺して肉や他の製品にするというプログラムを実施すべきである」。NELPの生徒たちは、中1からネイティブ教師中心の授業を受けてきた生徒で、より自由な形でディベートに挑戦した。

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投稿者: 秋山繁治 日時: 22:29| | コメント (0)

“We should stop keeping animals as pets in elementary schools.”

●OK, today’s proposition is “We should stop keeping animals as pets in Japanese elementary schools.” Now, let’s begin the debate. First, we will hear the Affirmative’s position. Your time limit is 6 minutes. Go ahead.

【Affirmative Constructive Speech】6 min.
We think we should stop keeping animals as pets in Japanese elementary schools. We have two main reasons.
The first reason is that there are health problems.
Some students and teachers have allergies to animals. Recently, the number of people who have allergies to animals has been increasing. Animal hair, skin, spit or excreta cause nasal allergies, allergic dermatitis, asthma and so on. Above all these symptoms, asthma is the most serious. If someone suffers a severe asthma attack, they sometimes die from choking or heart failure. Actually, there is one case. A man in his forties, who had chronic asthma, was bitten by a hamster. The hamster’s spit that entered into his body from the wound caused a shock symptom to him. He had a severe asthma attack, and few hours later, he died. There are such serious risks when allergic patients have contact with animals.
Besides, infections caused by animals are also dangerous. For example, bird flu spread all over the world in 2004. It is very common to keep birds in schools, but at that time, many schools stopped keeping birds to avoid the danger. In another case, we can get a “parrot disease” by breathing dried fecal dust when we clean birdhouses. If this disease becomes severe, it can possibly lead to death.
There are such dangers in keeping animals.
The second reason is that there are management problems.
In 2008, our school sent out questionnaires about animals kept in schools to 435 elementary schools in Okayama Prefecture, and 83 percent of them, 360 schools answered. In the questionnaire, we asked, “Do you have any troubles in keeping animals?” The top answer to this question is that they have troubles in animal management during long vacations. We also asked who takes care of the animals during holidays, and 78 percent answered, “Only Teachers do.” According to these answers, we can say that currently animals are taken care of mainly by teachers in most schools, and teachers feel it is troublesome.
To the question about the troubles in keeping animals, the second largest number of schools answered that teachers also don’t know how to keep animals. Despite many elementary schools keep animals, there is no class in Japanese elementary school teacher training course to teach how to keep animals properly, how animals affect children or what meanings are there in keeping animals. So, it’s natural that teachers don’t have correct knowledge about that. However, this has been causing a lot of problems. For example, rabbits are kept in wrong ways in many schools. According to the results of the questionnaire survey, 65 percent of the schools keep rabbits without separating males and females. 91 percent keep uncastrated male rabbits. As a result, rabbits breed too much, and it cause problems. One elementary school in Okayama keeps as many as 40 rabbits! Keeping animals more than necessity makes the management harder and has a bad influence on the environment for them. In addition, some schools said that they are throwing away dead animals as garbage, because they don’t know how to deal with them. How will children feel if they know this? There can be no good influence.
Like this, keeping animals in elementary schools is quite a burden for schools and teachers. Therefore, we insist that we don’t need to keep animals in Japanese elementary schools with all these risks.

○Now, members of the Negative Side, you may ask questions regarding their position. And Affirmative Side, please respond to their questions. The time limit is 2 minutes. Go ahead.

【Cross Examination】2 min.
N:OK. We have three questions. First, do you think that people who have allergies to animals can never have contact with animals?
A:Yes. They cannot have contact with them in view of safety.
N:Second, don’t we have any ways to prevent infections caused by animals, such as a parrot disease?
A:Yes, we have.
N:Third, about animal management, are there any ways to improve it?
A:Yes. There are some ways, but it is difficult to innovate them.
N:That’s all. Thank you very much.
A:Thank you.

●Next, we will hear the Negative Side’s position. Your time limit is 6 minutes. Go ahead.

【Negative Constructive Speech】6 min.
We think that we should never stop keeping animals as pets in elementary schools. We have two main reasons.
The first reason is that keeping animals can help children understand the preciousness of life.
In keeping animals, we can contact with animals directly, take care of them, and experience the joy of birth of a new life or sorrow of death by our side. It was in the Meiji era that Japanese elementary schools started to keep animals. It has a long history of about 100 years and it is evidence that we can understand the preciousness of life and engender a sense of caring of the week through the experience of keeping animals. Even now the Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology is recommending in its curriculum guideline that elementary schools keep animals as part of education of the mind.
In 2000, a survey carried out and included 192 elementary school students. In the survey, they were asked, “What do you think if you see your friend bullied?” and more than half of those who had experience in keeping animals answered they would like to help them. However, more than half of those who had no experience in keeping animals answered they would just feel sorry. Besides, another survey shows that children who have experienced death of their favorite pets will feel negative about suicide. The results of these surveys also tell us that the experience of keeping animals makes children understand the preciousness of life and engender a sense of caring. Recently, bullying or offenses of a heinous nature committed by juveniles are increasing. This is an indication of young people’s disrespecting life or ignoring human rights, but learning the preciousness of life from a young age can help prevent these crimes.
The second reason is that keeping animals is highly effective in education.
An animal is not just a “thing.” If we treat them in wrong ways or leave them without caring, they will die. Unlike nonliving things, there can be irreversible consequences if we treat them only for our own convenience. Having contact with animals, children can begin to realize that. They can learn a sense of responsibility in taking care of them in the proper way. They can also learn cooperation through taking care of them together with their friends and teachers. Moreover, while they are taking care of them, they come to love them, and they will think with serious mind how they can please their favorite animals. And naturally, they can learn sympathy for others and sharpen their eyes for others.
By keeping animals, which are not nonliving things, children can learn responsibility, cooperation and observation power. Animals are the best education material to teach these things.
Under ordinary circumstances, respect for life or sympathy to others should be cultivated at home from infancy. Recently, however, environment surrounding children has been changed because of the trend of nuclear families or families with fewer children, and people’s relationships are getting poorer. Also, there are many families who cannot keep animals at home because of housing situation, and it is getting difficult to teach these things at home. Under such circumstance, we need to make children understand preciousness of life and make them respect life thorough keeping animals in schools, not at home.
Therefore, we insist that we should never stop keeping animals in Japanese elementary schools.
○Now, members of the Affirmative Side, you may ask questions regarding the Negative’s position. And Negative Side, please respond to their questions. The time limit is 2 minutes. Go ahead.

【Cross Examination】2 min.
A:OK. We have three questions. First, let us confirm one thing. You think that we can definitely make children understand the preciousness of life through keeping animals, right?
N:Yes. We think so.
A:Secondly, in order to make children understand the preciousness of life, is it absolutely necessary to keep animals in schools?
N:Yes. That’s right.
A:Lastly, do you have any data which suggests that keeping animals prevents crimes?
N:We don’t have specific data, but a study from America shows that there is a cause-and-effect relationship between animal abuses and heinous crimes.
A:That’s all. Thank you very much.
N:Thank you.

●Now, we will move on to both side’s rebuttal speeches. First, we will hear the Affirmative Side’s rebuttal of the Negative’s position. The time limit is 5 minutes. Go ahead.

【Affirmative Rebuttal】5 min.
We would like to counter the Negative Side’s argument on three points.
First, the Negative Side said, “We can definitely make children understand the preciousness of life through keeping animals,” but if we keep them in wrong ways, just the opposite occurs. As we said in the first speech, animals in schools are not well managed in this situation. For instance, in 1997, there was an incident in an elementary school in Saitama prefecture in which a teacher buried live baby rabbits because they had problems with them breeding too much. This incident was reported on television shows and newspapers. Later, as well, similar incidents have occurred in many parts of Japan. Also, some schools keep animals under horrible conditions because of their sloppy management. When children find out that lives of animals are treated irresponsibly for humans’ convenience, they will be hurt, and will also become insensitive to death. In such situations, keeping animals by main force can never make children understand the preciousness of life, and in fact, it encourages disrespect for life.
Second, you said, “It is absolutely necessary to keep animals in schools in order to make children understand the preciousness of life,” but is that really true? You know that some schools don’t keep any animals, and not all the countries recommend that elementary schools keep animals. In those places, is it impossible to teach children about life? We think that without keeping animals, we can teach them enough about life by giving them knowledge from books or videos, and they can also learn those things from relationship to other people in schools, such as friends and teachers.
And third, about educational effect, you said, “Children can learn a sense of responsibility in taking care of animals.” But as the questionnaire survey shows, currently animals are taken care of mainly by teachers in most schools. In those schools, for example, children don’t need to take care of them during holidays, because teachers do it for them. It is difficult to learn a sense of responsibility in such situations.
Finally, we would like to answer to the question from your side in a little more detail.
We said that we have some ways to prevent infections caused by animals. To prevent virus entry from our eyes or mouth, we must put on goggles, masks or gloves. The Negative Side said that we can learn about life by having direct contact with animals, but in this way, we cannot contact with animals “directly,” and it becomes meaningless to keep animals.
Therefore, we think there is no such merit in keeping animals in schools.

○Well, members of the Negative Side, you may ask questions regarding the Affirmative’s rebuttal. And Affirmative Side, please respond to their questions. The time limit is 2 minutes. Go ahead.

【Cross Examination】2 min.
N:We have two questions. Firstly, do you admit that we can learn the preciousness of life through keeping animals in a proper way?
A:Only in the case that animals are kept under perfect management, we can say “Yes.”
N:Secondly, do books or videos as education materials have as much value as life of animals?
A:Even if they don’t have just as much value as life of animals, they can function well enough as education materials.
N:That’s all. Thank you very much.
A:Thank you.

投稿者: 秋山繁治 日時: 21:24| | コメント (0)

論題『日本の小学校での動物飼育はやめるべきである』(日本語)

【Affirmative Constructive Speech(肯定側立論)】6分
私たちは、小学校での動物飼育は止めるべきだと思います。その主な理由は二つです。
第1に、健康の問題があります。
生徒や教師の中には、動物アレルギーを持っている人もいます。最近、動物アレルギーは増加の傾向にあります。動物の毛・皮膚・唾液・糞尿などは、アレルギー性の鼻炎や皮膚炎、気管支喘息などを引き起こします。中でも、気管支喘息は深刻です。喘息は重症になると、窒息や心不全で死亡することもあります。実際に、このようなケースがあります。40代のある男性がハムスターに噛まれ、傷口から入ったハムスターの唾液によってショック症状を起こし、持病の気管支喘息が悪化して数時間後に死亡してしまいました。アレルギーを持つ人が動物に触れるのは、このような深刻なリスクがあるのです。
また、動物由来の感染症も危険です。例えば、2004年には鳥インフルエンザが世界的に流行しました。鳥類は学校でよく飼われていますが、当時、その危険を避けるために鳥の飼育をやめた学校が多くありました。他にも、鳥小屋の掃除中などに乾燥したフンを吸いこむことによって、「オウム病」になることもあります。この病気は、重症になると死亡する場合もあります。
動物を飼うことには、このような危険が伴うのです。
2番目は、管理の問題です。
私たちの学校では、2008年に岡山県内の小学校435校に学校飼育動物のアンケートを行い、83%の360校から回答を得ました。その中で、「飼育で何か困っていることはあるか」と聞いたところ、最も多かったのが「夏休み中などの飼育管理」でした。そして「休日の飼育担当者は誰か。」という質問には、78%が「教師のみ」と答えました。現状では、管理は教師任せの学校が多く、教師も管理に困っているということが分かります。
飼育上で困っていることについて、次に多かった答えが「教師も飼育方法が分からない」ということでした。多くの小学校で動物を飼育しているにも関わらず、教師の養成課程には動物の適切な飼育法や、動物飼育の子どもへの影響や意義を学ぶ授業がないため、教師が正しい知識を持っていないのも無理はありません。しかしそのことで、色々な問題が起きています。例えば、多くの学校ではウサギが間違った方法で飼われてしまっています。アンケートでは、オスとメスを分けていない学校は65%、オスを去勢していない学校は91%ありました。その結果、繁殖のしすぎという問題が起こっています。岡山県内のある学校には40羽ものウサギがいるそうです。必要以上の動物の飼育は、管理をさらに大変にさせ、飼育環境の衛生面にも悪影響をもたらします。また、動物が死んだ後の処理が分からず、ゴミとして処分している学校もありました。それを子どもたちが見たとき、どう思うでしょうか。良い影響があるはずがありません。
このように、学校での動物飼育は、学校や教師にとって大きな負担になっているのです。
よって私たちは、このような全てリスクを負ってまで、学校で動物を飼育する必要はないと主張します。

【Cross Examination(否定側からの質疑)】2分
否定側:質問が3点あります。第一に、アレルギーを持っている人は、動物と関わることは絶対に出来ないのでしょうか。
肯定側:安全を考えると、関わることはできません。
否定側:次に、「オウム病」などの動物由来感染症についてですが、予防策があるのではないでしょうか。
肯定側:予防策はあります。
否定側:3つ目に、管理の問題について、それを改善する方法はないのでしょうか。
肯定側:方法はありますが、実現は難しいです。
否定側:以上です。ありがとうございました。
肯定側:ありがとうございました。

【Negative Constructive Speech(否定側立論)】6分
私たちは、小学校での動物飼育は絶対にやめるべきではないと思います。その主な理由は二つです。
第1に、動物を飼うことにより、子どもに生命の尊さを理解させることが出来るからです。
学校での動物飼育が始まったのは明治時代で、約百年の長い歴史があります。動物と肌を触れ合い、世話をし、新しい命の誕生の喜びや、死の悲しみを身近に経験することにより、命の尊さや、弱者をいたわる思いやりの心をはぐくめることが証明されているのです。この「心の教育」の一環として、文部省の現在の学習指導要領でも、小学校での動物飼育が推奨されています。
2000年に、小学生192人に行ったある調査によると、「友だちがいじめられていたらどう思うか」という質問に、動物を飼育した経験のある子どもの半数以上が「助けたい」と答えたそうです。しかし、経験のない子どもの半数以上は「かわいそう」と答えただけでした。また、「かわいがっていた動物との死別体験をもつ子どもは、自殺を否定的に捉える」という調査結果もあります。このことからも、動物を飼うという経験が他者への思いやりや命を大切にする心を育てると言えます。近年、命を軽視したり、人権を無視した「いじめ」等の青少年による残虐な行為が目立っていますが、幼いうちから生命の尊さを学ぶことで、それらの犯罪を防止することにも役立ちます。
第2に、動物を飼うことは教育効果が大変高いからです。
動物は、モノではありません。扱い方を間違ったり、放っておけば死んでしまいます。モノとは違って、自分の都合だけで行動していたら、取り返しがつかないことが起こるのです。動物の世話をする中でそれを実感し、きちんと世話をしなければならないという責任感を子どもに芽生えさせます。また、教師や友人と協力して飼育をする中で、協調性も生まれます。さらに、動物たちを世話しているうちに愛情が芽生え、そのかわいい動物たちが「どうしたら喜んでくれるだろう」と真剣に考えるようになり、他者の立場に立って考える心や、観察力も身につきます。子どもたちは、モノとは違う動物を飼うことで、責任感や協調性、観察力などを自然に身につけることができるのです。動物は、これらのことを教えるうえで、絶好の教材と言えます。
本来、生命尊重の心や思いやりの心は、乳幼児期から家庭内で育成されます。しかし現在では、核家族化や少子化で、子どもを取り巻く社会環境が変化し、人間関係が希薄になっています。また、住宅事情により家庭で動物を育てられない家庭も多くあり、家庭でこれらのことを教えるのが困難になっています。そのような状況のなか、生命を理解し、命を重んじる態度は、学校での動物飼育を通じて子どもに教える必要があるのです。
よって私たちは、小学校での動物飼育はやめるべきではないと主張します。

【Cross Examination(肯定側からの質疑)】2分
肯定側:質問が3点あります。最初に確認したいのですが、動物を飼育すれば必ず命の尊さが理解できるのですね。
否定側:はい、そう考えています。
肯定側:生命の尊さを理解させるのに、学校での動物飼育が不可欠であるとお考えですか。
肯定側:最後に、動物飼育が犯罪防止につながるというデータはありますか。
否定側:具体的なデータはありませんが、アメリカの研究で、動物虐待と凶悪犯罪には因果関係があるという結果が出ています。
肯定側:以上です。ありがとうございました。
否定側:ありがとうございました。

【Affirmative Rebuttal(肯定側反駁)】5分
否定側の意見について、3点反論があります。
1つ目に、「動物飼育で必ず命の尊さが理解できる」という点ですが、飼育の方法を間違った場合、それとは逆のことが起こってしまいます。最初にも述べましたが、現状では、学校での動物の管理が徹底できていません。具体例として、1997年に埼玉県の小学校で、増えすぎたウサギを生き埋めにして処分するという事件が起こりました。これは新聞などでも大きく取り上げられました。その後も、同じような事例が全国各地で起こっています。また、ずさんな管理のせいで動物が悲惨な状況で飼われている学校もあります。動物の命が人間の都合で無責任に扱われていることを知ったとき、子どもの心は傷つき、死に対しても鈍感になるでしょう。こういった現状の中で無理をして動物を飼っても、子どもに命の尊さを学ばせるどころか、命を軽視する傾向を助長するだけです。
2つ目に、「生命の尊さを理解させるためには学校での動物飼育が不可欠である」ということですが、本当にそうでしょうか。中には、動物を飼育していない学校もあるのはご存知だと思います。また、全ての国で、学校での動物飼育を推奨しているわけではありません。そのようなところでは、生命の尊さを理解させる教育は不可能なのでしょうか。私たちは、動物の飼育をしなくても、学校での友だちなどの人間同士の関わり合いや、本やビデオから学べる知識によって、十分理解させられると思います。
3つ目に、教育効果に関して「責任感を養うことができる」ということですが、アンケートの通り、学校では教師主導で飼育が行われているのが現状です。例えば休みの日には、子どもが世話をしなくても、先生たちが世話をしてくれる学校が多いのです。その中で、子どもの責任感を養うことは難しいと思います。
 次に、否定側からの質問について、もう少し詳しくお答えします。
 動物由来感染症について、予防策はあると言いました。予防策として、目や口にウイルスが入らないようにするためには、ゴーグルやマスク、手袋などを身につけることになります。しかしそれでは、肯定側が言う「動物と肌を触れ合い、命の大切さを理解させる」ということもできなくなり、動物を飼育する意味がなくなるのではないでしょうか。
 よって、否定側が言っているメリットは生じないと思います。以上です。

【Cross Examination(否定側からの質疑)】2分
否定側:質問が2点あります。第一に、動物の管理がきちんとできていれば、命の尊さを学べるということは認めますか。
肯定側:完璧に管理ができた場合にのみ、学べるでしょう。
否定側:次に、命を教える教材としての本やビデオは、動物の命と同じくらいの重さの教材であると言えますか。
肯定側:同じとは言えなくても、十分に役割を果たすことができると思います。
否定側:以上です。ありがとうございました。
肯定側:ありがとうございました。

【Negative Rebuttal(否定側反駁)】5分
肯定側の意見について、3点反論があります。
アレルギーを持っている人は動物と関われないということですが、私たちは配慮をすれば関わることができると思います。それに、たとえ直接動物と触れ合うことが出来なくても、飼育に関わる作業には参加できます。例えば、当番制で世話をするなら、当番表の作成を担当するとか、動物の名前をみんなで考えるとか。そしてそれは、十分に意味があることです。アレルギーが原因で家で動物を飼えない子どもにとっては、学校で飼育活動に参加することは特に貴重な体験です。その経験がなければ、彼らは一度も動物に関わらずに大人になってしまうかもしれません。
2つ目に、動物由来感染症が危険だということですが、特に学校でよく飼育されている動物については、実際はそれほど重大な問題はありません。例えば、ニュースで話題になった鳥インフルエンザのウイルスは渡り鳥が運ぶもので、学校で飼われている鳥が感染する確率は低く、人に感染する確率も非常に低いのです。日本医師会のホームページによると、その他の動物由来感染症についても、小屋を清潔に保ち、動物に触れた後には手洗い・うがいをすること、また、餌の口移しなどの濃厚な接触をしないことで、ほとんどは防げるそうです。よって、これは大きな問題ではありません。
3つ目に、管理の問題を改善するのは難しいということですが、私たちはそうは思いません。教師が管理方法を知らないことが問題なら、獣医師などの専門家に協力してもらい、教えてもらって知識を得れば解決することです。教師の負担が大きいことが問題なら、休日中の生徒の当番制を徹底したり、保護者や地域の人にも協力してもらうことで、負担は軽くなります。また、現在、動物のレンタル飼育というものもあります。業者が動物を一定期間学校に貸し出し、飼育指導や休暇中の動物預かり、過剰動物の引き取りなどをしてくれるというものです。どうしても管理が難しいならば、こういった便利なサービスを利用すればよいのです。
よって、肯定側が言っている問題点は、重要ではありません。以上です。

【Cross Examination(肯定側からの質疑)】2分
肯定側:質問が3点あります。動物と触れ合わずに大人になることに、何か問題がありますか。
否定側:はい、あります。
肯定側:2つ目に管理の改善について、教師の負担を軽くするためには、保護者や地域の人など、学校外の人にも協力してもらわなければならないのですね。
否定側:場合によっては、そうです。
肯定側:最後に、これらの管理の問題の改善策について、可能だとしても、改善のためには長い時間がかかるのではないですか。
肯定側:以上です。ありがとうございました。
否定側:ありがとうございました。

投稿者: 秋山繁治 日時: 21:21| | コメント (0)

2010年06月25日

2010年度「実践英語」のディベートを授業「生命」がバックアップ

生命科学コース2年生の「実践英語」の授業で学校飼育動物をテーマにディベートをするということで、問題を考えるための背景的知識や体験を授業「生命」でフォローした。具体的には、出身小学校の飼育動物の訪問調査、野生化したペット(アカミミガメ)の捕獲調査、家畜動物を使った解剖実習や観察、学校飼育動物を研究テーマにしている心理学者の解説、獣医師のアドバイスなどを盛り込んだ。以下の日程で実施した。

4月13日 第1回 学校周辺でのカメの捕獲(本校教諭:秋山繁治)
4月20日 第2回 岡山県の小学校の学校飼育動物の調査結果のまとめ(本校教諭:秋山繁治)
5月10日 第3回 カメの調査実習(愛知学泉大学:矢部 隆)
5月11日 第4回 動物行動の調査方法(福山大学:渡辺伸一)
5月18日 愛5回 学校飼育動物の在り方(内閣府日本学術会議 中島由佳)
6月1日 第6回 ブタの生殖器官の観察(神戸大学:MONIRUZZAMAN)
6月8日 第7回 ニワトリの初期発生の観察(首都大学東京:福田公子)
6月15日 第8回 学校飼育動物についてのディベート
6月19日 第9回 ニワトリの生殖器官の観察(広島大学:吉村幸則)
6月22日 第10回 学校飼育動物について(やまね動物病院:山根辰朗)
6月26日  (公開授業)科学英語研修会・ディベートを取り入れた授業を公開

投稿者: 秋山繁治 日時: 21:49| | コメント (0)

2009年度 授業「生命」の実施内容

授業「生命」では、多くの外部の方から指導を受けています。講義だけでなく、直接的な体験を重視しているので、実習も多く盛り込んでいます。

第1回 講義(秋山繁治)『授業ガイダンス・多様な視点を考える』
第2回 講義(秋山繁治)『生命を考える①:NHKようこそ先輩・貫戸朋子』
第3回 講演(彫刻家:西平孝史)『野外彫刻の作者からのメッセージ』
第4回 講演(女性フォーラム)『ジェンダーの視点で野外彫刻考える』
第5回 実習(秋山繁治)『岡山駅周辺で野外彫刻の調査』
第6回 研究紹介(岡山大学大学院自然科学研究科:下岡さん)『研究紹介①』
第7回 研究紹介(岡山大学理学部:小川さん)『研究紹介②』
第8回 講演及び実習(愛知学泉大学:矢部隆)『カメの生態調査法(テレメの実習)』
第9回 講演(ライター:青木恭)『同性愛者の視点から社会を分析する』
第10回 講義(秋山繁治)『生命を考える②:映画ブタがいた教室』
第11回 実習(広島大学生物生産学部:シュバッシュ・ダス)『ニワトリの解剖』 

第12回 講演(獣医:山根辰朗)『学校飼育動物について考える』
第13回 実習(秋山繁治)『カメの捕獲調査2回目』
第14回 講演及び実習(倉敷市立自然史博物館:狩山俊悟)『二子の丘の植物観察』
第15回 講演(九州大学大学院理学研究院:江口和洋)『研究紹介③』
第16回 講演(甲南大学フロンティアサイエンス学部:中野修一・白井健二)『研究紹介④』
第17回 講演及び実習(倉敷市立自然史博物館:江田伸司)『二子地域の動物観察』
第18回 講演(愛知学泉大学:矢部隆)『淡水カメについて』
第19回 講演(東京歯科大学市川病院:篠崎尚史)『臓器移植の現状』
第20回 実習(メディア・フォーラム おかやま:乙竹文子)『メディア・リテラシー①』
第21回 実習(メディア・フォーラム おかやま:乙竹文子)『メディア・リテラシー②』

第22回 講演(荒木正介:奈良女子大学理学部生物科学科)『研究紹介⑤』
第23回 講演(岩尾康宏:山口大学大学院医学系研究科)『研究紹介⑥』
第24回 講演(小阪美津子:岡山大学産学官融合センター)『研究紹介⑦』
第25回 講演(渡辺伸一:福山大学 生命工学部)『動物行動の調査方法』
第26回 講演(東優子:大阪府立大学人間社会学部社会福祉学科)『ジェンダー』
第27回 講演(佐々木緑:重井医学研究所)『薬剤師の仕事』
第28回 実習(阿形清和:京都大学大学院理学研究科)『プラナリアの観察』
第29回 講演(山野由美子:神戸薬科大学生命有機化学研究室)『薬ができるまで』
第30回 面接(秋山繁治)『まとめ』

投稿者: 秋山繁治 日時: 21:05| | コメント (0)

2010年06月22日

授業「生命」 第10回 やまね動物病院 山根辰朗先生

一学期最後の授業「生命」は、日本獣医師会岡山県支部の学校飼育動物担当の山根先生に学校飼育動物について、獣医師の立場で詳細に説明していただいた。6月26日に英語でのディベートで「学校飼育動物は必要かどうか」のテーマで話し合うので、生徒たちは非常に熱心に聴き、質問していた。

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調査結果について質問
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獣医師としてのメッセージ

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ウサギの雄雌の見分け方

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どんな種類のウサギが飼いやすいか


投稿者: 秋山繁治 日時: 22:50| | コメント (0)

2010年06月19日

授業「生命」 第9回 広島大学 吉村幸則先生

ニワトリの生殖についての講義とニワトリの解剖を行った。10時から12時過ぎまで、生殖の仕組み、精子の卵管内での動きについて具体的に詳細に説明してくださった。生徒の質問も多く、時間を超過するほど内容が充実していた。

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生殖の仕組みの説明

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ニワトリに麻酔をかける

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開腹して、筋肉に触った感触は?

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生殖腺を摘出

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輸卵管を開いて観察

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卵管内の卵

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体腔にあった卵


投稿者: 秋山繁治 日時: 21:12| | コメント (0)

2010年06月10日

ニワトリ胚の三日目

ニワトリの有精卵を使って胚の観察をしている。受精は6月4日(金)で、6月5日(土)の朝から孵卵器に入れて、6月8日の午後の授業「生命」で、心臓が拍動する胚を観察する予定であったが、配送会社が土日は学校が休みということで勝手に判断して、連絡もなく配達してくれなかった。土日の朝から夕方まで受け取るために待機していたのでショックだった。月曜日の朝、何もなかったように配達・・・。仕方なく、6月7日(月)の朝から孵卵器に入れて、予定通り、6月8日に観察した。当然、心臓はできていなかった。しかしながら、形態形成の過程として観察できるレベルには発生していた。これまで、授業で、ニワトリの発生の観察をしたことがなかったので、恥ずかしながら今回が初めて・・・・、簡単に観察できそうなので、継続観察がいつまでできるかということで、その後も観察することにした。今日は、加温してから3日目である。

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ニワトリ胚の3日目

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中央が心臓

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頭部


投稿者: 秋山繁治 日時: 17:59| | コメント (0)

2010年06月09日

ニワトリの初期胚の観察

昨日、首都大の福田友子先生の講演で、有精卵の観察をしたが、心臓の拍動が観察できるまでに至っていなかったので、放課後、再度、ニワトリ胚の観察をおこなった。今回は、無事に心臓が拍動する姿を見ることができた。

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投稿者: 秋山繁治 日時: 21:57| | コメント (0)

2010年06月08日

授業「生命」 第7回 首都大学東京 福田公子先生

 発生生物学の分野で、消化管についての研究についての話であった。消化管という器官の基本的な知識の確認から今進めている研究の説明まで、元気よく、そして、明るく話していただいた。女子生徒に理系分野への進路をプッシュしていただいたように思えた。授業の最後に、ニワトリの有精卵を材料に、初期胚の観察させていただいた。

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投稿者: 秋山繁治 日時: 21:48| | コメント (0)

2010年06月01日

授業「生命」 第6回 広島大学 MONIRUZZAMAN先生

神戸大学大学院農学研究科で、原始卵胞内卵母細胞の活性化における細胞周期制御分子の関与について研究しているMohammad MONIRUZZAMAN先生の講演であった。前半は、出身国のバングラデシュの文化について、後半は、ブタの卵巣から卵母細胞を摘出しての観察とこれまでの研究の一部の紹介であった。

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バングラディッシュの国旗は日本に似ていた

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生殖細胞について解説

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卵母細胞の観察実験を開始

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ブタの卵巣を処理

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実体顕微鏡で卵母細胞を観察

【生徒の感想】
・卵胞に穴をあけるとき、少し緊張しましたが、うまく取り出すことができたので楽しかったです。又、顕微鏡を使って卵母細胞を見ると、しっかりとゼリー層に包まれたカエルの卵のように見えました。穴を開けたときに飛び出してきた液体は話によると卵胞液といって大部分は血しょう、中に女性ホルモンが含まれているのだということを知りました。
・バングラディシュの変わった歴史や文化もとても興味ぶかかったが、やはり今回はブタの卵巣をはじめてまじかで見ることができ、卵胞の袋を破って、母細胞を見つけるという他では出来ないことをさせてもらい、本当に中身の詰まった時間になった。

投稿者: 秋山繁治 日時: 17:40| | コメント (0)

2010年05月22日

2010年度 4月から7月までの授業「生命」の予定

2010年度の授業「生命」(生命科学コース2年生対象)が始まりました。1学期は、飼育動物を中心テーマにして授業を展開します。6月26日(土)には、学校飼育動物をテーマにした英語のディベートの公開授業を計画しています。
4月13日(火) 1回 学校周辺でのカメの捕獲(本校教諭:秋山繁治)
4月20日(火) 2回 学校飼育動物の調査(本校教諭:秋山繁治)
5月10日(月) 3回 カメの調査方法(愛知学泉大学:矢部 隆)
5月11日(火) 4回 動物行動学(福山大学:渡辺伸一)
5月18日(火) 5回 学校飼育動物の在り方(内閣府日本学術会議 中島由佳)
6月1日(火)  6回 哺乳類の生殖器官の観察(神戸大学:MONIRUZZAMAN) 
6月8日(火)  7回 ニワトリの初期発生の観察(首都大学東京:福田公子)
6月15日(火) 8回 学校飼育動物についてのディベート
6月19日(土) 9回 ニワトリの生殖器官の観察(広島大学:吉村幸則)
6月22日(火) 10回 学校飼育動物について(やまね動物病院:山根辰朗)
6月26日(土) (公開授業)科学英語研修会・清心女子高等学校

投稿者: 秋山繁治 日時: 07:13| | コメント (0)

2010年05月18日

授業「生命」 第5回 内閣府日本学術会議 中島由佳先生

 大学を卒業し結婚した後で再び志をもって、シカゴ大学大学院修士課程に留学、そしてお茶の水女子大学博士課程を経て、心理学の研究に取り組んでいる。本校の「岡山県下の学校飼育動物の現状」の研究発表を縁に、心理学の専門家の立場で学校飼育動物の役割や心理的影響についての研究成果を教えていただいた。

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伴侶動物としての学校飼育動物

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心理学者に至った経緯

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学校飼育動物の研究の問題点

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学校飼育動物に心を育てる役割がある


投稿者: 秋山繁治 日時: 22:10| | コメント (0)

2010年05月11日

授業「生命」 第4回 福山大学 渡辺伸一先生

動物行動を最新の機器で調査について学んだ。生物にカメラや温度センサーなどを装着させて、その記録から動物行動の謎を解き明かそうとしている。南極でのペンギンの調査の経験など、動との触れ合いも含めての話であった。また、本校のカメの調査についてもアドバイスをいただいた。

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動物行動の謎を解く

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データロガーを使う

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ペンギンはどこまで潜水するか

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バイオロギングとは?


投稿者: 秋山繁治 日時: 23:31| | コメント (0)

2010年05月10日

授業「生命」 第3回 愛知学泉大学 矢部隆先生

「ラジオテレメトリー法によるカメの行動の調査方法」
①テレメトリー調査の実例
・矢部による、三重県でのニホンイシガメの例
・1985年〜1991年に標識再捕獲調査
・1989年度にラジオテレメトリー調査
②テレメトリー法とはどのような調査か
・テレメトリー法は動物の「見えない部分を見る」工夫! まずは、直接観察をする努力が必要。
・(ほぼ)確実に、連続的に(つまり効率的に)データが取れる。しかし、それに甘んじていてはダメ。
・特定の個体の行動を詳細に記述する方法。すべての個体が同じように行動するのかどうかは分からないので、標識再捕獲法などとの併用が必要
③今回の調査でしらべること
・1シーズン(1年)における、季節的移動
・越冬場所は? 産卵場所は? 夏の活動(採餌)場所は?移動経路は?(水路沿い? 水田を横断?)
・1年中、1日1〜2点は方探データが欲しい。
・活動期における、行動圏の範囲と大きさ。
・活動場所は水路が中心か? 灌漑期の水田は、どの程度使うのか?
・どれくらいの大きさの行動圏で生活しているのか?
・12月、1月、2月以外に、1日1〜2点は方探データが欲しい。
・1日でどれくらい動くのか? 夜行性なのか、昼行性なのか?
・春、初夏、成果、秋の初め、秋の終わり、冬に、1〜2日ずつ。
・夜明け前から日暮れ過ぎまで、1〜2時間に1点方探データが欲しい。
・種間(クサ–アカミミ)、オスメス間、大型–小型間、高齢–若齢間で比較する。

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テレメトリーの方法を解説

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学校付近の水田地帯で実習

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捕獲トラップを実際に設置


投稿者: 秋山繁治 日時: 19:47| | コメント (0)

2010年04月20日

授業「生命」 第2回 学校飼育動物について考える

前半は、これまで授業「生命」で飼育動物をテーマにしてやってことの説明と、岡山県下の小学校を対象に学校飼育動物についてのアンケートの集計結果について説明した。後半は、NHKようこそ先輩の「国境なき医師団」の貫戸朋子さんの番組を使って、「いのち」について考えた。今回の授業は、6月26日(土)に実施する「学校飼育動物」をテーマにしたディベートの授業を念頭において、その討議に使う材料を提供することを目指した。

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ニワトリを飼う学校が激減

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アンケート調査

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死んだ動物の処置は?

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戦争なき医師団の活動


投稿者: 秋山繁治 日時: 19:17| | コメント (0)

2010年04月13日

授業「生命」 第1回 何匹のカメが捕獲できたか

約4時間トラップをしかけて、合計で18匹のカメを捕獲できた。昨年、捕獲したものには、甲羅に穴を空けて標識しているので、再捕獲したものは区別できる。その結果は、ミシシッピアカミミガメ16匹(再捕獲9匹、新規7匹)、クサガメ2匹(再捕獲1匹、新規1匹)であった。

【注意】 カメの標識については、他の地域の標識(自然保護センターなどで標識)と重ならないようにしたいので、岡山県内で標識をされる場合は本校に連絡していただきたい。

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トラップの確認

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捕獲個体のチェック

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今回捕獲したカメ

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学校周辺の水田地帯(調査場所)


投稿者: 秋山繁治 日時: 19:35| | コメント (0)

2010年02月22日

授業「生命」 28回  京都大学大学院理学研究科 阿形清和先生

 プラナリアを使って再生の研究を研究している阿形先生と博士後期課程1年の岡本さんが来校された。実際に、研究で使っているプラナリアを持ってきて、プラナリアの形態観察、切断実験、再生過程の組織観察など楽しい講義であった。

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実験をしながら講義を展開

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本校卒業生(D1)の指導

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プラナリアの再生とは?

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特定の組織を染めて再生過程を観察

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阿形先生も直接指導

【生徒の感想】
 今日初めて本物のプラナリアを見ました。今までテレビや教科書でしか見たことがありませんでしたが、思っていたよりも大きいと思いました。全身がが再生するというような特別な能力を持っている生き物は肉眼で見られない微生物しかいないと思っていました。なのでプラナリアが肉眼で見ることのできる大きさだったことに少し驚きました。
 プラナリアはいくら切っても死にません。今日、自分で切ってみてそのことを初めて実感しました。しかし、潰すと死んでしまうということはどういうことなのでしょうか。切ると再生するのに潰すとどうして再生できないのでしょうか。このことが非常に気になります。
 一番最初に自分でプラナリアを切ったとき、うまく切れていませんでした。しかし、すぐに自分で体を切り離しました。うまく切れていない場合は元に戻ろうとするのではなく、分裂してしまうということがわかりました。プラナリアは傷を負ったとき、繋がって元の個体に戻るということはないのでしょうか。もし元に戻るなら、彼らにとって元に戻ることと分裂することのどちらの方のリスクが大きいのでしょうか。
 再生1日目と3日目の個体を観察したとき、一番よく動いていたのは胴部でした。両方ともまだ頭が出来ていないのに意思を持ったように動いていました。頭がないのに動けるのもすごいと思いましたが、これらの個体に意思はあるのでしょうか。頭部があるものとないもので光の認識を調べていましたが、光が認識出来ないように意思もないのでしょうか。でも、それでも生きていられるのがやはりすごいと思いました。
 また、再生について付加再生と再編再生という二種類の再生方法があるということを知りました。このプラナリアの再生方法についての説明がちょっとよくわからなかったのですが、プラナリアはどちらでもなく、両方の性質を合わせもった再生をするということだったのでしょうか。わかっていなくてすみません。
 プラナリアは元々興味があった生き物だったので、こうして観察したり実験をして色々なことを知ることが出来て本当によかったです。

投稿者: 秋山繁治 日時: 18:30| | コメント (0)

2010年02月09日

授業「生命」 26回  大阪府立大学人間社会学部 東優子先生

「ジェンダー・スタディ」という演題で、「ジェンダー」について再認識をさせられた授業であった。「女であるる証拠は?」と聞かれて、一生懸命考えることから出発して、現代社会で女性がおかれている立場について、発展的に考えるための材料を提供していただいた。

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「女性だと思う人・・・」

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「ジェンダー」を考えてみよう!

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「よく考えてみよう・・・」

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「女性である根拠」を列挙

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ジェンダーの操作的定義

【生徒の感想】
 この講義ではジェンダーの核の部分を考えさせられたものだった。今までジェンダーについて軽い考えしか持っていなかった。ジェンダーは私にはあまり関係ないもの。とかいう浅い考えを抱いていたと思う。女子高に入学してからジェンダーについて感じたり、考えることは少なくなった。中学時代男女共学の学校に通っていた。あの頃を思い起こしてみると確かに男女の差というものはあった気がする。体育祭な
どの行事で騎馬戦を入れることになった。しかし女子は面白くないしケガをされたら困るという理由で男子のみの騎馬戦になった。他にも生徒会長は男子がするもの。という固定観念をもっていた。そこに男女の差というものを一切かんじなかった。当時、男子はいいなー、男子だからしょうがないという個人的なうらやましいという気持ちの方が大きかったと思う。男女共同参画社会という制度を設けられて一見男女が平等にみえる社会はただのみせかけであると思った。最近になってやっと女性の頑張を支援する制度や企画が目に付く。今までの女性に対する待遇はどんなものだったのか想像してみると、同じ女性としていやな気持ちになる。M字型の日本女性の就職率に比べ、U字型の外国女性。どうして同じ女性であるのにここまで違うのか。結婚、妊娠、出産、子育てをして就職するのは困難であることはあきらかで、政府や会社はやっと女性を支援するようになったものいまだ外国のようなグラフになるには程遠い気がする。私は就職して結婚して、子どもを育てながら自分のなりたい職業をやっていたいと思っている。この現状を知り自分の将来がどうなるのか、不安になった。女性は文系、男性は理系、という固定観念はそうそう時代が変わっても変わらない。変えよう、違う見方、考え方もあるんだと気がつくことさえしてこなかった結果だと思う。しかし、男性がカチューシャをしたり、爪にマニュキアをぬったり、服など時代が変わる
と変わるものもある。変化するジェンダー、生物学的に変わらないsexは女性というものを形づくっていく。女性はこういうものなのだ、という集団としてみられ、個人の能力や性質をみてくれないことはこれから生きていくなかであるのだと思う。ジェンダーはさまざまなことに関係していて、性同一性の問題にも関わってきている。ある国では性転換が広く受け入れられているがその反面誰でも性を転換できるものだと
いう考えを抱いてしまう問題があげられていた。テレビやコンテストなどで性転換した人をよくみる時代になった。その中でとりあげられる言葉が私たちに違った考えを与える。性同一性障害についての正しい理解が必要であると思う。社会や学校が依然として女らしさ、男らしさをを植付けている。焦点を絞りなにを学ぶべきか、学ばせるべきか、考えさせられた授業であった。

投稿者: 秋山繁治 日時: 18:18| | コメント (0)

2010年02月08日

「生命科学基礎」 国立感染症研究所 津田良夫先生

 蚊の生態を調べる昆虫研究者として、感染症の研究に関わっている津田先生から昆虫の生態研究の方法、具体的な蚊の生態、蚊が媒介する感染症、鳥マラリアの感染率などについて話していただいた。

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講義中の津田先生

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蚊はどこで繁殖しているか

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蚊にもいろいろな種類がいる

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蚊の日周期の行動

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全国の鳥類でのマラリア感染率

【生徒の感想】
 先生がはじめに自分がどのような研究をしているのか、なぜ研究をはじめたのかなどを話して下さったので先生の講演にはいりやすかったです。遠くの自然、近くの自然という言葉を使って自然の大切さを新たな視点から話してくださり、新しい知識が身につきました。
 蚊といえば、人の血を吸うものというイメージしかなかったので、先生から出雲平野には鳥の血を吸っている蚊がほとんどだと聞き驚きました。また、鳥以外にもいろんな動物の血を吸うことも知りました。
 蚊を写真などで近くで見たことがなかったので、他の虫がはじめにスクリーンに出た時、すっかり蚊だと思ってしまいました。蚊は後ろ足が上がっていたり、刺す針が口にあるのが他の虫と違う特徴だそうです。刺す針が口にあるのは分かるのですが、どうして後ろ足が上がっているのだろうと不思議に思いました。ユスリカという血を吸わない蚊がいることをはじめて聞きました。世界中に約3700種類、日本中に約130種類も蚊がいることに驚きました。これからまだ人を刺さない蚊がたくさん発見されると思うとおっしゃっていたのでどんな蚊が発見されるのか楽しみです。
 蚊の体の構造がどうなっているのか気になっていたので今回具体的な図で見ることが出来て良かったです。どういった経路でマラリアなどが人にうつるのか考えたこともなく、中腸に入り、血液に入ってうつると聞き納得できました。
 蚊は二酸化炭素を目印にして血を吸っていることに驚きました。これをトラップに応用しているところがすごいなあと思いました。今回の講演は、身近な蚊という生き物ひとつをとても奥深いところまで話して下さったので、お勉強というよりは私の興味をそそる講演だったように思います。

投稿者: 秋山繁治 日時: 18:40| | コメント (0)

2010年02月04日

授業「生命」 25回 福山大学生命工学部 渡辺伸一先生

「野生度物の行動を考える」という演題で、動物の行動の意味を解釈の仕方、データーロガーを使った調査方法、南極でのペンギンの具体的な調査事例など、自らの体験を踏まえて話していただいた。

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動物の行動の意味を解釈する

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ホタルが光る要因は?

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データロガーを用いた行動調査法

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南極でペンギン行動を調査

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この中に渡辺先生がいます

【生徒の感想】
 ホタルの話から始まって、南極でのペンギンの調査や南極の話など、写真や動画を使ってわかりやすく説明して下さいました。この講義を通して動物行動学という分野にも興味が持てるようになりました。
 最初のホタルのお話についてですが、ホタルは元々とても興味深い生き物だと思っていました。でもそれは化学的にどのような仕組みで光っているのかが知りたかっただけだったのですが、この講義でその光るということが彼らにとってどのような役割を果たしているのかということを考えました。普通の昆虫のホタル以外にもウミホタルなど光る生き物はいます。ホタルの中でも幼虫のうちから光る種類もいます。講義を聞いて彼らが光るのは繁殖のためだけではないのだということに気づきました。同じ光るということでもそれぞれ目的が違います。そこから動物たちの生活を調べていくというのはとても興味深いです。
 南極での調査のお話では、ペンギンたちの水中での様子を調査するのはハイテク機器を用いてデータをとるという調査方法を知りました。また、そのための機器の存在を初めて知りました。人間に調査できないようなことはそのために様々な機器が作られているということに驚きました。でも、渡辺先生が少し話して下さいましたが、そのような機器がない頃は本当にデータをとる作業も大変だったのだと思いました。
 先生は南極までの道のりや生活についても紹介して下さいましたが、とても大変だと思いました。行くまでの時間もとてもかかっているし、南極の風景は美しいけど、非常に過酷な世界であるということがわかりました。でも、そんなところまで調査に行くという熱意は本当にすごいと思いました。自分にはそこまで熱意を持てるものが無いので何か自分が本当にやりたいことを見つけたいと思いました。
 ペンギンたちの調査については子育てをしている様子がとても印象に残りました。オスとメスが協力して育てているというのも珍しいと思いましたし、調査のために片方を巣から連れ出すともう片方が戻ってくるというのはすごいと思いました。また、家族思いな個体もいればそうでないものもいるというのを聞いて、ペンギンにも色々な性格があって面白いと思いました。貴重なお話を聞くことが出来て本当によかったです。

投稿者: 秋山繁治 日時: 19:52| | コメント (0)

2010年02月02日

授業「生命」 24回 岡山大学産学官融合センター 小阪美津子先生

 「女子学生の職業意識」、「イモリの再生現象との出会い」、「研究テーマ・黒目細胞のフレキシビリティから組織幹細胞を理解する」について語っていただいた。

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科学者への道は?

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家族をもって研究する

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イモリの再生が出発点

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再生の様子を観察
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癌細胞を幹細胞の視点で治療

【生徒の感想】
 最初に研究者になるまでの歩みについてのお話を聞きましたが、少し驚いたのは、薬学部を出てから生物学の研究者になろうと思ったということでした。小阪先生はそうやって方向転換をするのも悪くないとも言われました。最近、他にも大学に入ってから進む道を変更したという人との出会いが増えました。そのような人たちに会って、今まで進路を早く決めないといけない、進んだ大学で人生が決まると思っていたのが段々と変わってきました。自分でこれからどうするかを決めるのはとても大切なことですが、途中で方向転換してもいいということを知りました。もちろん苦労はすると思います。小阪先生のお話を聞いてとても苦労したということがわかりました。でも、そうやって自分の本当にやりたいことを見つけていく人生はきっと充実しているし、満足できるものになると思いました。
 イモリの眼の再生について研究されているということですが、再生能力を持っているのはイモリだけではないということにとても驚きました。今まで器官などが再生する動物とその他の動物では細胞が全く異なっていると思っていました。だから、その能力を人間の治療に役立てるのはかなり難しいことだと思っていました。でも、このようなことがわかって現在の医学的な治療に大きく進歩したと思いました。また、こうして新しい事実が発見されたように、人間の身体はまだまだ知らないところがたくさんあると思います。さらに研究し、新しい事実を発見していくことの魅力が今回の講義でわかりました。

投稿者: 秋山繁治 日時: 19:48| | コメント (0)

2010年02月01日

「生命科学基礎」 広島大学両棲類研究施設 三浦郁夫先生

「ヒトが動物・ヒトたる由縁」という演題であった。高校生の時期に、理科部生物学科を選んだ経緯からヒト・両棲類の進化の話まで多岐にわたって話題を提供していただいた。

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三浦先生の高校時代の話

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モリアオガエルなど実物を持参

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研究者として

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モリアオガエル

【生徒の感想】
今日の内容は、いままでに詳しく聞いたことがないようなことだったので楽しく聞くことができました。メスがオスを選ぶ時、声の大きさで見分けるのは聞いたことがありましたが体の色が青ければ青いほどモテル、カエルがいるなんて初めて知りました。犬は人などを匂いで嗅ぎわけるのに双子は見分けられないなんて、とても不思議な感じがしました。双子は匂いが同じとかいろいろなことがわかってくるのに感動しました。私も動物について研究してみたいと思いました。また、ヒトの女性も男性を匂いで見分けているのには驚きました。またお父さんのような人を好むとかタイプの違う男性の匂いを好むとかヒトって謎が多いなと思いました。指の形が綺麗だと健康というのは初めて知りました。結婚とかは遺伝子で決まっていたというのが驚きです。ヒトが昔、水の中にいたというアクア説があるなんて初めて知りました。でも背中の毛とかのことを聞いていると本当なのではないかと思いました。象についても同意見です。動物の進化についても興味がわいてきました。

投稿者: 秋山繁治 日時: 20:09| | コメント (0)

2010年01月18日

「生命科学基礎」 川崎医科大学 西松伸一郎先生

 1年生対象の課題研究に関連した内容の講義が始まった。まずは、発生生物学グループのテーマに助言をいただいている先生の講演だった。本校は、1年生の2学期までに発生の内容の学習を終えているが、遺伝についてはまだ学習していない。生物分野の課題研究では、DNAの理解が必要なので、1年生の3学期に生物ⅡのDNAに関係した内容を扱うようにしている。逆に、メンデルの遺伝の法則などを扱うのは、2年生の1学期にしている。

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まず、染色体と遺伝子の説明

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ゲノムを調べてわかること

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四肢発生関連の遺伝子を壊すと

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筋ジス関連の遺伝子を研究中

【生徒の感想】
 私はDNAについて今まで漠然と「遺伝子に関係するもの」ということしか知らなかったので、今日の講義でDNAとはどういったものなのか、どういう構造をしているのかなど詳しくそして分かりやすい説明が聞けてよかったです。ヒトのゲノムには色んな動物に共通する塩基配列、ヒトのみに共通する塩基配列、個人によって違う塩基配列が混在しているということを知り、とても興味深い話だなと思いました。特に色々な動物で塩基配列が同じ部分があるというのはとても驚きました。また、私たちヒトは男女の区別をする染色体がXとYなのに対して、他のニワトリなどの雄雌の区別をする染色体はZとWと違うということも初めて知りました。ヒトはサルなどと比べると側頭筋の塩基が2塩基欠けていて、そのおかげで脳が発達していったということを聞いて、欠けても必ず悪い影響が出るのではなく、良い影響も出るというのは不思議だなと思いました。今回の講義の内容と少し似た内容の本を以前読んだのですが、本ではなかなか想像しにくかったところの話を聞いたり、映像を見たりしてDNAについての知識が深まりました。

投稿者: 秋山繁治 日時: 19:11| | コメント (0)

2009年度 1月から3月までの授業「生命」の予定

生命科学コース2年生対象の「生命」も3学期で終わる。最後に、生命科学に関連した分野の研究者、医師、薬剤師に講演をしていただく。

1月12日(火) 22回 講演(荒木正介:奈良女子大学理学部生物科学科)
1月26日(火) 23回 講演(岩尾康宏:山口大学大学院医学系研究科)
2月2日(火)  24回 講演(小阪美津子:岡山大学産学官融合センター細胞医学研究室)
2月4日(木)  25回 講演(渡辺伸一:福山大学 生命工学部 海洋生物科学科)
2月9日(火)  26回 講演(東優子:大阪府立大学人間社会学部社会福祉学科)
2月16日(火) 27回 講演(佐々木緑:重井医学研究所)
2月22日(月) 28回 講演(阿形清和:京都大学大学院理学研究科生物科学専攻)
2月23日(火) 29回 講演(山野由美子:神戸薬科大学生命有機化学研究室)

投稿者: 秋山繁治 日時: 12:45| | コメント (0)

2010年01月11日

1月26日(水)授業「生命」の岩尾康宏先生の講義内容(予告)

【題目】
動物発生開始の仕組み:「卵はどのように“潮時(しおどき)”を知るか?」

【要旨】 
 卵と精子の融合によってできる受精卵は丸い一つの細胞のですが、細胞分裂(卵割)が始まると、多くの細胞ができて複雑な体を作るようになります。卵は、この「発生開始の時」をどのようにして知ることができるのか、そして、その後の盛んな細胞分裂から「体づくり」(細胞分化、形態形成)への切り替えの時はどのようにして決められているのかについて解説したいと思います。

投稿者: 秋山繁治 日時: 16:20| | コメント (0)

2009年11月17日

授業「生命」 第19回  市川総合病院角膜センター 篠崎尚史先生

「臓器移植と生命倫理」というテーマで、日本の臓器移植の歴史、医療の現状、人工透析患者の現状、脳死の判定、臓器提供者の現状、世界の状況などについて話していただいた。

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講義のようす

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臓器移植の歴史的背景

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角膜移植の例

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脳死の理解

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日本人の「新しい死」

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東南アジアでの腎臓提供の現状

投稿者: 秋山繁治 日時: 19:38| | コメント (0)

2009年11月10日

授業「生命」 第18回  愛知学泉大学 矢部 隆先生

 今年度、矢部先生の講義は2回目です。一回目は、カメの野外調査の方法について詳細に説明してもらいました。今回は、実際にいろいろな種類のカメを持参しての説明で、生物多様性に係る問題まで言及されました。
【生徒の感想】
 まず、日本の亀たちを見ました。ニホンイシガメ、その子どものイシガメ、クサカメ、ニホンスッポン、ヤエヤマセハルハコガメ、アカミミガメ、などの多くの種類のカメを見ました。1番印象に残っているかめはスッポンです。意外と首が長く、凶暴で、3本の爪があり、水の中を早く泳げるように身体が硬くなく、甲羅がパンケーキのようでした。カメはカメでもこんなに柔らかいカメがいて、自分の住む環境に合わせて他のかめにはない特殊な身体をもっていて工夫がされているなーと思いました。ただカメを見ただけではなく、その生態や、名前の由来など面白いお話しをしてくださいました。この授業で思ったことは、カメは意外と目がかわいいということです。
 次にカメの進化についてでした。カメの祖先であるオドントケリウスは今のカメと大きく違っていて甲羅がなく、代わりに手足がとげとげで、首を引っ込められないカメらしく、カメも少しずつ変化していったことが確認できました。ここでは首を横にたたむカメについても説明していただきいました。
 最後は、カメたちが遭遇している危機についての話でした。今日の新聞で、海ガメの数が大幅に減るという記事をみまいした。その原因として、人間の手で海岸が改変され、親ガメの産卵場所を奪っているという話でした。今まで人間がしてきた身勝手な行動が、環境にも生物のも悪影響を与えている。こういう記事をみて、自分たち人間がこれまでやってきた行動の悪影響を知って、情けないと感じました。生息環境の改変以外にも、自動車による事故死や外来生物の生態系への影響、外来カメとの交雑での遺伝子汚染などが起こっていることを聞きました。
 この講義で思ったことは、自然環境に何がどう悪影響を及ぼしているか知ることが私たちがまずできることで、そしてカメが住めるより良い環境を考えいくことが大切なのだと感じました。それから、矢部先生の研究する姿勢を見て、自分で熱心に取り組めるものを見つけてとことん楽しく頑張ることが大切なのだと感じました。

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いろいろなカメを実物で紹介

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カメの進化の話

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性が孵化まで飼育温度で決定

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外来のカメの悪影響

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最も大きな影響を与えているアカミミガメ


 

投稿者: 秋山繁治 日時: 19:19| | コメント (1)

2009年09月15日

授業「生命」 第14回  倉敷市立自然史博物館 狩山俊悟先生

「二子の丘の植物観察」ということで、狩山先生に様々な樹林について解説と本校のある二子の丘の樹木観察の実習を行った。

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いろいろな樹林の特徴を説明

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ドングリを作る仲間を紹介

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代表的な陽樹を解説

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クスノキの特徴を解説

【生徒の感想】
 植物群というまとまった見方を体験することができ、個々の樹木を見るのとは違った楽しさを知った。最初に日本のいろいろな植物群についてスライドによる説明があった。よく考えたら日本は小さな島なのに、南北に細長いので植物群はとても多様であると気づいた。今まで遠目から山を眺めたことはあっても、植生している木々の種類の違いを気にかけたことはなかった。しかし先生に亜熱帯に見られるようなジャングルから、雪が降り積もるため低い木ばかりが並ぶ山を見せていただいて改めて多様性に気づいた。さらにその一つ一つの植物群ができた理由を推察できる、ということが大変興味深かった。
 今まで、北海道と沖縄の植物群が全く違う様子を見せるのは、ひとえに気候ゆえであると思っていた けれど「植物群の形成には、大きく分けて気候的要因、土地的要因、生物的要因が存在している」と教えていただき、本当はとても複雑な理由が絡んでいると分かった。土地的要因の一例では、土壌にカドミウムが含まれていれば、それに耐えうる植物が群生することになる。生物的要因では、人為的に外来植物がっ侵入して勢力を増した
ていることや奈良県でシカが木の皮を食べて立ち枯れしてしまうなどの例もある。また山頂に草原ができるのは風が強く雪が積もるなどの条件があったり、数年に一度いっせいに帯状に木が枯れるのは、台風の強い風が要因となっているなどの例もある。いろいろな不思議な現象に対し、理由を考えることができる点がとても楽しいと感じた。
 座学の後、実際に野外で清心周辺の植物群について教えてういただき、植物群ができた理由を考察する楽しさをよく理解することができた。陽樹を見て道路などを作る際に一度林を切ったのではないか、マツの子どもがないのとナナミの木を見て今後ここはナナミの木が天下をとる、など、ただ何の木が植生しているのかという事実だけで過去や未来の様子を考察できることに感動した。実物を見て学ばせていただいたおかげで理解が深まり、更に身近な植物を見分けられるようになったこと自体も嬉しかった。西表島の研修では植物の判別だけでなく、その先の「なぜその植物がそこにあるのか」という部分まで観察してみたいと思う。今回の講義で西表島での植物観察が楽しみになった。

投稿者: 秋山繁治 日時: 19:42| | コメント (0)

2009年09月08日

授業「生命」 第13回 カメの調査(9月・捕獲成果)

トラップを仕掛けて、6時間後にトラップを点検した。22地点のうち、11地点で捕獲。クサガメ10匹、ミシシッピーアカミミガメが9匹で、合計で19匹を捕まえた。

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生徒一人一人が担当したトラップを点検

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捕獲の成果は?

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一つのトラップに6匹が最多

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持ち帰って、データ収集

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甲羅の長さ(背側・腹側)の計測

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重さの測定


投稿者: 秋山繁治 日時: 16:50| | コメント (0)

カメの調査(9月・稲刈り前)

授業「生命」の1時間目と7時間目に変更して、1時間目にカメのトラップを生徒一人1個仕掛けた。学校周辺の水路を等間隔に分け、22地点設定した。午前9時30までに設置して、午後3時半までに回収する。トラップ設置時間は6時間。

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トラップを持って、調査地点へ向かう

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学校周辺は水田が広がっている

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道路に面した水路にも設置

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一人ひとりが責任をもって

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コンクリートで護岸されていない場所も


投稿者: 秋山繁治 日時: 14:40| | コメント (0)

2009年09月07日

2009年度 9月から12月までの授業「生命」の予定

9月8日 第13回 野外実習(カメの捕獲調査2回目)
9月15日 第14回 講演及び実習( 倉敷市立自然史博物館:狩山俊悟) 二子の丘の植物観察
9月29日 第15回 講演(九州大学大学院理学研究院:江口和洋) 行動生態学の研究
10月5日 第16回 講演(甲南大学フロンティアサイエンス学部:中野修一・白井健二)
10月27日 第17回 講演及び実習(倉敷市立自然史博物館:江田伸司)二子地域の動物観察
11月10日 第18回 講演(愛知学泉大学:矢部隆) 淡水カメの研究
11月17日 第19回 講演(東京歯科大学市川病院:篠崎尚史) 臓器移植の現状
11月24日 第20回 講演(メディア・フォーラム OKAYAMA:乙竹文子)メディア・リテラシー①
12月1日 第21回 講演(メディア・フォーラム OKAYAMA:乙竹文子)メディア・リテラシー②

投稿者: 秋山繁治 日時: 11:11| | コメント (0)

2009年06月30日

捕獲したアカミミガメの最終的な処置は?

ミシシッピーアカミミガメは、ペットとして「ミドリガメ」という愛称で大量に移入され、大きく成長した段階で「捨てガメ」になっている。帰化動物であり、在来種よりも繁殖力が旺盛で、在来種の生息にダメージを与えている種である。学校周辺のカメを調査では、76%がアカミミガメであった。捕獲したアカミミガメをどうするか、生徒に問った。

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投稿者: 秋山繁治 日時: 07:05| | コメント (0)

もし、生命科学コースで”ニワトリを飼育して食べる授業”をしたら

6月27日の授業で、ニワトリの解剖を大学の研究者にしていただき、生殖腺などの観察をしたが、今自分たち高校生が、ニワトリを飼育し、解剖及び食する授業を計画するとしたら、食べるか、食べないかを質問すると・・・。


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投稿者: 秋山繁治 日時: 06:57| | コメント (0)

2009年06月29日

”ブタのいる教室”の生徒アンケート

「ブタのPちゃんと32人の小学生」(ミネルヴァ書房)を題材に、昨年映画化もされた。ブタを飼う授業実践について、本校生命科学コース二年生に質問した結果が、以下である。1年間飼ったブタの最終的な処遇についての多数決の最後の一票(同数で最終的な結論に直結する)が自分だったら、どう判断するかを考えてもらった。


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投稿者: 秋山繁治 日時: 19:49| | コメント (0)

2009年06月27日

授業「生命」 第11回  ”ニワトリの解剖”公開授業

 広島大学生物生産学部のシュバッシュ・ダス先生のニワトリの生殖腺を観察する講義を、科学英語の公開授業として行った。聴講者は、理科の教員は少なく、英語の教員が多かったので、少しショッキングな内容であったかもしれない。

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公開授業のようす

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ニワトリの解剖

【参加された先生方の感想】
■生徒さんたちの好奇心(小さいころから鳥が苦手だったので、解剖はともかく、最初の儀式には彼女たちのように見に行く勇気がありませんでした)・粘り強さ・集中力にも大変驚かされました。それから、ダス先生の講義・解剖は大変興味深かったです。最初、バングラディシュの話からどうやって卵・生殖の話につなげていくんだろう、と思いましたが、あの切り口はさすがだと驚かされました。思わず笑ってしまいました。あの時は、すっかり私も生徒になっていました(解剖も解説の後だったので、見ていて非常にわかりやすかったです)。英語が英語学ではなく道具として使われている授業を高校で初めて見ました。おたがい第二言語として英語を使う同士として、先生も生徒さんもお互いの内容を理解しようとしている姿勢こそが、あの授業の成果の一つでもあるのだと思います。研究協議でも、理系での英語は本当に不可欠なツールなのだというのを強く感じました。

■バングラと日本の日常生活や食文化の違いなどの話、ニワトリの解剖は、他の学校ではなかなかできない内容だったと思います。貴兄のこれまでの指導の成果の延長線上にあるから生徒たちがあんなに真剣に取り組んでいたのだと思います。彼女たちを逞しいお嬢さんたちに磨き上げてください。期待しております。大変刺激的なプログラムを参観でき感謝しております。

【サポートの女子大学院生の感想】
ニワトリの解剖につきましても大変興味を持って頂きうれしかったです。命を以て我々に動物の生体について教えてくれたニワトリを無駄にすることなく授業を終えることができ、とても感謝しております。また、生物教室でサンショウオやイモリなどを拝見することができとても充実した1日を過ごすことができました。

投稿者: 秋山繁治 日時: 20:48| | コメント (0)

2009年06月16日

2009年度 授業「生命」第10回 同性愛者の視点から社会を分析する

 青樹恭さんの今年の講演は、NHK教育の「ハートでつなごう」の「LGBT」の番組の視聴で始まった。生徒からの質問に、「LGBTって何?」という質問があった。LレズビアンGゲイBバイセクシュアルTトランスジェンダーの頭文字をとったもので、、セクシュアル・オリエンテーション(Sexual Orientation:性的指向)とジェンダー・アイデンティティ(性自認)に関わる性的なマイノリティを総称した用語である。以下の詳細については、以下のページに解説しているので参考にしていただきたい。
http://www.nd-seishin.ac.jp/bio/2003/07/post_197.html#more

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NHK教育の番組から

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今年で11回目の講演

【生徒の感想】
 自分が知っている知識が全てではないとは思っていた。しかし、私が抱いていた同性愛者へのイメージそのものが差別的であること、そしてそれが一般的な差別となっていることに驚いた。同性愛はかつて病気として扱われていたときいて、私は過去のことならそのようなことがあっても不思議はないと思った。だけど現実は何も変わっていないということに気付いた。
 社会は様々なマイノリティを認めていないか、哀れみの対象としてしまう。「臭いものには蓋」という精神は外国であった厳しい刑罰より、無視をしてきた点で悪かったと思う。存在そのものを見なかったことにするのは決してあってはならないことだ。社会は普遍を現すものではなく、個々人の存在を尊重して成り立つべきものだ。知らない他人を知ろうとすることと、自分を素直に表現することが求められる意味を理解
した。同性愛に限らず、その他の障害にに関しても、深く関わりの無い人々にとっては「理解できない」と思うことはそれと同じだ。また、自分がマイノリティの立場にあっても、自信をもって人と関わる勇気も大切だと思った。同性愛者という言葉に余計なイメージを付けずに、個人として違和感なく接することができる人がどれだけいるだろうか。人が個人として自由に生きられる世の中にはまだまだなっていない。マジョリティとマイノリティがわけられるのではなく、一人の人間として個人の幸福が追求できる社会は、決して遠くないと思う。

投稿者: 秋山繁治 日時: 19:15| | コメント (0)

2009年06月09日

2009年度 授業「生命」 第9回 カメの生態調査の方法

今月から学校周辺のカメの調査を始めるにあたり、愛知学泉大学の矢部隆先生が指導に来られた。ミシシッピーアカミミガメとクサガメを中心に、生態、雌雄の区別、個体識別の方法、発信機の取り付け方などを教えていただいた。

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矢部先生はカメが好き!!

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マーキングは穴をあけて

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カメに発信機を取り付け

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クサガメの雌雄(大きいのが雌)

投稿者: 秋山繁治 日時: 20:05| | コメント (0)

2009年06月03日

卒業生の研究内容概説(岡山大学大学院自然科学研究科:下岡さん)

下岡さんは、ショウジョウバエを使って、腸の発生を研究している。現在、博士前期課程M1。ショウジョウバエの変異体の実物も持参しての講義であった。HOX遺伝子など、すでに学習している内容もあったので、少しは理解できたのではないだろうか(受講したのは高2だが、1年生の3学期に生物Ⅱの遺伝に関連した部分は既習)。

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投稿者: 秋山繁治 日時: 21:10| | コメント (0)

2009年06月02日

2009年度 授業「生命」 第5回 野外彫刻調査

岡山駅前の郵便ポスト(ポストの上の桃太郎は西平孝史さんの作品)の前に集合して、まず、西側緑道公園に行って全員で観察した後、3~4人グループで分散して調査した。

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岡山駅前の第六高生の像

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西川緑道公園の像

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グループに分散して調査

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両備バス前の女性像

【生徒の感想】
 今回の授業では、実際に岡山市に出て、彫刻を探した。班のメンバーはみんな岡山に疎い人たちばかりで迷いそうになったり、彫刻のありそうな場所も分からずに、はじめは右往左往していました。ですが、物陰に隠れていた彫刻を見つけてからやる気も出始めました。その彫刻は男性の裸の彫刻だったと記憶しています。なぜか考え込んでいるような格好でした。観光会社の玄関のはしの方に設置してありました。何をおもってあんな目立たないところにあんな像を置いたのでしょうか。未だに分かりません。更に分からなかったのが、郵便局に行って教えてもらった中国銀行の前の銅像です。なぜか、ブラジャーと股引だけを身につけていました。何でなんだろうか。題名も達筆すぎて読めませんでした。前回講義にいらっしゃった女性たちの話が納得できました。あの像は、見るだけでも恥ずかしいし、同じ女としてあんな姿が公衆の面前にさらされているなんて、やっぱり嫌な感じがしました。制作者が男性でも女性でも関係ありません。後は天満屋のアリスでしたが、特に疑問は感じませんでした。そして岡山駅に帰るときは、ジェンダーとは関係なくなるけど、犬、雉、猿の像がとても多かったのに気がつきました。銅像はその土地の文化も表していました。

投稿者: 秋山繁治 日時: 17:35| | コメント (0)

2009年05月27日

2009年度 4月から7月までの授業「生命」の予定

4月14日第1回 授業ガイダンス      前期テーマ:「性」(多様な視点を考える)
4月21日第2回 「生命」を考える①      教材:NHK「ようこそ先輩・貫戸朋子」
5月12日第3回 講演(彫刻家:西平孝史)  ”野外彫刻”の作者からのメッセージ
5月19日第4回 講演(女性フォーラム)   ジェンダーの視点で”野外彫刻”考える
6月2日第5回  実習             岡山駅周辺で野外彫刻の調査
6月3日第6回 研究紹介(岡山大学大学院自然科学研究科:下岡さん)女性科学研究者のロールモデル
6月4日第7回 研究紹介(岡山大学理学部:小川さん)女性科学研究者のロールモデル
6月9日第8回 講演及び実習(愛知学泉大学:矢部隆) カメの生態調査法(テレメの実習)
6月16日第9回 講演(ライター:青木恭)  同性愛者の視点から社会を分析する
6月23日第10回 「生命」を考える②     教材:映画「ブタがいた教室」
6月27日第11回 講演及び実習(広島大学生物生産学部:シュバッシュ・ダス) ”ニワトリの解剖” 
6月30日第12回 講演(獣医:山根辰朗)   ”学校飼育動物”について考える

投稿者: 秋山繁治 日時: 12:05| | コメント (0)

2009年04月21日

2009年度 授業「生命」 第2回

 NHKようこそ先輩の「国境なき医師団・貫戸朋子」を題材にした。前回、ポスターの解釈や課題文を使ったグループ討論で、人にはいろいろな考え方があることを実感してもらった。今回の教材は、戦争での国境なき医師団の医師の発問に対して、小学生が話し合うという内容で、現在高校2年生に生でなった段階で自分たちはどのように考えるのか・・・・ということがテーマであった。

質問1 酸素ボンベを切るか、切らないか
 わたしが国境なき医師団の一員として派遣された現地の診療所で働いていました。緊急の患者さんが来ました。お母さんに連れられた五歳の男の子でした。診たら、はあーはぁーはぁ一ってすごく苦しそうな息をしてるんですよね。目は白目むいてね、目がとんぶり上がって天井を向いているわけですよ。それで、はあーはあーはあ一ってやっている。これはもう助からないと、わたしは確信しました。この子はもうは何をやっても今の状態では助からない。そのとき手伝ってくれていた看護婦さんが酸素マスクをその子につけてあげても、ただ、はぁーはぁーやるだけで顔色もよくならないし、楽にもならない。それでわたしは、どうしようかと思った。これはもう酸素を切ろうか、と。
 そのとき、酸素ボンベは一本しか残っていなかったんです。その一本が最後で、この次ここに、いつ酸素ボンべをもらえるかわからない。ひょっとしたら何か月も来ないかもしれない。けれども、これから酸素ボンベを必要とする人が来て、その人はその酸素ボンベで助かるかもしれない。手術をしなくちゃいけない人、また、生まれたばかりの赤ちゃんには、ちょっと酸素をあげると泣きだして元気になるってことはいっぱいあるんです。だからわたしは、ああ、これは酸素をとっておきたい、と思ったわけです。
 しかし、いっしょに働いていた看護婦さんが (首を振りながら)酸素を切ってはダメダメというジェスチャーをしていました。それでわたしは、もう切ろう、もう切ろうと思いながらも、すぐ切るのはやめて、五秒数える問待って、それでも変わらなかったので切ったわけです。
 君たちならどうするか。そんなことしていいのかどうか。ひょっとしたら助かったかもしれない……。助からないと判断したのはわたしで、それが正しかったか正しくなかったかという証明はありません。わたしの判断ではもう絶対助からないと思ったから切ったのです。けれど、それに対しておかしいという考え方もあるし、そのあとわたしの中で良かったのか悪かったのか結論が出なかったので、みんなに考えてほしいんです。酸素をあげるべきだったのか、切ってよかったのか、考えてください。

質問2 貫戸朋子の生き方は得か、損か。

質問3 自分なら医師として戦場に行くか。行かないか。

【生徒の感想】
 「国境のない医師団」については今まで名前しか知らなかったが、その内容についていろいろと知ることが出来た。しかも、ただ仕事について言うのではなく、実際に医師団の一人として活躍している方が話すという形だったので、心情を知ることも出来てよかった。医師団たちについて、特に驚いたのは医師たちに給料がないこと。どうやって生活を成り立たせているのか気になった。また、給料がないからこそ、純粋に「人の命を救いたい」という医師を集めることが出来るのかな、と思った。
 この仕事は、体力的にだけでなく、精神的にも強くなければやれない仕事であることを知った。他の多くを助けるために、目の前の患者の死んでゆくのを見ていなければならないことなど、自分の意見への自信や、命が亡くなるのを何もせずに見るという覚悟がなければならないと思ったからだ。「国境のない医師団」は現代の人が持つべき力を全て持っている人々が集まるところだと思う。なぜなら、まず、「国境のない」ので英語は必要不可決である。次に、いつ患者が運び込まれるとも知れないのだから、体力が必要である。その他にも、判断力や、道具がなかった時にいかに対応するのかなどが求められているはずだ。そんな自分の持っている能力を惜しみなく発揮できる「国境なき医師団」こそ、究極のボランティアと言うべき物であると思うし、また、その中で働いている貫戸さんは社会の中で働く女性の理想の姿であると思った。
 貫戸さんの酸素マスクの話を聞いて、戦場とは、孤独な場所なのだなと思った。自分は誰からも叱責されないがそのかわり、自分の判断で物事を進めていかなければならない。しかも、扱っているのは人の命である。失敗は許されないのに頼る人も道具もほとんどない。しかし、そういう場こそ、命の重さを最も身近に感じることが出来るのであると思う。 

投稿者: 秋山繁治 日時: 21:44| | コメント (0)

2009年04月19日

平成21年度 川崎医療福祉大学保健看護学科公開セミナー

授業「生命」で毎年公演していただいている鈴井江三子先生から以下のセミナーの案内がありました。

看護の日 「保健看護学科からの発信」
Ⅰ部  講演 「看護職のキャリア形成」 保健看護学科教授 鈴井 江三子
Ⅱ部  卒業生の活躍 -羽ばたけ 専門看護師への道-  

日時  5月23日(土)13:30~15:00
会場  川崎医療福祉大学2601講義棟   
参加費  無料(セミナーへの参加申込みは不要です) 

投稿者: 秋山繁治 日時: 12:03| | コメント (0)

2009年04月14日

2009年度 授業「生命」 第1回

 いろいろな視点から考えるということで、①だまし絵(学習テーマ:人間の視覚の特徴)、②エイズの啓蒙ポスター(学習テーマ:ポスターがのメッセージ性)、③課題文(学習テーマ:グループで話し合いで考え方の差を把握)を教材にした。2時間の設定で、①②を前半、③後半の時間に扱った。

【生徒の感想】
今回は初めての生命の授業でした。テーマは「多様な視点から考える」ということでした。生命の授業ですので理科系の授業かと思っていたのですが、そうではなく、身近なものを教材とした授業で入り込みやすいものでした。
 まず、だまし絵を見ました。これまでにもだまし絵は何度も見たことがありましたが、友達同士で、もしくは家族と、など少人数でしか見たことがありませんでした。それ故だまし絵を見ても、みんな同じものを見ていたのでもう一つの見方を探す方に力を入れるばっかりだったり、自分と違う方の見方を見ても、本当にこんな見方をする人がいるのだろうかと半信半疑だったりしました。しかし、今回クラスのみんなで見た
ことで、自分と違う見方をした人が意外に多くて驚きと感動を覚えたのと同時に、人と違うっておもしろい、と思うようになりました。
 エイズのポスターもとても興味を覚えました。これまで、ポスターは所詮ポスターであり、わかりやすいのが一番だと思っていて、ポスターを見るときに注目するのは、目立つかどうか、言いたいことがわかりやすいかどうかなどのようなところでした。しかし、同じテーマのポスターでも全く違う雰囲気だったり、言いたいこと若干ちがったり、とても奥が深いのだなと考えました。
 物語の登場人物を好感度順に並べるのは、やる前はあまり他の人と大差は無いのではないかと考えていましたが、案外みんな違って驚きました。こういうのは、人の考え方の違いを如実に表していて、他人と自分との考え方を実感させられました。

投稿者: 秋山繁治 日時: 17:56| | コメント (0)

2009年03月03日

授業「生命」 倉敷市立短期大学 平山諭先生

【生徒の感想】
 最初のスライドの絵を見て先生はどんな感情を持ったかを私達に問われました。私が思った、楽しいや可愛いなどの感情は、ドーパミンやセロトニンというアミノ酸が関係している事がと分かりました。また『厳しさ』に関してはノルアドレナリンが切に関係していることを、わかりやすく工夫して教えてくださいました。一人一人に問い掛け、あの多田羅さんも寝る暇がないくらい身近で講義をされました。真面目に突拍子もないことを言われるので面白く、親しみやすかったと思います。この講義で「へ~」と納得し、沢山知らなかった知識を得ました。脳は幸せになりたい、癒されたいと常に思っている事は合点しました。確かに思い返せばヒトはいやな事はできるだけ避けようとするし、癒しを求めて頑張るということもあります。考える力は前頭葉に集中していて、幼児のころに基礎が形成されることも知りました。勉強している時に時々ジーンと熱くなるのはその前頭葉が働いているんですね。扁桃体は『好き、嫌い』に関係する箇所だとわかったんですが、1968年から1978年にかけて急激に働きを失っているという結果を目にして驚き、少し残念に思いました。テレビや携帯が普及してからこのような結果になってしまったということで、今楽している事が自分自身の脳を衰えさせてると思うと、どうすればいいのか少し戸惑います。これから先がどうなっていくのかが少し不安です。それから、最近の小学生の様子をちらりと映像を通してみました。落ち着きがなくなっているのは、ドーパミンが少なくなっているからで、自分の脳を守ろうとしているんだということを知りました。これから幼児と接する時があったら、私も考えて注意しようと思います。でも、小さい子の多少の行動は仕方がないことではないかと思ったりもします。扁桃体が最近の人は小さくなってしまったり、いじめ等でふくらんで脳に何らかの影響が与えられていることについて、どうにかしなければいけない問題だと思います。先生はバナナを食べたらよいとおっしゃっていたので、バナナを食べて心も体も健康であり続けようと思います。

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講義の様子

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生徒も表現することを体感

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ADHDの生徒を紹介

投稿者: 秋山繁治 日時: 20:08| | コメント (0)

2009年02月24日

授業「生命」 神戸薬科大学薬学部 宮田興子先生

【生徒の感想】
今回は、特に創薬についての講義でした。今から約2500年前に、医学の父であるヒポクラテスが柳の樹皮に痛みを和らげる効果があることを発見したのが、アスピリンという解熱鎮痛薬の基だそうです。天然の物から、医薬品として使える成分を発見するということは大変なことですが、凄いことだと思います。また、新薬発見には根気強い観察が必要ですが、その他に、運といったような偶然の出来事も関係するようです。講義の内容の中にでてきた、フレミングの例がそれです。細菌とウイルスの違いについても分かりました。細菌は自分で増殖することができますが、ウイルスは他の生物の力を借りることでしか増殖することが出来ません。だから、ウイルスは他の生物の細胞に寄生して増殖します。ウイルス性疾患には治療薬がありますが、正常細胞を傷つけてしまう等の問題があるそうです。一人一人治療を変え(テーラーメイド治療)、新しい抗ウイルス薬が開発されるといいと思いました。

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講義の様子

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創薬の話

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パンフレットを使って薬学部の説明


投稿者: 秋山繁治 日時: 19:21| | コメント (0)

2009年02月10日

広島大学生物圏科学研究科・ダース先生

バングラデッシュからの留学生のダース先生のニワトリの生殖器官の研究についての話だった。母国の話から始めて、貯精、受精、生殖器官全般を説明された後で、実際に雌のニワトリを解剖して、生殖関連したいろいろな器官の観察をした。

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授業の様子

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雌の輸卵管中での貯精のしくみ

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解剖を開始

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各臓器の説明

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輸卵管を摘出

【生徒の感想】
 広島大学から来られた、バングラデッシュでは教授である先生の講義でした。英語で授業されると思っていましたが、日本語がとても上手で聞きやすかったです。最初に先生の祖国バングラデッシュについての紹介がありました。バングラデッシュに日本以上の人口がいるなんて驚きました。先生も、人口密度がすごいとおっしゃっていました。何より驚いたのが、バングラデッシュでは一人の夫に四人までの妻が許されるという法律があるということです。それが人口が増える原因になっているのでしょうけれど、少子化の日本が人口を増やさなければいけないといえども、妻四人制は避けてほしいです。そのような面白い紹介のあと、ニワトリについての説明がありました。そこで、ニワトリの面白い受精の仕方を学びました。精子をどのくらい貯めれるか、いつどのようにして精子が出てくるのかを、先生は疑問に思われていましたが、私の仮定としては、一定の時期に無意識の状態で均等に出てくるのではないかと思ったりしました。まだまだ謎だらけということがわかりました。
 それから、本物のニワトリから輸卵管をとりだして観察する実験に入りました。ニワトリに麻酔をする時から、周りは緊張の雰囲気でシーンとしていました。ぐったりとしたニワトリの首にメスをいれ、血抜きは思ったより早く終わりました。私たちのために一つの生物の命をなくしてしまうことが少し悲しかったです。先生が解剖して、丁寧に一つ一つ教えてくださいました。輸卵管は、のばすと一本の長い線になり、中に卵がありました。おかげで、どのように卵が形成されるかがよくわかり、一生忘れないと思います。それに、他では味わえない体験をしたとうれしく思います。また、この世界ではある意味人間の都合のために多くの罪のない生物が実験で殺されてることを実感し、少しやるせない気持ちになりました。今回私たちのために死んでしまったニワトリのために追悼の念を捧げます。そして、私たちを学ばせてくれたことに感謝します。

投稿者: 秋山繁治 日時: 19:15| | コメント (0)

2009年02月09日

金沢大学理工研究域自然システム学域 田崎和江先生

今年度で金沢大学を退官され、国外に出られるということで、本校での最終講義として話された。ナホトカ号の重油流出事故、温泉学など、大学の教育や研究だけでなく、地域社会に活動の枠を広げて、環境問題に取り組んでこられた日本を代表する女性科学者である。退官後は、水銀汚染調査で関わられたタンザニアで、大学創設のアドバイザーとして活躍されるということである。

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マンガを題材にした話

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生命科学コース1,2年生が聴講

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重油分解細菌の発見

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重油流出から10年後

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キャンパスの足湯で調査


投稿者: 秋山繁治 日時: 20:56| | コメント (0)

2009年02月02日

広島大学両棲類研究施設・三浦郁夫先生

いろいろな日本産のカエルを持参しての授業、両生類の研究の話から、ヒトの進化、性分化、性染色体の将来、オオサンショウウオのDNA配列の話まで、盛りだくさんの内容であった。

【生徒の感想】
 今回の講演で最も印象深かったのはヒトの進化の話でした。ヒトは直立二足歩行で、進化上ヒトに最も近いチンパンジーはナックル歩行という大きな違いがあり、一体何のためにその違いが生まれたのかという話題から始まりました。今までの説では森からサバンナに出たからとされていましたが、同じように二足歩行に変化していったペンギンの例を元に、水に入ったからではないかという仮説を聞いて最初は驚きました。しかし、ヒトは汗という無駄な行為をする、嗅覚が鈍い、皮下脂肪が多い、などの今の状態に生きるには非合理的な性質をもつことと、その前にお話頂いた獲得形質の“後戻りできない”という話を合わせて考えると本当にそうかもしれないと思い、二つの仮説がかみ合っていく様に感動しました。黒と黄色のサンショウウオのみごとな形質変化、Y染色体が消えても代わりを用意する、などのことから生き物の変化はいつも最適で無駄が無い選択をしていると思っていましたが、獲得形質の話を聞いて案外回り道もしているのだなと思いました。進化の話や、遺伝子の話ははっきりしていない部分があり、まだまだ色んな可能性が存在しているのだと感じました。
 また講演の導入で、普段見比べることのできない様々な種類のカエルを実際に見ることができ、とても楽しかったです。アルビノのカエルがいることも初めて知り、その姿にとても驚きました。ウシガエルがアメリカザリガニのために輸入されたことも初めて知り、ザリガニを捕獲できることにも驚きました。
 他にも遺伝子音楽のお話で、遺伝子配列を音楽にしようというロマンチックな発想がすばらしく、大切だと感じました。感覚的なものとロジカルなものが結びつくことに驚き、遺伝子は神秘的だと改めて感じました。

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講義の様子

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モリアオガエル

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カジカガエル

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生きたカエルを見つめる


投稿者: 秋山繁治 日時: 20:39| | コメント (0)

2009年01月28日

2009年2月の生命科学コース関連の事業

「生命科学基礎」14:50~16:25
2月2日 三浦郁夫(広島大学大学院理学研究科)
2月9日 田崎和江(金沢大学大学院理学研究科)
2月16日 岡本光正(元名古屋大学大学院理学研究科)
2月23日 富岡憲治(岡山大学大学院理学研究科)

「生命」 13:55~15:35
2月10日(火) シュバッシュ・ダス(広島大学生物圏科学研究科)
2月17日(火) 佐々木 緑(重井医学研究所)
2月24日(火) 宮田興子(神戸薬科大学)
3月3日(火) 平山 諭(倉敷市立短期大学)

投稿者: 秋山繁治 日時: 15:06| | コメント (0)

2009年01月20日

岡山中央病院産婦人科医師・金重恵美子先生

【生徒の感想】
産婦人科の仕事について説明していただきました。出産の他にも、性感染症の予防治療、女性特有の病気も婦人科医の仕事だと知り、女性のために大切な仕事だと知りました。現在では、子どもが年間110万人しか産まれてなく、戦後の半分以下だということに驚きました。しかし、少子化と言われている現在でも、4万人以上の中絶がされていると聞き悲しく感じました。
 女性の身体について、閉経しても「男女」は全く違い、薬の効きめから全然違うということで、月経が終わっても、女性は女性で変りはないのだと知りました。金重先生の病院の様子を写真で紹介してもらい、病院とは思えないとても明るい雰囲気に、女性への気遣いを感じました。また、リプロダクティブヘルス・ライツという言葉の正確な意味を教えていただきました。「女性が全生涯にわたって身体的・精神的・社会的に健康な状態であること」、「子どもを産むか産まないか」や「何人産むか」などの判断を女性が自由にできる権利だということでした。昔は、子どもの産めない女性は蔑まれたということを聞き、酷いことだと思いました。戦争中は、子どもは仕事をさせるためになるべくたくさん産むべきだという考えられたり、女の子を産んでも仕事には役立たないと考えられたことが、男女差別がにつながったのだとと考えました。
また、自分の望まない性別の子どもが出来た時は、産婆さんが、濡れた紙を顔にかけ呼吸を止めて殺すこともあったという話を聞いて、とても悲しくなりました。現在でも、10回の出産のうち、1回の割合で母親がなくなる国があるそうで、本当に出産は命懸けなのだと思います。今日は命の大切さについてとてもよく分かる講義でした。

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性周期について説明

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女性の内性器の構造

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月経はどうして起こるか?


投稿者: 秋山繁治 日時: 21:03| | コメント (0)

2009年01月13日

「ジェンダーについて考える」大阪府立大学・東優子先生

生徒の感想・・・今日のお話は、「自分がどんな時女と思うか」という質問を基に説明してくださって分かりやすかったです。女性の体や月経などが女性にしかない、女性と言えることと分かりました。スカートや化粧など女性がするという固定概念があるけど、それは時代とともに変わっていき、今では、男性もするので、女性がするものだと断定することができないなと思いました。また、女性が夜1人で歩いていて怖い思いをした時や電車で痴漢に遭った時社会は女性を非難するという話は興味深かかったです。私も被害者が友達であっても、慰めるよりも、社会がするように彼女も悪かったのではないかと追求してしまうと思います。でも、先生は女性は被害者なのに責められるのはおかしいと言われていました。確かにそうだと思いました。2次被害が起こらないように被害者の話を聞いてあげようと思いました。とても勉強になりました。

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講義の様子

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生徒の中に入って

投稿者: 秋山繁治 日時: 19:39| | コメント (1)

2009年1月の生命科学コース関連の事業

「生命科学基礎」14:50~16:25
1月19日 橋本主税(JT生命誌研究所・大阪大学大学院理学研究科)
1月26日 伊藤敏幸 (鳥取大学工学部物質工学部)

「生命」 13:55~15:35
1月13日(火) 東優子(大阪府立大学人間社会学部)
1月20日(火) 金重恵美子(岡山中央病院副院長)
1月27日(火) 岩尾康宏(山口大学大学院医学系研究科)

投稿者: 秋山繁治 日時: 14:51| | コメント (0)

2008年12月02日

岡山理科大学との連携講座 生物学実習(高2・比較解剖学)

今日は比較解剖学を研究している大学院生が動物の骨格を持参して来られた。最初は、ネコ、イヌ、クマ、シカの骨格(バラバラにしたもの)をヒトの骨格標本を参考にして並べるという作業に取り組んだ。後で、動物の骨格を比較して、共通性や特徴を学んだ。

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いろいろな骨格を持参しての授業風景

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まず、人間の骨格模型の説明

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クマの骨格を並べる作業開始

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ネコの骨格を並べてみると・・

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骨格の特徴の説明

投稿者: 秋山繁治 日時: 19:48| | コメント (0)

2008年12月01日

蚊の基礎知識(その2)

津田良夫 (国立感染症研究所昆虫医科学部媒介生態室) の二枚目のプリントの内容は以下です。

⑫蚊が病気を伝搬する仕組み
 蚊が媒介する病原体は大きく2種類に分けられる。ひとつは、蚊によって体内にとりこまれてから、蚊の体内で増殖して病原体の数が増えるもの(ウイルスや原虫などmicro parasiteと呼ばれる)、もうひとつは、蚊の体内に取り込まれてから発育するだけで増殖しないもの(フィラリアなどmacro parasiteと呼ばれる)。
 病原体は、蚊にとっては外界から入り込んでくる異物なので、これを防ぐ(排除する)ための仕組みを蚊は持っている。その仕組みを回避して蚊の体内で発育したり、増殖したりできるようになった病原体だけが、蚊によって媒介される。病気によって媒介する蚊の種類は異なり、多くの病気では媒介する蚊の種類は限られている。ある種類の蚊の体内で病原体がどの程度うまく発育や増殖ができるかは遺伝的に決まっており、病原体に対する感受性と呼ばれている。
 吸血によって血液とともに病原体が蚊の消化管内に取り込まれる。(蚊など昆虫は開放血管系である。哺乳類のような血管はなくて、体全体が血液で満たされている。)消化管内に取り込まれた病原体は、消化管の壁を通過して細胞や蚊の体液(血液のこと)に侵入する。その後、発育や増殖に適した組織や細胞に入り込こむ。蚊の体内で発育を完了した病原体や体内で増殖した病原体は、蚊の唾液腺(唾液を作り、吸血の時に分泌する組織)に移動する。病原体は唾液腺の内部に入り込んで、蚊が吸血するときに唾液とともに吸血されている動物の血管に注入される。
 病原体が、蚊の体内に取り込まれてから唾液腺に達するまでおおよそ10日から2週間かかる。この間に蚊が死んでしまえば病気をうつすことはできない。

⑭蚊の病気伝搬力を決めている性質
 (1)病原体に対する感受性: 病原体の発育や増殖に適した種類ほど度伝搬力は大きい。
 (2)蚊の生息密度(刺される程度): 蚊がたくさんいるほど伝搬力は大きい。
 (3)人を吸血する性質の強さ(人嗜好性): 人の病気の場合、人をよく吸血する種類ほど伝搬力は大きい。
 (4)寿命: 寿命が長い種類ほど伝搬力は大きい。

投稿者: 秋山繁治 日時: 18:55| | コメント (0)

蚊の基礎知識(その1)

12月1日(月)の津田良夫 (国立感染症研究所昆虫医科学部媒介生態室) の講演前に、生徒が予習しておくように与えられた課題は、「蚊の基礎知識」のプリントを自習習しておくこと!!一枚目のプリントの内容は以下です。

①蚊の種類:
世界中で約3,200種。日本には約130種が生息している。37の属に分類されているが、その中でイエカ属、ヤブカ属、ハマダラカ属の蚊に病気を伝搬する種類が多く、医学的に重要なグループになっている。

②蚊の生活史 
蚊は卵、幼虫、蛹、成虫の発育段階を持つ昆虫である。(完全変態)

③卵
多くの種類では産卵後2~3日でふ化する。ヤブカの仲間には、卵が乾燥すると1ヶ月ぐらい孵化せずに生き続けることができ、雨が降って水位が上がって卵が水につかると一斉に孵化する種類が多く知られている。

④幼虫の発育
夏なら約10日で成虫まで育つ。

⑤吸血
雌が卵を作るために血液を利用する。雌だけが吸血し、雄は花の蜜などを利用している。

⑥吸血嗜好性(好き嫌い)
蚊が吸血する動物は種類によっていろいろ。人を吸血しない種類もたくさんいる。吸血源になっている動物群には、魚(トビハゼのなかま)、カエル、ヘビ、カメ、野鳥(カラス、スズメ、メジロ、ツバメ、ペンギン、フクロウなど)、哺乳動物(ウシ、ウマ、ブタ、ネズミ、イヌ、サル、人など)

⑦産卵
吸血すると3日ほどで卵が完成する。卵を水面に産む種類と壁面の水際に産む種類に分かれる。水面に産む種類には卵を塊で産む種類と1卵ずつばらばらに産む種類がいる。壁面に産む種類は1卵ずつ産みつける。一度産卵すると、再び吸血して卵を作り産卵する。このように5日から1週間ほどのサイクルで、死亡するまで吸血と産卵を繰り返す。

⑧寿命
雄の方が短命で10日から2週間がふつう。雌は飼育条件では平均1ヶ月ぐらい生きる。野外での寿命はよくわかっていない。

⑨移動
雌は吸血のために飛び回る。一生の間に飛び回る範囲は種類によって異なる。藪などに潜んでいる種類は数百メーター、水田で発生して牛や豚など家畜から吸血する種類では数キロの範囲を飛び回る。

⑩吸血行動
大きく分けるとふたつ。動物が近づくのを待ち伏せて吸血する型(待ち伏せ型)と積極的に飛び回って動物を見つけ吸血する型(探索型)がある。

⑪発生源
種類によって発生する水域が異なる。空きカンや竹の切り株にたまった水のように小さな溜まり水から、水田や池・沼・川など大きな水域までいろいろな水たまりを利用する。

投稿者: 秋山繁治 日時: 18:47| | コメント (0)

2008年11月24日

「闇の子供たち」を観るために福山の映画館へ

 授業「生命」では、毎年、東京歯科大学市川総合病院眼科・角膜移植センター長で、日本臓器移植ネットワークの移植コーディネーター委員会委員、WHO臓器移植委員会委員を務める篠崎尚史先生に臓器移植の現状について話していただいているが、東南アジアで、健康な人から腎臓をお金で買って臓器移植を受けていることが国際的に問題になっているという話を聞いたことがある。
 映画「闇の子供たち」という映画が日本人の東南アジアでの臓器移植のことを扱っているということで観たくなり、インターネットで上映館を調べると福山で上映中ということで一人で向かった。この映画では、子どもの心臓移植とともに、臓器売買の問題を扱っているが、現実はどうなのだろうか。
http://www.yami-kodomo.jp/
 大阪大学医学部付属病院移植医療部 福嶌教偉氏のこの映画にするHP上で「まずはタイで、日本人が心臓移植を受けた例はない」そして「心臓移植を受けようと思っている子供の両親が、よその子供を殺してまで自分の子供を助けたい、精神的にそう思っている人は、一人もいない」、「親だから、子供をなんとしても助けたいという思いはあっても、みんな我慢して死んでいっている。人を殺してまで、生きたい、生かしたいという親はいません」、「心臓移植はリスクが高すぎて、儲けということでは成立しないかもしれない」というコメントが掲載さていた、確かに映画ということでで誇張された面はあるのは確かだが、臓器移植のあり方を考えるきっかけになったのは事実だと思う。
 腎臓移植については、タイ臓器移植協会のパイブン会長が「貧困層の提供者から高額で腎臓が買われ、富裕層の患者に移植されている」を明らかにしたという背景もある。

投稿者: 秋山繁治 日時: 21:36| | コメント (0)

2008年11月11日

授業「生命」 メディア・リテラシーの学習(その2) 講師:乙竹文子

メディア・リテラシーの二回目。今日はジェンダーをメディアがどのように扱ったかを題材にした内容であった。オリンピックの開会式の比較(北京とトリノ)、トリノオリンピックでのNHKの報道で、オリンピック旗をもつ8人の女性の説明がほとんどなかったことなどを教材にしたメディア分析や、グループ討議なども盛り込まれた授業であった。

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メディア表現を見直そう!!

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女性の性の扱われ方は?

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女性の体形などを強調

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単純化され固定化された性役割を報道


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投稿者: 秋山繁治 日時: 20:34| | コメント (0)

2008年11月04日

カメの研究者 矢部隆 先生の講演

矢部先生のカメを持参して講演であった。まず、最初に身近な環境に生息するクサガメやイシガメ、そして、食材として翌知らているスッポン、八重山諸島に分布するセマルハコガメ、帰化動物のアカミミガメなどを実物を提示して説明、その後で、カメの進化、性決定のしくみ、最後に、”日本のカメたちの危機”について叫ぶように訴えておられた。

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カメの実物を提示して説明

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スッポンの首は長い

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帰化動物のアカミミガメの害

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外来のカメの悪影響

投稿者: 秋山繁治 日時: 18:46| | コメント (0)

2008年10月14日

授業「生命」 メディア・リテラシーの学習(その1) 講師:乙竹文子

メディアリテラシーとは何かから説明していただいた。メディアリテラシーを「メディア社会で生きるための力」と定義すると、①メディアを主体的に読み解く力、②メディアにアクセスし、活用する能力、③コミュニケーション能力が必要になる。NHK子どもニュースのメディア・リテラシーについてわかりやすく紹介した番組を見てから、具体的なニュース(女子学生殺人事件)や政治答弁の報道の分析などを行った。

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NHK子どもニュースから

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総理の答弁の放送を分析

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ニュース報道が使える価値観とは?

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メディア・リテラシーとは何か?


投稿者: 秋山繁治 日時: 19:22| | コメント (0)

2008年09月25日

小学校・中学校対象”学校飼育動物”アンケートのまとめ

 3月に岡山県下の小学校・中学校に学校飼育動物のアンケートを実施させていただいたが、1学期に生命科学コース2年生全員で記録を整理して、エクセルに入力するところまで終えていた。2学期にプリント出力して、一覧表を完成した。あとはこの一覧表を参考にして、考察のレポートを作成するというのが、授業「生命」の課題になっている。今月末が課題の締め切りで、9月30日には、日本獣医師会岡山支部の学校飼育動物担当の山根先生が来られて、講演される予定になっている。

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小学校と中学校からのアンケート

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一覧表に整理

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どのように考察するか


投稿者: 秋山繁治 日時: 15:27| | コメント (0)

2008年09月22日

「大学院への進学」東京大学分子細胞学研究所 加藤茂明

生命科学コースの1・2年生を対象に、主に日本の大学院のシステムについて詳細に説明していただいた。大学の存在の歴史的な意味、大学院の修士課程は諸外国にはない過程であること、博士課程に進学して学位取得することが研究者として基本的に必要であること、加藤研究室の女性研究者たちはどのような日々をすごして今にいたっているか、など・・・・。あとで多くの生徒がもっと話を聞きたかったという感想をもっていたようだ。加藤先生にとって、高校生に話すのは初めてで、かなり準備に時間をかけてこられたのが手に取るようにわかった。第一線で活躍されて、研究で忙しい日々を過ごされている中で、迷惑をかけてしまった感もあるが、生徒の成長した姿をみせることで恩返ししたいと考えている。

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加藤先生の講義

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大学・大学院のシステムの意味

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分子細胞生物研究所加藤研の全メンバー

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各女性スタッフが研究者になるまでの経緯を説明

東京大学分子細胞学研究所核内情報研究分野
http://www.iam.u-tokyo.ac.jp/bnsikato/index.html


投稿者: 秋山繁治 日時: 20:29| | コメント (0)

2008年06月17日

岡山駅市街地で野外彫刻調査

今年も、授業「生命」恒例の、岡山駅周辺での野外彫刻の調査を実施した。岡山駅には、”桃太郎”の彫刻が二か所にある。郵便ポストの上と駅前広場だ。郵便ポストの上の桃太郎像は、6月3日に講演に来られた西平孝史先生の作品である。

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郵便ポストの上

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駅前広場


投稿者: 秋山繁治 日時: 20:31| | コメント (0)

2008年06月03日

彫刻家・西平孝史先生の新作は?

毎年、彫刻作品の見方について、詳しく教えていただいている。毎年、新作を公開してくれているので、今年は何をテーマにされているか・・・興味津々。

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多くの作品を持ち込んだ授業

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男女の骨格の特徴を解説

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今年の最新作

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ソフトバンクの犬との関係は?


投稿者: 秋山繁治 日時: 18:56| | コメント (0)

2008年03月04日

「脳科学の視点で考える」倉敷市立短期大学・平山諭先生

授業「生命」の最後は、この数年間、平山先生になっています。生徒の人気は非常に高く、わかりやすい講義です。

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講義の様子

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脳内物質と食物の関係を紹介

【生徒の感想】
「脳科学」による心理学のお話でした。今まで聞いたことのない講演内容だったのでとても興味深かったです。そして、今からでもすぐ実践できる要素も多く含んでいました。
今のような社会ルールのある生活をはじめたのは、弥生人からだそうです。大昔から人間は規則に縛られその中で生き続けてきました。人がそれぞれ自分の意見を持つことは悪いことではありません。しかしこのルール社会の中で、多数の人が枠にとらわれず自分の言いたいことやりたいことを行うと社会は成り立たないと考 えます。
GO/NOGO課題の結果からも分かるように、1969年と1979年の10年間で前頭葉での抑制ができず、狩猟人的な人が増えたそうです。今後も前頭葉での抑制が効かない人が増え続ければ、将来の日本はどうなってしまうのか心配です。その大きな原因は、電子画面の見すぎによるイメージ力の退化、からあげなどのトランス型脂 肪酸を摂取する機会が多くなったことなどがあるそうです。これらをなくすことはできませんが、自分で制御し、前頭葉の働きを促進する生活を心がけようと思います。
この話の中で一番驚いたことは、ドーパミンなどの神経伝達物質を食材から摂取できるということです。食材で補うことは手っ取り早くでき誰でも簡単に始められるので、家族にもこの話をし朝、バナナを食べ始めました。
また、「相手の脳を心地よくすること」が、良い人間関係を築く第一歩になります。「言葉と表情」が大切であり、どちらも基本的に生きていく中で欠かせないものです。大学生や社会人になれば新たな人間関係を築くことになるでしょう。そのときのために今から気をつけて生活しようと思います。

投稿者: 秋山繁治 日時: 20:51| | コメント (0)

2008年02月26日

「女性医療について」岡山中央病院・金重恵美子先生

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金重先生の授業風景

【生徒の感想】
今日の講演は「女性ホルモン」を中心とした更年期のお話でした。私は思春期の真っ只中なので、更年期とはかけ離れていて実感もわかず、どのようなものか想像できませんでした。しかし、母はもうそろそろなので、始めは自分のためという感じではなく聞いていました。
「女性医療」が始まったのは30~40年前からでありまだ新しく、今までの薬は男性を中心に作られている物が多いそうです。女性専用の病院は、高1のHRでお話を聞いた上村先生の「ウィメンズ・クリニック」しか知らなかったので、病院の数が少ないことは少し実感していました。昔の「女性医療」とは、出産した後は老後のみだったそうです。しかし、女性も出産までの過程、そして、老後に入るまでの過程は重要であると思います。これらの前後もきちんと管理しなければ、良い出産も楽しい老後の生活も送れないのではないでしょうか。
女性ホルモンの働きについて今まであまり知りませんでした。女性ホルモンが減少すると、アルツハイマーや骨粗鬆症になりやすく、集中力や興味の減退、うつにもなるそうです。髪の毛が薄くなるなどの症状については知っていましたが、女性ホルモンによりこれらの症状がでるとは思ってもいなかったので、女性ホルモンの重要性を改めて認識しました。さっそく帰宅後、母にこの話をしホルモン補充療法の存在を教えました。この療法は、からだとこころの老化を予防する一つの手段になるそうです。また、先生が推進していらっしゃる思考行動習慣、例えば、幸せのレベル・自分が変わる・今、現在にエネルギーを使って生きるなどは、更年期の方々だけではなく、今の私達にも言えることだと思います。今はなんでも当たり前と感じ、感謝の気持ちを忘れかけている人が多いのではないでしょうか。先生の旦那様がおっしゃったという「生きてきたようにしか死ねない」という言葉は、平均寿命から考えると約70年近く生きていくであろう私たちが、今後どう生きていくかを考える上で、忘れてはいけない言葉になると思います。

投稿者: 秋山繁治 日時: 21:38| | コメント (0)

2008年02月19日

「ジェンダーについて考える」大阪府立大学・東優子先生

東優子先生は、ノートルダム清心女子大学で女性学の担当をされていた。今回は、ワークショップ形式を取り入れた講義であった。

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「性」とは何か

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シートに書き込んで、話し合い

【生徒の感想】
今日は「ジェンダー・スタディー」でした。「ジェンダー」については難しい問題ですが、以前に講演を聞いたことがあったので抵抗はありませんでした。
始めに「自分の性は何か、その理由や根拠を8こ書いてください」と言われました。自分が女性であることは当たり前と考えていたので、なぜと聞かれると8個も思いつきませんでした。その後、「セックス」「ジェンダー」「セクシュアリティ」という性に関する3つの概念について教えていただき、グループワークを行いました。みんなが書いた理由や根拠をその3つに分ける作業で、いろいろな人の女性であるという考え方に触れることが出来てよかったです。ほとんどの人と考える根拠は同じでしたが、同じ女性であっても「自分は女である」という根拠の考え方の相違を感じました。
また、「ジェンダー・アトリビューションの実験」という、男性と女性の体のパーツを少しずつ変えて、画面の人は男性か女性かと実験しました。その結論は人は「性器を手がかり」にしているそうです。私も、同じことを手がかりにしていました。
調べる機会はほとんどありませんが、私は染色体によっても判断できるのではないかと考えていました。しかし、DSD‥‥性分化(発達)障害により染色体がXYでも女性の体が作られることがあるというお話を聞きました。
また、性同一性障害の特例法に「男性であれば女性の体にしなければと女性として認められない」という法律があるそうです。例え気持ちが女性であっても体つきが男性のままではいけないという社会の声により、この法律を変えることは難しいようです。もしこのことが認められると、これを利用した犯罪が起こる可能性は捨て切れません。しかし、今すぐは無理でも人々が「ジェンダー」についての講演を聞いて知識を身に付け、この問題に向き合えばこの先、少しずつでも人々の考えは変わっていくと思います。そして、ゲイやレズビアンの人たちについての理解も深まっていくのではないでしょうか。

投稿者: 秋山繁治 日時: 20:33| | コメント (0)

2008年02月05日

「再生について研究する」愛知学院大学・岡本光正先生

ご自身の病歴からスタートし、ご自身の研究から、①イモリのレンズの再生を腹側の虹彩部分から成功、②イモリが中脳の70%を除去しても再生することを確認、を紹介。名古屋大学時代の教え子の最近のnatureに掲載された研究や、山中先生のIPS細胞についても説明していただいた。

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病後10年後の心臓の状況

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プラナリアの再生能力

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アカハライモリの水晶体の再生過程

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イモリの脳の手術方法

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中脳の再生の様子

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ヒトの皮膚からIPS細胞


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投稿者: 秋山繁治 日時: 17:07| | コメント (0)

2008年01月22日

「薬をつくる」神戸薬科大学・宮田興子先生

 製薬科学の研究者の立場で話していただいた。

「人間の体は本来病気になったときに病気と闘うようになっている。薬は、人間の身体が病気を克服し、もとの健康をとりもどそうとするのを助ける物質である。」をベースにして、”薬”について「素材」、「働き方」、「作られ認可されるまでのプロセス」、「アスピリンからタミフルまで具体例」などについて説明された。

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薬の役割とは何か

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医薬品の素材はどのようなものか

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薬はどこにどのように働くか

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創薬のプロセス

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インフルエンザの治療薬とは?


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投稿者: 秋山繁治 日時: 21:26| | コメント (0)

2008年01月21日

「生き物の形をどのように考えるか」JT生命誌研究館・橋本主税先生

科学的な考え方、視点についての説明から、両生類の発生におけるオーガナイザー働きの説明及び従来の考えの間違いの指摘及び実験的証明のアイディアの提示まで一気に90分間で話された。そして、最後に、本校で行われている課題研究でできる発展的テーマ(発生生物学の分野のさらなる理解に貢献できる可能性がある実験)を宿題としていただいた。

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”客観的”に考えるとは・・。

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オーガナイザーはどのように働くか

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従来の体軸のでき方の説明

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橋本先生の体軸のできかたの説明

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オーガナイザーの働き方の説明

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オーガナイザーの発見者の話


投稿者: 秋山繁治 日時: 18:32| | コメント (0)

2008年01月15日

「胚操作とバイオイメージング」 山口大学・岩尾康宏先生 

生命科学への新しいアプローチとして、胚を処理し観察しやすくする方法(バイオイメージング)についての講演であった。特に、精子の先体反応、受精の仕組み、卵割におけるカルシウムイオンの役割、胚の透明化処置、細胞分裂の紡錘糸の観察などについて、詳細に説明してくださった。

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精子の先体反応の観察

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受精直後のCaイオンの観察

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透明化した胚で、細胞分裂の観察

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研究協力体制についての話

【生徒の感想】
 先生の講演は本当に高度なものでした。今までも生物の発生などについていくつかお話を聞いてきましたが、今回の先生のお話は特に、高校生だからといって話を大まかに簡単にというのではなく、私たちにもできる限りたくさんのことを教えてくださっているんだなと感じました。すでに教科書に載っていたりして人々の間で常識とされているようなことではなく、先生自身が今研究されているという最先端の内容だったと思います。印象的だったのは、映像や画像がすごく多かったということです。卵割や原腸形成の様子など、話だけでは想像しにくいところも、すごくきれいな動画や写真が本当にたくさんあって、かなり理解が深められたと思います。そういった画像こそが、先生の研究の方式“ライブセルイメージング”であり、今現在の発生の研究に少しでも触れることができたと思います。
 生殖補助技術について初めていろんなことを知りました。よく“不妊治療”と言われますが、その言い方自体が古いということすら初めて知りました。また、この技術にはさまざまな種類があるということもわかりました。体外受精というのは最近耳にしますが、現在この体外受精で生まれた子供は確か10万人、
12人に1人と言われたのがすごく驚きでした。どれほどこの技術が普及しているのかということがよくわかりました。その他にも顕微受精(ICSI)というのがあって、これなら最低卵1個と精子1個で確実に受精させることができるということを聞いてすごいなと思いました。しかし、先生も言われていたように、生殖補助技術は倫理的な問題ともかなり密接に絡んでいて、きっと日々新しい技術が生み出されていくのだ思いますが、その中でみんなが納得するような技術を選んで使っていかなければならないので、大変だとは思いますが、すごく将来性のある話だと思いました。それから、先生のお話にはわかりやすい例えがよく用いられていて、実際は顕微鏡の中の話なので大きさを言われても想像がつきにくいのですが、身近な大きさの比に例えてくれたりとか、私たちがよく知っているもので例をあげてくれたりして、とてもわかりやすかったです。
 受精卵の外側を透明にして観察するというのには本当に驚きました。そういう全く新しい発想が浮かぶのもすごいと思いました。やっぱり科学者・研究者というのは、人とは違う全く新しい実験をしていくために、すごい想像力とか計画性が必要なんだなと改めて感じました。他にも、カエルの卵が包まれているゼリー状の物質のでき方など、当たり前だと思いこんでしまって普段“どうして?”と感じないようなことまでも先生に一つ一つ教えていただけて、すごく納得することが多かったです。この受精と初期発生の実験は今は両生類でのみ行われていることですが、これから他の生物にもどんどん応用されていき、いつかはその研究結果がヒトにも活かせるとか、ヒトが生きていく上で役立つことになるかもしれません。どんな実験が成されていくのかとても興味があります。

投稿者: 秋山繁治 日時: 17:57| | コメント (0)

2007年12月27日

2008年1月に実施する生命科学コース関連の講演

1月15日(火) 講師:岩尾康宏(山口大学理学部):「両棲類の受精と初期発生」(高2対象)
1月21日(月) 講師:橋本主税(JT生命誌研究館):「発生生物学」(高1対象)
1月22日(火) 講師:宮田興子(神戸薬科大学薬学部):「製薬化学」(高2対象)
1月28日(月) 講師:西松伸一郎(川崎医科大学医学部)「分子生物学」(高1対象)
1月29日(火) 講師:甲元一也(甲南大学先端生命工学研究所):化学と生物学(高2対象)

投稿者: 秋山繁治 日時: 22:46| | コメント (0)

2007年11月27日

東京歯科大学角膜センター 篠崎尚史先生の講演

「臓器移植と生命倫理」という演題で、日本の人口問題から透析患者の医療費の問題、臓器移植の歴史など、高校生にもわかりやすいように噛み砕いて説明してくださった。

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日光の両棲類研究所の頃の話

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NHKの番組にサンショウウオの研究者として出演

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日本社会の現状分析

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人口ピラミッドの変化と日本の将来像

● 篠崎先生のコラム「長寿国・日本」

【生徒の感想】
まず講演の始めに篠崎先生が「植物状態と脳死は全く別のものである」とおっしゃいました。私は今まで両方は同じものと考えていたのでこの言葉を聞いてびっくりしました。
先生は私達が退屈しないようにとの配慮から、本題に入る前に、自分の生い立ちやタモリさんと共演されていたテレビ番組、平成天皇が訪問されたときの写真などを題材にとても面白おかしく話してくださいました。今日のお話は「臓器移植と生命倫理」という難しい内容で大変そうだと思っていましたが、その流れのまま入 られたので、お話にどんどん引き込まれました。
今回の講演は話題が盛りだくさんでした。人口ピラミッドがなぜピラミッドと呼ばれるのか、日本は長寿世界一の国であるが、なぜ世界一になったのかなど過去や現在、未来の日本の姿を見ることもできました。
最初に行われた移植は、自己の皮膚を移植することでした。しかし和田心臓移殖事件の影響もあり、最近移殖が再開されるまで30年間移殖手術はなされていませんでした。
このことが大きく影響し、多くの病院では脳死の判断が難しいと怖がっています。これは患者のために医療を活用するのではなく、医療が法律に支配されている状態が続いていることを示しています。私は臓器提供をしても良いと考えていますが、病院側が組織ばかりに気をとられ患者のことは二の次という状態が今後も続く ようであれば、少しためらってしまいます。しかし先生が「あと十年もすれば病院も変わるだろう」とおっしゃっていたので、安心もあります。
国民の68%の人は臓器移植をしても良いと考えているそうなので、これから日本も海外のように臓器移植がしやすくなると思いますが、課題はまだ多いと思います。私が一番問題だと感じていることは、大変であることは分かるのですが、日本では赤ちゃんに心臓移植ができないということです。臓器移植は体重差が30% 以上の場合無理であり、15歳未満は臓器提供できません。15歳未満の子が自分の意思で臓器提供を行うということを決めることは難しいと思いますが、このままの法律であればこれからの日本を背負う子供たちの命を無駄にしているように思えます。日本の子供たちを救うのは日本の国家がするべきことではないでしょうか。

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投稿者: 秋山繁治 日時: 20:55| | コメント (0)

2007年11月20日

「私と出会う喜び」 鈴井江三子先生の講演

 高校時代から今に至る、鈴井先生の”自分史”を語っていただいた。その中に人生を歩む中での、人との出会いや、生き方を貫くことの大切さを語っていただいたと考えている。

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いろいろな国々への旅

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看護士そして助産婦、大学研究者へ

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講義の途中でリラックス

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働く女性の歴史

【生徒の感想】
● 鈴井先生のお話は、身を乗り出して聞きたくなるほどおもしろいものでした。今回の講演は研究についてではなく、先生の今まで歩んでこられた人生の体験談が主でした。とても活動的にアメリカやヨーロッパアフリカなど数多くの国に行かれて、そこで感じたことが元となり今の先生が作られたのだということがひしひしと 伝わってきました。
 先生が私達ぐらいのときは「この授業はもう二度と受けることができない」と思って授業をうけていたそうですが、私は今までそのようなことを思って授業を受けたことはなかったと思います。しかし、そう思いながら授業を受けると今までよりさらに授業の大切さを感じることができ、一段と授業にも身が入ると思います。
 また、先生は「海外へ行くメリットは、いろいろな文化や様々な肌の色を持った人の中で自分はどうかということについて考えることが出来る。」とおしゃっていました。私も海外は、ニュージーランドとマレーシアしか行ったことしかありませんが、他の国の人と触れ合う中でいつも「自分はどうなんだ」と考えます。欧米 諸国の人々は「経済的生活ができて一人前、自律・自立した」という考えを当たり前と思っています。しかし日本の女性たちは最近になってやっとこのような考え方をするようになったそうです。このように国が違えば、考え方も異なります。その中に自分を置いた時、まだ17年しか生きていない木の種である私は、「これからど うやって生きていけばよいのか」ということがはっきり分かるはずがありません。しかし、まだやり直しがきく今だからこそ、いろいろ欲張って生きるのも悪くないと思うことができました。
 最後に先生のお話の中で最も胸を打たれた言葉があります。それは、「自分のライバルは自分であり、また親友も自分である」という言葉です。人と関わることは、他人と自分を比較するのではなく、自分をより高め、豊かな人間にするために不可欠なこととであると感じました。
●先生のお話からは全体を通して「今を大切に」とか「自分を大切に」というメッセージが強く感じられました。先生の、波瀾万丈というかすごくアクティブな生き方を聞いて、先生は本当に自分が納得して生きていけるように日々頑張られているんだと感動しました。有名になって高い地位が得られると、たとえその人が間違った事をしていても許されてしまいます。最近のニュースを見ていても、そうやって偉い人が悪いことをし続けて逮捕されるような事件がたくさんあります。鈴井先生は、すごく努力して有名になられてから、(もちろん先生は悪いことをしたのではありませんが)、自分が主のようにそこにいること、ワンマンでやっている自分に疑問を感じて、また新しいことを一からやり直す決意をしたという話を聞きました。そうやって、自分を客観的に外から見たりとか、少しでも楽をしている自分自身に気付くということは本当に難しいことだと思います。それはきっと私だけでなく、人間みんなが簡単にはできることではないから、政治内などで罪を犯す人がたくさんいるのだと思います。だからこそ、鈴井先生は“自分に厳しく”できる本当に強い方なんだとすごく尊敬しました。自分に厳しいだけでなく、先生は常に何かに対する興味や、勉強したいという意欲にあふれた方だから、そういう生き方ができたのではと思いました。
 先生がおっしゃられた、「仕事も勉強・留学も、結婚・出産・育児・家庭も…と人生を欲張ることが大切」という言葉が非常に印象的でした。自分は忙しいからといってすぐに何でもあきらめてしまうのでは、本当の忙しい人とは言えないんだと思いました。また、先生は「同じ人間なのに…なんであの人にはでき
て、私にはできないの?」と悔しく感じて、頑張ろうとする気持ちが出てくると言われていました。そんな負けん気の強さというか、自分の可能性を信じて、とにかく努力することの大切さも知りました。その他にも、自分が“ブランドになる”ことで、ありのままの自分に出会えるということや、私たちは生まれた瞬間から死に向かっているのだから、いかに満足して死ぬかを考えて生きろという言葉、そして「今」というときは二度とかえってこないのだから、人生「花」を咲かすのではなく、「木」にならなくては!!ということなど、先生のおっしゃる一言一言が、すごく衝撃的で書き留められないほどでした。
 それから、情報操作にあふれた現代では、日本語の情報だけでは偏りがあり、正しい情報を得るには英語を読まなくては!世界へ飛び出さなければ!!と言われたことについてですが、こういう先生の考え方は、今まで聴いてきた田崎先生を始めとする研究者の方々と共通する点があるのではないかと思いました。これからは、国内での研究だけでなく、世界規模で活躍する力が必要とされているんだなと感じました。

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投稿者: 秋山繁治 日時: 20:46| | コメント (0)

2007年11月13日

理化学研究所 Siu Shan Mak 研究員の講義

理化学研究所神戸研究所(発生・再生科学総合研究センター)から活躍する女性科学者を招いての授業だった。発生生物学の分野の研究でニワトリの初期発生期の胚を使って研究されており、実際に研究材料を持ってきていただき、生徒も実体顕微鏡で、産卵後1日目から3日目までの胚を観察することができた。

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発生生物学の分野の英語による講演

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ニワトリの発生初期の胚

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Siu Shan Mak 研究員

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取り出した胚を実体顕微鏡で観察

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いろいろな発生段階の胚を準備


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投稿者: 秋山繁治 日時: 19:50| | コメント (0)

2007年11月06日

カメの研究者 矢部隆 先生の講演

今回も、クサガメ、イシガメ、セマルハコガメなどを持参していただきました。ただし、今回はカミツキガメ、ワニガメはいませんでした(帰化動物を扱うの法律上の問題を考慮して)。

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クサガメやニホンイシガメの実物を持参して説明

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スッポン

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南西諸島に生息するセマルハコガメ

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リュウキュウヤマガメの危機的状況を説明

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イシガメ幼体(本当の”ゼニガメ”)

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帰化動物で問題になっているミシシッピーアカミミガメ幼体


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投稿者: 秋山繁治 日時: 16:51| | コメント (0)

2007年10月16日

獣医師山根先生の講演

学校飼育動物について、あらためて考えてみるという講義でした。学校飼育動物については、毎年、出身の小学校を訪問して、飼育している動物を見学してレポートを書くことを課題にしています。

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投稿者: 秋山繁治 日時: 18:37| | コメント (0)

2007年10月09日

メディア・リテラシー② 講師:乙竹文子

 衆議院「少子化」集中審議を伝えるニュース報道を材料にして、登場人物の発言の番組構成上の役割や、その発言を選んだ編集側の価値観や考え方を読み解くことを実習した。

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ニュース番組を材料

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与えられたテーマで話し合い

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最後に意見を発表


投稿者: 秋山繁治 日時: 20:51| | コメント (0)

2007年09月11日

2007年度 授業「生命」の9月から12月までの実施内容

9月4日(火):文化祭で授業「生命」を紹介するポスター(課題)の作製
9月11日(火):映画「いまを生きる」を鑑賞
9月25日(火):テーマ「メディア・リテラシー①」(講師:乙竹文子)
10月9日(火):テーマ「メディア・リテラシー②」(講師:乙竹文子)
10月16日(火):テーマ「学校飼育動物」(講師:獣医師 山根辰朗)
11月6日(火):テーマ「カメ研究の視点から」(講師:愛知学泉大学 矢部 隆)
11月13日(火):テーマ「発生生物学の視点から」)(講師:理化学研究所 Siu Shan MAK)
11月20日(火):テーマ「性教育の視点から」(講師:川崎医療福祉大学 鈴井 江三子)
11月27日(火):テーマ「臓器移植」(講師:東京歯科大学 篠崎尚史)
12月4日(火):岡山理科大学の女子大生・女子院生による生物学実習

投稿者: 秋山繁治 日時: 15:22| | コメント (0)

2007年09月06日

授業「生命」の一般公開

 授業「生命」では、いろいろな分野の校外の講師の方に講義をしていただいています。受講している生徒は、生命科学コースの2年生です。以下の日程で、授業を公開しておりますので、聴講希望の方はこちらからご連絡ください。 時間は13:55~15:35で、場所は清心女子高等学校会議棟2階です。

■ 9月25日(火):テーマ「メディア・リテラシー①」(講師:乙竹文子)

■ 10月9日(火):テーマ「メディア・リテラシー②」(講師:乙竹文子)

■ 10月16日(火):テーマ「学校飼育動物」(講師:獣医師 山根辰朗)

■ 11月6日(火):テーマ「カメ研究の視点から」(講師:愛知学泉大学 矢部 隆)

■ 11月13日(火):テーマ「発生生物学の視点から」)(講師:理化学研究所 Siu Shan MAK)

■ 11月20日(火):テーマ「性教育の視点から」(講師:川崎医療福祉大学 鈴井 江三子)

■ 11月27日(火):テーマ「臓器移植」(講師:東京歯科大学 篠崎尚史)

投稿者: 秋山繁治 日時: 13:24| | コメント (0)

2007年09月04日

文化祭に向けて、授業「生命」紹介ポスターの作成

 今まで先輩方が作成したポスターを提示して、見てもらった。今年の生徒の作品は、どんなものになるか楽しみです。9月9日(日)の文化祭のSSHと取り組みを紹介する教室(物理教室)に展示する予定なので、来校された方は、ぜひ見てくださいね。

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授業「生命」がある会議棟(2階で開講)

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過去の作品を展示

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どんな作品にするか思案中

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”性”をテーマにしたポスターが多いかな?

投稿者: 秋山繁治 日時: 14:13| | コメント (0)

2007年06月12日

岡山女性フォーラムの野外彫刻についての講演

 駅前での野外彫刻調査、彫刻家(西平孝史)の話、そして、今日は、野外彫刻の設置を社会的視点でとらえる立場で女性フォーラムの方3名に講演をしていただいた。

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「セックス(生物的な性)」と「ジェンダー」の違いとは

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女性としての扱われ方

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講師の経験からの話

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街角の野外彫刻の具体例

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投稿者: 秋山繁治 日時: 20:04| | コメント (0)

2007年06月05日

彫刻家・西平孝史先生の講演

 先週はJR岡山駅の周辺で野外彫刻の調査活動をしたが、今回の授業「生命」は、彫刻家の西平孝史さんの講演だった。彫刻を作る側の視点で、彫刻の製作過程や彫刻を”みる”視点について学ぶことができた。

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最初に”トウショウボーイ”の製作過程の話

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製作過程を写真で紹介した書籍

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馬の描き方についての話

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デッサン(鑑る)ことを極めることが大切

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具象彫刻の例

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デフョルメした芸術作品

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作品を身近で見る

投稿者: 秋山繁治 日時: 19:36| | コメント (0)

2007年05月29日

2007年度授業「生命」野外彫刻調査(JR岡山駅周辺)

 生命科学コース2年生の総合的な学習の時間に設定している授業「生命」で、岡山駅前に野外彫刻の調査に行った。クラスを4つに分けて、それぞれの分担地域で、野外彫刻を探して、撮影するというのが今回の目的である。来週は、彫刻家の西平孝史先生の講演を予定している。

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出発点のJR岡山駅前に”桃太郎”

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14:00に岡山駅前を出発

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西川公園には野外彫刻が多数設置。

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両備バス本社前の女性の彫刻

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駅前の道路に面したビルの前にも設置

投稿者: 秋山繁治 日時: 17:20| | コメント (0)

2007年05月18日

2007年度 授業「生命」の4月から7月の実施内容

授業「生命」(9年目)

4月17日(火):オリエンテーション・多様な視点を知るための実習
5月18日(火):自己分析(エゴグラム)、AV教材「NHKようこそ先輩・貫戸朋子 」
5月15日(火):AV教材「ETV特集・夜回り先生・水谷修のメッセージ 生きていてくれてありがとう」
5月29日(火):街角の”野外彫刻”調査(岡山市街地)
6月5日(火):【講演】西平孝史(彫刻家)
6月12日(火):【講演】女性フォーラム
6月19日(火):”野外彫刻”調査レポート(課題)作成
6月26日(火):【講演】青樹恭(フりーライター)
7月3日(火):授業「生命」を紹介するポスター(課題)作成

投稿者: 秋山繁治 日時: 09:27| | コメント (0)

2007年04月27日

授業「生命」についてインタビュー

 下の授業「生命」の論文を読んでいただいた方から、ラジオでのインタビューの依頼があった。
放送される日程は、5月17日(火) 14:30~14:45です。

 FMくらしき82.8MHz:小野須磨子の”ごごいちラジオ”『あなたと語りたい』 (生放送)

(現代性教育研究月報2005年8月号から)

総合的な学習の授業「生命」での生き方教育
-「大切なもの」をどのように伝えるか-

 中学校では2002年度、高校では2003年度から学年進行で、「総合的な学習の時間」が実施されている。生徒が自ら学び自ら考える力や学び方やものの考え方などを身に付けさせ、問題を解決する資質や能力などを育むことを目的にするということであったが、文部科学省の義務教育に関する意識調査(2005)で「総合的な学習の時間」について、中学校の教員の過半数が否定的な評価をしていることが分かった。57%が「なくすべき」としている。否定する理由は、「基礎的・基本的な学習がおろそかになる」、「教科との連携が不十分で学力が身に着かない」など学力低下を懸念するものが多かった。また、高校の教員でも、ベネッセ総研の調査(2003)で、約6割が、否定的な評価であった。「生徒の個性が伸ばせる」という点について、「あまりそう思わない」と「全然そう思わない」を合わせると64.6%。「生徒が興味関心を持つ」に63%、「生徒に自ら考えさせる力をつける」に56%が否定的であった。そして、指導方法について、「どのようにやったらよいのかわからない」が69.7%であった。
今、多くの教員が総合学習という新しい枠組みに対して、従来の教育観で捉え、不要論を唱える中で、私自身は、高等学校の「総合的な学習の時間」の枠は横断的な学習ができる点で、大きな可能性をもっていると考えている。そして、「性」を中心にすえた展開によって、人間関係の希薄化する社会で、「生きる力」を育てる教育が実践できるのではないかと考えた。今回は、「総合的な学習の時間」の導入に先駆けて、本校独自の自由選択科目「発展科目」(高2対象2単位)の枠の中で1999年度から開講している授業「生命」について報告したい。

何故、授業「生命」は誕生したか。
最近、中学生だけでなく小学生による殺人事件が起こり、児童・生徒の心の問題が大きくクローズアップされるようになってきた。そして、社会的な危機感から、少年犯罪については、少年法第61条によって容疑者である少年の実名や写真を報道しないという原則があるにもかかわらず、インターネットによって罪を犯した少年の写真が公開されるなど、社会的な規範が問われる問題さえ起きている。また、加害者に被害者の心の痛みや肉体的な苦痛が理解できないという共通点が指摘され、その原因を家庭や人間関係に求められる場合も多い。しかし、児童・生徒は、一日の多くを学校で過ごし、また、学校を中心にした人間関係の中で生きている。学校生活が彼らの考え方や行動に大きな影響を及ぼしていることが事実だとしたら、この社会的現象について学校教育にまったく責任がないとはいえない。学校教育の社会的な役割を再点検し、時代の変化に対応した教育内容を考えることが社会的に要求されていると考えられる。私自身はこのような状況に対して、「生命」についての価値観を形成するために「生き方」を教育することが必要だと考え、授業「生命」を考えた。

授業「生命」はどのように進められているか。
授業「生命」では、「性」についての知識を学ぶことから出発して、人には多様な考え方があることを認識し、最終的に生徒自身が「どのように生きるか」を再考することを目的にしている。具体的な手法は4つに分けられる。①知識の習得を目指した「講義」(担当者以外に校外講師にも依頼)。②グループ討議や心理テストなどによる「自己分析」。③与えられた課題レポート作成のための「調査活動」。④プレゼンテーションをするためのHTML形式での「課題レポート作成」である。各回の授業の感想は、e-mailで提出することになっている。
授業の中核をなすのが「調査活動」で、正解のない課題に教師と生徒で調査や作業をしながら取り組み、共に考える過程を取り入れている。「知識をもった教師が生徒に一方的に教える」という今までの授業では、教師と生徒が興味を共有できるような授業ができないと考えた。知識中心の授業で「教科書に載っていないことは、勉強しなくてもいい」とか、「テストに出なければやらなくていい」という損得の基準で物事を考えるようになってしまっている生徒も多くなり、ボランティア活動でさえ、評価されるからやるという発想になってしまっている状況を打破するためには、生徒にとって魅力のあるテーマを今までの授業とは違う観点から考える必要がある。
前期の「調査活動」の課題は「野外彫刻は猥褻か芸術か」である。野外彫刻の調査をテーマにしたきっかけは、「野外彫刻の設置が猥褻、あるいは女性蔑視につながる」とする意見に対して、自らの調査過程を踏まえて、最終的に女子高生としてどのような意見を持つか、私自身が知りたいという気持ちから出発した。授業は、次の①~④の順に進めている。

①野外実習:30名を5名ずつに分け、班毎に調査地域を分け、90分で往復できる調査計画を立て現地へ行き、1人1つの野外彫刻を見つけてデジタルカメラで撮影し、作者紹介などの掲示物や設置環境、感想を調査表に記録する。

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西川緑道講演での実習。

②自分自身での調査:新たに自宅周辺や通学途上で見つけた野外彫刻を①と同じ方法で調査する。

③レポート作成:持ち帰った記録表からレポートを作成し、プレゼンテーション用にHTML形式のファイルを作成する。

④多様な立場の意見聴取:野外彫刻作者である彫刻家の意見を聞く。

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会場には、多くの作品が展示。

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最新の作品も持ちこんで、製作意図を説明。

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彫刻の作成過程を紹介した書籍で説明。

④野外彫刻から女性問題を考えている女性グループの方の意見を聞く。

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野外彫刻の社会的な問題を説明。

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性と一人ひとりの意見を聞きながら・・・。

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各地の野外彫刻の写真を展示。

⑤自分自身の意見:レポートに自分の最終的な意見を書き加えて完成させる。

 後期の課題は、「学校飼育動物は、生命尊重を考える教材になっているか」である。出身小学校に行って、動物の種類や飼育環境について調査し、ペットや飼育動物の死を考えるなどの考察を行っている。

授業「生命」で何を伝えたか。
授業「生命」は開講して7年になるが、人気講座として定着してきている。「総合的な学習の時間」が設定される前の段階では、「そんな授業をして大学受験の邪魔にならないのか」などの意見があったが、私は「生き方」を考えることが、将来を考える動機となると考えた。事実、これまでに講座の内容そのものが直接的に進路につながった生徒も多い。「生き方」を教育するとは、「考え方」を一定の方向に導くというものではない。提示された材料(教育内容)を生徒自身が学んでいく過程で、「考え方」を身につけていくものである。したがって、この授業は、考える材料の提供(話題提供)の役割をするものであり、どのように考えるかの試行錯誤をどのように体験させるかが指導上重要になる。「生き方」を考える教育では、教科指導のように多くの知識を持った優位なものが劣位なものに一方的に教えるという図式は成り立たない。適切な材料を供給できるかどうかが大切で、指導する側がどのような経験をし、どのように生きてきたかという自らの生き方が問われることになる。
授業「生命」は、調査活動を重視することにより、学習者は普段見過ごしている身近なところにもテーマがあることに気づき、課題解決のための情報収集をインターネットに依存することなく、自分の足で歩いてデータを得るという体験を通して、「どのように生きるか」について再考し、結果的に「性」について学習することができると感じている。授業「生命」で「性」を扱っているのは、「生き方」を考える上で、「性」の問題が重要だと考えたからである。

「性教育」はいつの時代にも必要とされている
性教育の必要性については、これまで多くの調査で確認されてきたことである。「あなたは、性教育を積極的に進める必要があると思いますか」という問いに対して、山口県養護教員会の教員対象の調査(2002)で、小学校98.8%、中学校90.1%、高校83.5%が「必要である」と答えている。岡山県性協議会の教員対象の調査(1993)でも、97%、本校の調査(1996)でも96%が「必要である」と答えている。このように、性教育の必要性については、多くの教員が認めている。このことは、私が性教育に取り組み始めた1986年から変わらない。1990年代になって、エイズが社会的な問題になり、性教育の実践がマスコミにも取り上げられ、特に盛り上がった時期もあった。そして、1999年には文部省から「学校における性教育の考え方、進め方」が発行され、「学校、家庭、地域が実態に応じて、性教育を組織的かつ体系的に展開することが求められています。」という基本的な考えが示され、同年、「男女共同参画社会基本法」が公布・施行され、「男女の人権の尊重」、「社会における制度又は慣行についての配慮」などの5つの基本理念が示された。
 しかしながら、2002年に全国の中学生に「思春期のためのラブ&ボディBOOK」(母子衛生研究会作成)という小冊子を配付する計画がなされたが、配付直前になって、「ピルの勧めになる」「コンドームの使い方を中学生に教えるのはゆきすぎだ」などの意見が出され、結局、配付が中止になったり、2003年には、東京都立七生養護学校での性教育実践が、不適切と判断され、教職員を処分するという事件も起こっている。最近では、それらのことがきっかけとなり、「行き過ぎた性教育」ということでパッシングされている状況にある。また、国外に目を向けるとアメリカでは、禁欲教育の推進とあいまって性教育で扱う内容をめぐる議論が混沌としてきている。しかしながら、いろいろな問題を抱えながらも、今でも性教育が社会的に必要とされているのは事実である。

「何が「性教育」を進めにくくしているか
 性教育は必要であるという意見がある一方で、なかなか進まないというのが、多くの教員のもっている思いではなかろうか。性教育が必要ないとする意見については、今も昔も変わらない。それは、「寝た子を起こすな」、「自然にわかる」というものである。例えば、 学校保健と連携して健康教育に取り組むために保健所がアンケートを実施しようとしたところ、「性交経験がありますか」「初めて性交をした動機は何ですか」「避妊しましたか」などの質問に対して、高校側が反発したケースがある。その主張は「生徒たちは純朴で素直であり、そんな生徒に『みんなこんなことをしているのか』と驚かせたり、性行動を助長するものは実施できない」というもので、「寝た子を起こすな」の発想である。
日本での「行き過ぎた性教育」の批判とアメリカの禁欲教育の主張の共通点は、新しい社会の動き、考え方の変化を取り入れないということである。日本では、行き過ぎた性教育を「性器教育」「コンドーム教育」として、知らなくていい世代にまで教える必要はないと批判している。また、アメリカの禁欲主義教育では、性交に伴うリスクを減らす唯一の方法は、結婚まであらゆる性的活動において禁欲であり続けることであると推奨し、避妊については基本的事実も教えないとしている。
確かに、性の知識は、年齢・発達段階を考えて教えるべきである。しかしながら、社会の変化の中で、教育内容も伝え方も変化することが当然あると考えなければならない。かつて、歴史上、軍事力を維持するために「事実があってもない」と教育したように、教育を、権力を守るための「体制を維持する装置」としてはならない。そして、体制を正当化するのに都合の良いように情報を歪曲することがあってはならない。
 アメリカの禁欲教育プログラムは政府の補助金を受けて実施されているが、その内容について、「連邦政府の補助金による禁欲教育プログラムの内容」という報告書(2004)で、その問題点が指摘されている。禁欲主義プログラムの80%以上に、「リプロダクティブ・ヘルスへの不正確な、誤解を招く、歪曲された情報が含まれていることを明らかにしている。例えば「『コンドームは性感染症の拡大防止に役立つ』という一般に見られる主張には、データの裏付けがない」や、「知的障害の主な原因である未熟児の出産は、最初の妊娠を人工中絶したことによって増加する」、「HIV感染の危険要因として汗や涙に触れることがある」などがある。また、「女性は『経済的支援』を必要とし、男性は『賞賛』を必要とする」にみられるようにステレオタイプの性別役割分業の観念が科学的事実として扱われているなど数多くの間違った内容が含まれている。避妊については基本的事実も扱わない。科学的に誤りを含んだ情報で警告することによって、性行動を抑える発想なのであろうか。「コンドームは、性感染症について十分に防止しない」というメッセージから、「コンドームは役に立たない」と理解したり、結婚まで禁欲することに価値を置くことによって、性的虐待を受けた生徒や、法的に結婚できない同性愛の生徒達が排除された気持ちになるとしたら、どうするのであろうか。このように性教育をめぐる社会状況は混沌としている。

学校教育での性教育はどのように進められるのか。
 これまでの学校教育は、全体としての規律や画一化が優先する集団指導に重点をおいたシステムで運営されてきた。それは、多くの生徒に、効率的に教育を提供する必要があったからである。教育を円滑にするには、集団を管理する必要がある。秩序を守らない、あるいは、自己主張する生徒は排除する必要があった。それは、社会でも一定のルールを守ることができなければ社会を乱すから、学校は社会適応させるために教育する役割があるという考えがある。1980年頃に校内暴力事件が多発し、教師に対する暴力事件が大きな社会問題となった時期があるが、運動場に整列させて生活検査をするなどの徹底した管理で対応した経緯がある。そこには秩序を求める教師と自己主張をする生徒との間でせめぎ合いがあった。
 今は、社会的に生徒の人権を考えた指導が求められる時代に変化してきている。その背景には、「リプロダクティブ、ヘルス/ライツ」を提起したカイロ国際人口会議(1994)、女性の地位向上の指針となる「行動綱領」が採択された北京女性会議(1995)、男女共同参画社会基本法の公布(1999)などに象徴される、女性の人権を守る社会的な大きな動きがある。日本では、旧来の性別役割分業の考えが一般化しており、教育現場でも、性行動では「女子高生の性の乱れ」と表現されるように女性の性経験ばかりに好奇の目を向け、中絶や望まない妊娠などで「傷つくのは女だけだ」といわれるように、男女で非対称的な意識の歪みが存在している。「男女共同参画」を進める動きは、社会の文脈の中に始まり、一定の理解の拡がりを見せている。それは、社会的に多くの人が共有できる必然性を認識したからこそであって、決して一部の推進する人たちがうるさく要求したからだけではない。このような流れに対して、「このままでは日本は滅びる」として旧来の価値観が滅びることが日本の破滅と考えて反対する人たちがいる。日本における「行き過ぎた性教育」批判、アメリカの禁欲教育の推進は、旧来の価値観を守ろうとするものである。
 教育に新しい局面が登場したとき、誰しも迷いがあり、拒絶する面がある。例えば、「情報」の授業が高等学校に導入される前の1997年に文部省が教員(小学校36校・451人,中学校10校・170人)に,「コンピュータ教育」の導入についてのアンケートを実施した。その中に「自分がコンピュータの研修をしてからでないと,生徒には使わせない方がいい」という意見に対する賛否を問うものがあったが,「そう思う」が40%,「そう思わない」が31%,「どちらとも言えない」が27%であった。賛成する意見の根底には,知識として「教員>子ども」でなければ,教材として扱わない方がいいと言う考え、つまり、「知識を持ったものが持たないものに教える」という従来の集団指導的な教育観の呪縛がある。
確かに、性行動で「性交をしない」という選択は、リスクを避ける有効な方法である。しかし、思春期には急激な身体の性的発達に不安になったり、社会経験も少なく、性情報に翻弄されたりするので、性行動に走ったり、性被害にあうこともある。そのときにリスクを減らす教育が必要である。しかしながら、そのリスクを減らすための教育は、恐怖感などの外圧で行動を抑圧するものであってはならない。より正しいことを一方的に「与える」のではなく、どうするかを「自分で考える」過程が大切だと考えている。あふれる情報の中で、外圧ではなく、自分自身で理解し、考えて、「・・しない」と判断できる力を養うことが必要なのである。性教育は、教師自らが当事者として「どのように生きるか」を考える教育であり、「管理」する立場では生徒の自己決定力を育てることはできない。
今、学校教育は新たな局面を迎えているのではないだろうか。「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」の流れが、時代の要請を受けたものだとしたら、多くの人の幸福に繋がるように、育てていかなければならないのではないか。授業「生命」の実践は、模索としての試みである。総合的な学習の時間の枠で、遠回りしたやり方かもしれないが、生きていく上で「大切なもの」が伝えられると考えている。

投稿者: 秋山繁治 日時: 11:26| | コメント (0)

2007年04月17日

2007年度 授業「生命」 第1回

 内容は、前半がオリエンテーション、考え方を学ぶ実習(公共ポスターをみて思考など)、後半がグループに分かれての実習(意見交換)をおこなった。

生徒の感想の一部を紹介すると、

(Y.Oさん)今日の授業前半のポスターの話のことですが、一番衝撃を受けたのは1枚目のAIDSのポスターでした。最初にそのポスターが批判され、撤去された理由を聞かれたとき、数年前に行われたオリンピックの時に選手にコンドームを無料で配られたことが、ふと頭に浮かび、性感染症と外国が深く結びついたイメージを一瞬もってしまいました。が、その後の話で、その当時では東南アジアにまで行って、若い女性を売春するのが普通に行われていて、しかも、「AIDS防ぐためなら、そんな事実を公表することはやむおえない」といった考えを何年か前の日本がもっていたことを知ってとても残酷に思えました。2枚目の女性がコンドームに囲まれた ポスターでは、ジェンダーを感じるのと同時に、明らかに性行為が女性によってもちかけ、行われるもののような印象も受けられました。また、ある高校の文化祭のポスターでは、把握されている企画の内容にくい違いや勘違いがあるような気がしました。ポスターなどはメッセージを伝えたり、呼びかけたりする有効的な方法の一つだけれども、伝える側に少しでも考えていることや意思にずれがあれば、とんでもない事をまねいて しまうものだということも改めて感じました。後半のある話をもとにして、自分の考えを出して、グループでまとめ発表したことに関しては、最初の自分がもっていた考えや意見が友達の話を聞いているうちに大きく変わったり、考え直したり、新しい思いを抱いたりして、 他人の意見は自分のなかになかったものを引き出してくれるので、大切だなと思いました。  また、世代や自分が置かれた立場によって変わることを考えると、他人の意見を聞くことで、その人が今置かれている心境や状況が分かってしまうんだということを知りました。 

(Y.Yさん)ポスター②を見たとき、私は日本から出たらエイズに感染してしまうようなイメージがありそうなので、それが問題とされたのかと思いました。でも、東南アジアでの買春を題材にしていると知って、そんなことが許されていいのかという感想を持ちました。しかも政府があんなポスターを作ってしまったというのを聞いて、いい策が浮かばなかったのかも知れないけれどもう少し考えて作るべきだと思いました。そしてポスター⑤では、最初は思い切った物を作ったなあと感じましたが、やはり考えが足りなかったのではないかと思いました。K高校という、私たちとは違う男子校での考え方もあるのかもしれませんが、私だったら賛成しないと思います。後半の授業では、人それぞれで様々な見方があるということを改めて感じました。クラスに帰ってから聞くと、水夫の順位を3位にした人も居るそうです。私たちのグループでは、若い女性と老人、婚約者と親友の順位を決めるのに少し手間取ってしまいました。けれど、意見をひとつにまとめる時に友達の意見を聞いて新しく考える事もあったし、自分の思いもよらなかった所にまで話を進める事が出来たのでとても良かったと思います。この授業では、社会で問題にされている様々なことにも触れることが出来そうなので、毎回楽しみです。今回は最初ということもあって講演ではありませんでしたが、早く外部から来て下さる先生のお話を聞いてみたいです。私が興味を持っているテーマもありそうなので、しっかりメモを取って聴きたいと思います。

(Y.Wさん)今日の授業は、今までになかったような授業で、いろいろ考えさせられました。まず、2枚目のポスターで、男性がパスポートを持っているものについてですが、はじめ自分で考えたときには、この男性が何をしに行っているのか、このポスターが何を意味しているのかが全く分かりませんでした。しかし、家庭を持った人が買春目的で旅行に行っているのだということを聞いて、本当に驚きました。なぜ政府がそんなポスターを作ったのか、とても疑問に思いました。普通に考えれば絶対におかしいとわかるはずなのに、外国に非難までされるのは、恥ずかしいことだと思います。また、その男性の旅行先、つまり東南アジアの人々の侮辱にもなるのではないかと思いました。それにしても、当時このポスターを見た人々はみんな、これが意味していることを理解できたのかな、と不思議に思います。3枚目のポスターも、はじめはよくわからなかったけど、すごく女性を侮辱しているとわかりました。なぜ、人の目を引くポスターは、批判されるような内容なのでしょうか。誰も傷つけないけど、訴えかける力のあるポスターをつくることは、特に性の問題が関係してくると難しいのかなと思いました。高校の文化祭のポスターも、とても衝撃的でした。あんなポスターでは、不快に思う人も少なくはないはずです。それなのに、学校側は先生たちでさえ、その問題点がわかっていなかったということを聞いて驚きました。私には、あの絵とキャッチコピーの関連性すら理解できなかったのに…。日頃ポスターなど気にも留めていませんでしたが、公の場に貼ってあるからといって、必ずしも良いものとは限らないんだと思いました。後半の、文章を読んで順位付けをする時間には、案外みんな自分の意見がはっきり言えて、しっかりと話し合うことができたので、良かったと思います。その分誰も自分の意見を譲れなくて、班の意見をまとめるのに時間がかかりましたが…。私の付けた順位は意外に特徴的で、同じような意見の人があまりいませんでした。特にみんなと違ったのは、「老人」の順位で、私のように下位のほうに付けている人はあまりいませんでした。上位に付けている人の意見では、「老人」自身の考えを押しつけず、「若い女性」の気持ちを尊重しているので好感をもったということでしたが、私は「若い女性」の立場で考えたのですが、自分が困って相談しているのだから、「老人」は具体的に答えてあげるべきだと思いました。これは、私自身が優柔不断で、人に意見を求めているところがあるのかもしれないな…と思ってしまいました。今日の授業は、今まで考えたことのないようなことをたくさん考え、それをみんなで話し合うことができて、良かったと思います。

投稿者: 秋山繁治 日時: 21:45| | コメント (0)

2007年02月27日

授業「生命」福山大学生命工学部 秦野琢史先生

 2006年度最後の授業「生命」は、生物工学分野の話をしていただいた。遺伝子組み換えから、倫理的な問題、先生自身の研究テーマについての具体的な説明を盛り込んだ、わかりやすい説明であった。

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遺伝子組み換え技術のキーワードの説明

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遺伝子組み換え技術の具体例

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酵母菌にセルロースを分解する働きを導入

投稿者: 秋山繁治 日時: 20:07| | コメント (0)

2007年02月13日

授業「生命」 愛知学院大学 岡本光正先生

 「再生」とは体の一部が夫われても、もう一度、ときには二度三度と、元のような姿、形を修復する生物現象のことです。
 皆さんも一度は聞いたことがあると思いますが、「トカゲのしっぽ切り」という現象があります。この現象はトカゲという爬虫類に見られるきわめて珍しいものであると考えられがちです。
 確かにヒトではある器官、手とか足を失った場合に再生はしません。しかし、ヒトであっても傷が治るというのは重要な再生現象なのです。この現象は決して珍しいものではなく、すべての生物に備わった生命を維持するために基本的に重要な性質だと言えるのです。一般的には下等になるほど、また発生の早い時期のものほど再生能力は高く、ヒトを含めた哺乳類のような高等動物の再生能力は全生物界を通じてもっとも低いものなのです。そこで、私たちはとかくこの能力のめざましさ、生命維持における必須な意義を見逃しがちなのです。
 私たち再生研究者は、今述べてきた“動物の再生現象やその仕組みを解明しようとする学問”を「再生生物学」と呼んでいます。
 最近、生物が基本的に必ず持っているこの再生能力を、何とかして発揮させて、これまで治らなかった病気を治そうとする「再生医療」に非常に注目が集まってきました。”21世紀の医療の中心は再生医療である”とも言われるくらいです。
 現在臨床応用が始まっているか、近い将来多いに利用が期待されているものに、万能細胞(胚性幹細胞、ES細胞)や間葉系幹細胞があります。これらの細胞はほとんどすべての細胞種になれる性質を持っているため、体の外で必要な細胞に増殖・分化させてもう一度患部に移植するか、幹細胞を患部に注入して増殖・分化させて病を治そうとするものです。
 私たちは新聞やテレビで”再生医療は夢の医療である”と思ってきました。確かにこれまでの医療に比べて、素晴しいところがたくさんあります。しかし本当に現在考えられている幹細胞の移植が再生医療のすべてなのでしょうか?もともと再生や幹細胞という言葉は生物の再生現象からきたものですが、医療の臨床応用にまで視界が拡がったいま、再生生物学の出番は無くなったと言っていいのでしょうか。

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演題は”再生生物学から再生医療の未来を探る”

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イモリの肢の再生の様子

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イモリでは多くの器官で再生可能

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イモリの脳は再生するか

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投稿者: 秋山繁治 日時: 23:08| | コメント (0)

2007年01月16日

授業「生命」 金重先生の講演の感想

感想①
 金重先生はとても、前向きに考える先生だと思った。「会いたくない」と思う人でも、そんな事を思わないように、「この人と会うのは何かの縁。」また、「私の使命は・・」などと思いながら生活していることを見習わなければと思った。
 産婦人科の先生はだんだん少なくなっているというのはニュースを見ていて知っていた。でも、医者になる数は増えているというのも聞いていた。科によって人数が増えたり、減ったりしているんだとわかった。産婦人科というのは、体力的に大変だと思う。いつ出産が始まるか分からないし、ちゃんと出産したとしても、お 母さんも赤ちゃんも危ない状態だったら大変だし・・・でも、喜びは他の科に負けない、もしくは1番かもしれない。私は出産に立ち会ったことが無いから、推測だけど、でも外科の手術で助かったというのも嬉しいけど、命が誕生する場面に居れるということは何にも負けない素晴らしいコトだと思う。だから、大変かもしれない けど、産婦人科の先生は人1倍喜びが感じられる職業だと思う。
 また、日本が女性医療について、凄い遅れていたことに驚いた。1999年に、ピルが発売されたのにも驚いた。私は結構早くあるものだと思っていた。また、昔は働き手(男性)の医療が発達して、女性は後、という感じで、その中でも、女性が赤ちゃんを産む医療は発達したけど、思春期や更年期の頃の症状などの医療が 発達していないことにも、最近注目みたいなことで、また驚いた。そして、健康貯金をしなくちゃと思った。月経が始まって10年で骨が出来るというのを初めて知った。だから、将来骨粗しょう症にならないために、牛乳や小魚などを食べようと思う。今のうちに骨を丈夫にしておきたいし、金重先生がおっしゃっていた80歳に なっても背筋を伸ばしてシャキとしていたい。
 安心して出産や体の相談が出来るような産婦人科の病院を見つけたいし、またそのような病院が増えれば良いなと思う。そして、女性の先生がもっと増えてくれたら、と思う。

感想②
 金重先生がおっしゃっていた事は私を色々と考えさせてくれました。例えば、出生率の問題や平均寿命の話・・・金重先生の時代は今の出生率の約2倍程あった事に私はすごくびっくりしたし、昔は平均寿命が50歳くらいだったこと。出生率の事に関して私が思ったことは、やっぱり女性が産みたいけど産めないとか色々と問題があるんだろうなあと思いました。というのは、仕事を続けたいからとかさまざまな理由があったりするのだと思います。また平均寿命の話で思ったことは女性の平均寿命が80歳代位という事は嬉しいとは思ったけどやっぱり老人よりも若い人がいないと日本の世の中を支えていけなくなってしまうのではないのかなあとも思いました。長生きすることはとても良い事だけど生まれてくる子供の数も増やさなきゃと思いました。また、女性に悩みが多い月経についての話はとても勉強になりました。過激なダイエットは本当に恐いのだなあと思いました。今回の金重先生の話を忘れず日々過ごしていきたいです。

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投稿者: 秋山繁治 日時: 23:35| | コメント (0)

授業「生命」 岡山中央病院・金重恵美子先生の講演

 2007年最初の授業「生命」は、産婦人科医の金重先生に話していただいた。先生は、岡山県の性教育の実践で有名な先生ですが、今回は”女性の生き方”について、指針になるアドバイスをいただいた。

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熱い心を語っていただいた。

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セクシュアリティーに関することの自己決定

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どんなことを大切にしないといけないかを考える

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中学生・高校生の時期にきちんとした身体をつくれ!!

投稿者: 秋山繁治 日時: 20:39| | コメント (0)

2006年11月21日

授業「生命」愛知学泉大学・矢部隆先生の講演

淡水カメの日本での第一人者である矢部隆先生に講演していただいた。実際に、名古屋の自宅から、ワニガメ、カミツキガメ、ミシシッピーアカミミガメ、スッポン、ニホンイシガメ、クサガメなどを持ち込まれて、ニホンでのカメを取り巻く環境、特に帰化動物について詳細に問題点を話していただいた。実物を提示されたときは、生徒たちは、生きているカメに接する機会がほとんどなかったようで、興味津々な態度で見入っていた。

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生きているカメを持ち込まれて話された。

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大きなワニガメ

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獰猛なカミツキガメ

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投稿者: 秋山繁治 日時: 15:52| | コメント (0)

2006年10月31日

東京歯科大学市川総合病院角膜センター長・篠崎尚史先生の講演

 授業「生命」を1999年から始めて8年になりますが、篠崎先生は、今回で8回目、つまり、毎年欠かさずお越しいただいている数少ない講師の先生の一人です。医療の視点から”生命”を語っていただいています。

篠崎先生のコラム
http://secondlife.yahoo.co.jp/health/master/profile/d101snaos.html

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医療の視点から”生命”を語る篠崎先生

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熱心に聴講している生徒の様子

まず、「日本は今、どんな国なんだろう?」と問題点を投げかける。”世界一の長寿国家”、”WHOでは over all performanceで第10位”、”少子化 出生率1.25(2005)”、”65歳以上6500万人 100歳以上2万人を超える”という現状にある。

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日本の現状を分析

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投稿者: 秋山繁治 日時: 20:12| | コメント (0)

2006年10月14日

10月31日の東京歯科大学篠崎尚史先生の講演

 次回の授業「生命」(10月31日13:55~15:35)は、東京歯科大学市川総合病院角膜センター長の篠崎尚史先生をお招きします。先生の講演は、今年で8回目(1999年開講から継続)になりますが、もっとも生徒に人気のある講義の一つです。日本の臓器移植を取り巻く状況を中心に、移植コーディネーター養成の問題などについて話されます。”生命”について考える材料を提供していただきます。聴講は可能ですので、ご希望される場合は、担当の秋山までご連絡ください。

篠崎先生のコラム
http://secondlife.yahoo.co.jp/health/master/profile/d101snaos.html

投稿者: 秋山繁治 日時: 21:20| | コメント (0)

2006年10月10日

女性科学者に聞く:生物科学分野

今回の講演は
理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター
形態進化研究グループ 大宅 芳枝 先生

研究センターに勤める本校の卒業生の推薦もあり、依頼させていただいたところ快く講演を引き受けてくださった。

「卒業生の推薦」
 わたしは本当に毎日、大宅さんに支えてもらっています。えらーいと思うことは度々あるのですが、そんな中の一つを。新しい人がラボに来たときのこと。お互い名乗り合った後、大宅さんは「いつでも頼りにしてくださいね。」と。・・・なかなか言えることではなぁと頭が下がりました。わたしはまだまだ言えそうにありません。そう言えるだけ、日々、自分の研究だけでなく人の世話も進んでしているラボみんなの大きな支えです。
大宅さんの中には、(誰かに)頼って生きればいいやというふにゃっとした気持ちがなく、常に、自分で立とうとすっと前を向くことをし続けている人だなと、わたしは感じます。うまく行かないときには、美味しいものを食べに行き、またなんとか前を向いています。わたしはもうくじけそうですが・・・。偏っていたり変わった考えを持つ人間の多い世の中、柔軟ながらも健やかな考えの持ち主です。分かってくれる人がいるというのは本当にありがたく、そして心強いです。なかなか大変な世界だと感じますが、興味のあることを続けていられる状況にある大宅さんは、今のわたしには、とてもうらやましい存在です。がんばってほしいなぁと思っています。

「講演内容」
 前半は、「研究はどこでできるか」、「どのようなルートで研究者になれるか」、「女性研究者の悩み」、後半は、今取り組んでいるカメの発生の研究の話であった。

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”研究はどこでできるのか”

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”どうしたら研究者になれるか”

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”研究者に求められる能力とは何か”

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”女性科学者の悩み”

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投稿者: 秋山繁治 日時: 17:27| | コメント (0)

2006年09月19日

メディア・リテラシー講座①トリノ・オリンピックの報道番組を分析

 トリノ・オリンピックの開幕式の報道番組を分析し、メディアは番組をどのような考え方に基づいて構成しているか、その問題点は何かを考える授業が展開された。授業は、メディア・フォーラムおかやまの乙竹文子先生に担当していただいた。開会式のメインテーマとして扱うべき”オリンピック旗入場(平和と友愛を象徴する世界の8人の旗手が登場)”のシーンが番組ではカットされていた。

8人の旗手は以下の8名であった。
 ソフィア・ローレン:イタリア・アメリカ合作の反戦映画「ひまわり」に主演した女優。
 イザベル・アレンディ:ラテンフェミニスト文学作家、ジャーナリスト。
 ナワル・エル・ムタワケル:イスラム教女性で最初の金メダリスト。
 スーザン・サランドン:オスカー賞、アカデミー賞受賞女優、ユニセフ大使、平和運動家。
 ワンガリ・マータイ:女性環境保護活動家、環境天然資源副大臣、ナイロビ大学初の女性教授。
 マヌエラ・ディ・センタ:7つの金メダル取得、トリノオリンピック選手村村長。
 マリア・ムトラ:金メダリスト、マリア・ムトラ・スポーツ基金創設。
 ソマリー・マム:人権活動家、非政府組織”アフェシップ”創設、アストウリアス皇太子賞受賞。

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番組を見た後で意図的にカットされた部分を解説

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五輪旗をもった8人の女性をそれぞれ解説

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グループに分かれて、課題について話し合い

投稿者: 秋山繁治 日時: 15:22| | コメント (0)

2006年06月13日

女性フォーラムの視点で”野外彫刻”を考える

先週は彫刻家の西平孝史先生が、作者の視点で”彫刻”について語っていただいた。今週は、”野外彫刻”について、ジェンダーの視点で考えると女性の人権に関わる問題があるとする女性フォーラムの方々に語っていただいた。

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岡山市さんかく岡山の真邉先生

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真剣に意見に耳をかたむける生徒達


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投稿者: 秋山繁治 日時: 20:39| | コメント (0)

2006年06月06日

西平孝史の視点で”彫刻”を考えると

授業「生命」の「今回の講演は、彫刻家、西平孝史であった。ウマの足の骨格、人の上腕の骨格、顔の骨格、男女の身体的特徴・・・など彫刻をつくる場合に、詳細な部分まで配慮してつくっていることを説明された。

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身体をデフォルメした新作。

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競走馬トウショウボーイの制作過程を語る。

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投稿者: 秋山繁治 日時: 20:49| | コメント (0)

2006年05月30日

教生の先生が研究内容を発表

今年も、授業「生命」で、理系に進学した卒業生(教生)に、研究内容の説明や大学生活の様子などを発表してもらいました。今年は、物理系ばかりになってしまいました。

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岡山大学理学部4年生の「超伝導」の話

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岡山大学大学院修士課程の院生の「素粒子」の話


投稿者: 秋山繁治 日時: 16:07| | コメント (0)

2006年05月17日

授業「生命」・ETV特集水谷修講演をテーマにして

生徒の感想から・・・。 

感想・その1(Oさん)
 水谷修先生の本はほとんどすべて読んでいますが、公演を聞いた事はありませんでした。授業の中で講演を観ることができてとてもラッキーでした。薬(ドラックなど)は4人に1人とかなり高い比率で使っているって事を水谷先生が熱心に話しているのをみて、「水谷先生は身近で薬を使っている人がいて薬で死んでいく人がいるから、1人でも多くの人に薬とは縁の無い昼の生活を送ってほしい。と訴えている」と言う事が活字で伝わってくるよりも、映像で伝わってくる方が実感がわく感じがしました。また、水谷先生は自分のことを「淋しがりやだから子供たちと一緒にいる時間が好」だとおっしゃっていました。水谷先生がなぜ命はってまで夜回りをしているのか少しわかった気がしました。私なら決してマネのできないことだけれども、水谷先生は子供が好きで孤独が嫌いで頼られるのが大好きな人なんだろうなと伝わって来ました。そしてなぜ子供達は水谷先生には心を開くのか。それは、声のよさ・笑顔・優しいオーラ…そして自分の為に命をはって自分のことを理解してくれようとしてくださるから…だと感じました。子供を叱らずに教育なんて難しいと思います。けれど水谷先生は褒めて褒めて褒めて教育してくださる。子供のHELPに答えてくれる大人は少ない。だから数少ない大人だからこそ子供は水谷先生に依存してしまうのではないか…と心配になってしまいます。私なら私を思いっきり褒めてくれる人がいるのならば何時もその人と一緒にいたい…きっと強く願います。しかし、水谷先生は生徒が増える一方です。多くの人と接していると嬉しいことも沢山あると思います。しかし、悲しいことだってこれから増えていくと思います。どうしようもできないことだってこれから沢山出てくると思うのです。そんな時も水谷先生は自分を責め続けるのでしょうか。

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投稿者: 秋山繁治 日時: 18:52| | コメント (0)

2006年04月01日

総合的な学習の授業「生命」での生き方教育

2005年8月 現代性教育研究月報vol.23,No.8,p1-5.(PDF)

■はじめに
中学校では2002年度、高校では2003年度から学年進行で、「総合的な学習の時間」が実施されている。生徒が自ら学び自ら考える力や学び方やものの考え方などを身に付けさせ、問題を解決する資質や能力などを育むことを目的にするということであったが、文部科学省の義務教育に関する意識調査(2005)で「総合的な学習の時間」について、中学校の教員の過半数が否定的な評価をしていることが分かった。57%が「なくすべき」としている。否定する理由は、「基礎的・基本的な学習がおろそかになる」、「教科との連携が不十分で学力が身に着かない」など学力低下を懸念するものが多かった。また、高校の教員でも、ベネッセ総研の調査(2003)で、約6割が、否定的な評価であった。「生徒の個性が伸ばせる」という点について、「あまりそう思わない」と「全然そう思わない」を合わせると64.6%。「生徒が興味関心を持つ」に63%、「生徒に自ら考えさせる力をつける」に56%が否定的であった。そして、指導方法について、「どのようにやったらよいのかわからない」が69.7%であった。
今、多くの教員が総合学習という新しい枠組みに対して、従来の教育観で捉え、不要論を唱える中で、私自身は、高等学校の「総合的な学習の時間」の枠は横断的な学習ができる点で、大きな可能性をもっていると考えている。そして、「性」を中心にすえた展開によって、人間関係の希薄化する社会で、「生きる力」を育てる教育が実践できるのではないかと考えた。今回は、「総合的な学習の時間」の導入に先駆けて、本校独自の自由選択科目「発展科目」(高2対象2単位)の枠の中で1999年度から開講している授業「生命」について報告したい。

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投稿者: 秋山繁治 日時: 17:15| | コメント (0)

2006年03月29日

論文:「生命」をテーマとして高等学校の総合学習でどのような取り組みができるか。 

はじめに

岡山県内の私学では1996年頃から校名変更・共学化、公立では2001年度から入試制度の学区制の変更に先立っての教育課程変更などを含む「特色づくり」の試みが話題になるようになった。本校でも、独自に教育改革のためのプロジェクトチーム(1994年7月から1996年 8月)を組織し、これまでの教育内容の再検討を行い、新学習指導要領の改定が告示される直前の1998年度から教育課程を大きく改定した。そして、自由選択科目として高校の学習範囲を超えた内容を広範囲に学習する「発展科目」と、コンピュータとインターネットを取り入れた授業「国際情報」が誕生した。「従来の教科の枠を超えた授業は冒険的過ぎる」とか、「コンピュータ導入は受験指導の邪魔になる」という意見もあったが、新指導要領での「総合的な学習の時間」と「情報」の誕生が追い風になり、1998年度から年次移行で実施することが決定された。
2003年度から高校の教育課程に、今までの教科の枠を超えた内容が扱える「総合的な学習」が導入された。「生きる力」を育てるという視点で考えれば、「性」も大きなテーマになると考えたが、予想に反して「性」を中心に扱った取り組みが全国的に少ないのが現状である。今回は、「総合的な学習の時間」の導入に先駆けて、本校独自の自由選択科目「発展科目」の枠の中で1999年度から開講している授業「生命」について報告したい。

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投稿者: 秋山繁治 日時: 16:18| | コメント (0)

2005年05月21日

「先輩からのメッセージ」岡本祐佳

私がこの進路を選んだ動機は、中学生の時から老人ホームなどを訪問しているうちに看護師という仕事に興味を持ち始めたことからはじまります。看護師は患者さんの身の回りのお世話をするだけではなく、患者さんの目には見えない心をも理解していかなければなりません。そんな人との係わり合いが絶えることのない看護師という職業はなんて素晴らしいのだろうと思い、この進路に進むことを決めました。
 今ではその看護学専攻を選択してから1年が経ちました。今でも看護師という職業への情熱を絶やすことなく大学生活をおくっています。つい先日ですが、国立療養所の長島愛生園に実習に行ってきました。まだ技術的なことはほとんど習っていないので、みなさんの想像する看護実習というようなものではありませんでしたが、人として大切なことをたくさん学んできました。机上の勉強だけでは体験することのできないことがたくさんあるのだと気づかされました。また部活動では、わたしは軟式テニスをしています。高校の部活は英語部だったので、大学に入って何か運動がしたいと思いテニスを始めました。サークルと違って部活は多少厳しい面もありますが、毎日充実した日々を送っています。
 さて、わたしは大学に入って思ったことがあります。それは目的を持つことの難しさです。わたしはただ漠然と看護師という仕事に夢を見て大学に入ったわけですが、同じクラスにいる具体的目標を持っている人たちと比べると意識が低いと自分で感じます。すごく悲しいことです。ですから、生命科学コースを選ぶみなさんには、是非具体的な目標を持って一心不乱に頑張ってほしいなと思います。なぜこのコースを選んだのか、なぜこの学部を選ぶのか、自分の中でしっかりと考えてほしいなとわたしは思います。目的さえしっかりしていれば、どんなに辛いことでも乗り越えていけると思うからです。しっかり頑張ってください。

岡山大学医学部 保健学科 看護学専攻2年 岡本祐佳

投稿者: 秋山繁治 日時: 23:20| | コメント (0)

2005年05月01日

先輩からのメッセージ:後藤(旧姓三宅)敦子

一緒に授業「生命」を2003年度まで担当していた三宅先生からのメッセージです。

 清心女子中学校・高等学校で7年間教壇に立ち中学理科と高校生物を教え,現在はパートナーの仕事の関係で渡米し,次の目標探し中です。
渡米直後は生活のために必要な英語を習得することが必要なこともあり,久々の学生生活を楽しく過ごしていましたが,半年過ぎた頃から何かが足りないと気付きました。その「何か」というのは「目的」でした。何かを学ぶには目的意識がなければ意欲が湧かず,長続きさせることも難しいのです。
目的を見つけるためにはまず「自分が興味を持っている分野」に関する知識を得ること,そして「自分がやりたいことは何か」を探すことが大切ですが,その過程で「面白い!もっと知りたい!調べたい!」と思える刺激的な情報を得る機会があるか否かが大きなカギになると思います。
自分がかつて担当していた清心女子高校独自の発展科目の授業「生命(共同開講)」,「人間とバランス」では時々現役薬剤師など講師を招いて講演をお願いしていましたが,まさに生徒にとって「刺激的な情報を得る機会」となり得ていたようで,この授業をきっかけの一つとして進路を決める生徒・志望学部への進学意志を固める生徒が多くいました。
理系進路を選択する上で科学の知識を得て「面白い!」と感じるというのは非常に大切な動機だと思います。「理系科目の成績が良い」ことが必要条件ではありません。実際に化学に苦労しながらも「○○の仕組みを解明したい」という大きな夢を持ち,薬学部へと進学した生徒もいます。また,英語が読めることが研究には必要(重要な論文はほとんど英文)なので理科が良くできるより英語に強い方が良いということもあります。
面白いと感じるからこそ,「不思議だ。何故だ。もっと知りたい。」という探究心につながるのだと思います。面白いからこそ,少々大変なことであっても頑張ることができるし,またやり甲斐もあるのです。
研究の道では「人と同じことをするのでは意味がない」とよく言われます。なぜならば,人と同じことをしている限り,真似にしかならないのです。そういう意味で,「自分を持つ」こと,「オリジナリティー(独創性・独自性)」といったことも研究者には大切な要素です。
また,考えたことを実践する「行動力」,興味を持ったことに対し自ら動く「積極性」,これらはどのような分野であっても非常に大切なことです。高校在学中に多くのものを得る生徒には必ずといって良いほどこの2つの要素があります。
ここまで読んで「結構該当するわ」と思うあなた,ライフサイエンスの分野へ挑んでみませんか?
生命科学分野にはまだまだ多くの謎があります。またその多くの謎の解明が世界的にも切望されています。その謎の解明に携わる女性ライフサイエンティストへの第一歩を是非踏み出してください。

投稿者: 秋山繁治 日時: 20:24| | コメント (0)

2005年04月03日

「先生からのメッセージ」金城和三

 西表での研修旅行に同行し、亜熱帯にだけ棲むオオコウモリをいっしょに観 察したり、自然や研究のおもしろさについて聞いてもらったりしています。清 心女子高のみんなのノリの良さ、元気っぷりに、「やっぱり今の時代、女性が 元気だなぁ!」と眩しい思いにかられながら、大変愉快な時を過ごさせていた だいています。
 さて、理系コースを選択した皆さんですが、将来の事なども考えて理系を選 ぶのは勇気がいりましたか?理系は女性にとって難しい世界?そんなことはあ りません。「社会への女性進出が少なく、さらに理系となるとより少数派」と いうのはもう昔の話になろうとしています。あえて生物学的立場からいうと、 性差による社会的役割の違いや行動が異なることは動物一般に知られていま す。でも、それは負の意味での違いではなく、むしろプラスの意味での違いで す。人間においてもそうです。自然科学の分野でも女性の方が得意なことは多 分にあって、いろいろな人の連携で研究が飛躍的に発展しています。
さあ、皆さんも遠慮なんかせず、将来に向かってがんばれ!

沖縄国際大学 金城和三

投稿者: 秋山繁治 日時: 23:10| | コメント (0)

2005年03月24日

「先生からのメッセージ」山根辰朗

 「生命科学」、文字通り、生命を客観的に見つめ、探求していく学問です。医学や農学、生物学など、多くの学問が生命科学に関わっており、私の専門である獣医学もそのうちの一分野を担っています。私が学生の頃(20数年前)は、獣医学科の7~8割は、男子学生でしたが、現在ではどちらかというと女子学生の方が多くなっているということです。この傾向は、小動物臨床に携わる獣医師の数にも反映されてきており、最近では女性の開業獣医師が徐々に増えてきています。考えてみれば、これは当然のことで、今後もこの傾向は続いていくと思われます。獣医学だけでなく、他の理科系の学問でも女性の割合が徐々に増えてきているようです。性別に関係なく、興味のある人が好きな学問に自由に取り組んでいけることが、その分野の発展につながるはずです。残念ながら、いまだに女性の社会進出を妨害するようなシステムが残っている分野が多いことも事実ですが、それに屈することなく、自分が興味のある道を進んでいってほしいと思います。

やまね動物病院   山根辰朗

投稿者: 秋山繁治 日時: 23:11| | コメント (0)

「先生からのメッセージ」平山諭

 脳科学、神経心理学、遺伝子、タンパク工学・・・。科学の進化は、人間の生命機能の研究に待ったをかけません。どこまでも追及され続けることでしょう。生命機能研究は、単に生物学的な単層だけでなく、心、病気・障害との関係を明らかにし、人間の苦しみを解放していく学際的なものでもあります。例えば、大阪大学生命機能研究科のHPをみてみると、心生物学など、耳慣れない領域が並んでいて、心をときめかせてくれます。有能な女性に、こうした分野に進出してほしいと思います。がんばって下さい。

倉敷市立短期大学専攻科教授  平山諭

投稿者: 秋山繁治 日時: 23:01| | コメント (0)

2005年03月16日

「先生からのメッセージ」中西 希

昨年、研修旅行で来られた西表島でイリオモテヤマネコの解説をさせていただきました。女子高校生がヤマネコに興味を持ってくれるのかどうか始めは不安でしたが、いろいろと質問をしてくれる生徒さんがいてうれしかった記憶があります。私は琉球大学でイリオモテヤマネコの生態を研究し、今年の春博士号を取得したばかりです。高校生の時から哺乳類の生態を研究したいと考えていたため、哺乳類生態学を専門にしている先生がいる大学を選びました。同級生の中には自分がやりたいことを専門としている先生が大学にいなかったため、配属先の研究室を決めかねている友人も数人いました。高校生の時に漠然とでも自分が興味のある分野があれば、大学を選ぶ時にどのような研究室があるのか、どのような先生がいるのかを調べて進学する大学を選ぶことをお勧めします。私が大学に入学した時には生物学科だったからなのかもしれませんが、1学年の女子と男子の人数はほとんど同じだったと思います。学部や学科によって女子の数が少ないところもあると思いますが、現在、理系の大学生生活を送る上で性別はほとんど関係無くなっているのではないでしょうか。まず自分の夢中になれるテーマを見つけ、学び、研究してください。

総合地球環境学研究所・西表プロジェクト 中西 希

投稿者: 秋山繁治 日時: 23:12| | コメント (0)

2005年03月14日

「先生からのメッセージ」乙竹文子

清心女子高等学校の発展授業科目「生命」で,生徒さんたちとメディア・リテラシーの学びの場を共有した。基本的人権の主体として尊重されるべき18歳以下のすべての人間の権利を謳う国連「子どもの権利条約」で規定する『あらゆる種類の情報にアクセスする権利』を考慮すれば、メディア・リテラシーを獲得することは、メディア社会へ参画するためのパスポートであり,かつ、メディア情報を意識して対応するためのツールでもある。当日は、メディアが提示する社会観や価値観を分析し明らかにしていくための授業を組み立てた。こうしたメディア分析を経験することが、自己や社会に対する認識が形成されてきた背景 (根拠と過程) を問い直す契機になるからである。メディア内容を客観的に分析し、クリティカルに読み解き意識化することや,そこから発展して主体的に読み,創造的表現を生みだしていくことが,授業の目的であった。別の言い方をすれば,多角的視点をもつこと、異なる意見にも耳を傾け,発展させ,さらに考えること、等がメディア・リテラシーを学ぶ価値といえる。授業後提出されたレポートでは、それまで「生命」の授業で培ってきた考え方や価値観にメディア・リテラシーが持ち込まれたことで、能動的に人の話を聞き、主体的に発言し、思考することによって、新しい認識、知識を生みだしていく楽しさが述べられていた。時間の都合上,メディア・リテラシーのわずか一部の経験的学びではあったが、分野の境界を越え,「生命」の授業全体から得る「生きる」ためのスキルは、一人ひとりの将来の勉強や研究活動において応用し向上させることができる。今回の授業が,そのようなスキルを獲得するヒントになれば幸いである。

メディアフォーラム 乙竹文子

投稿者: 秋山繁治 日時: 23:08| | コメント (0)

2005年03月09日

「先生からのメッセージ」宮田興子

 自然科学とは一言でいえば自然界に起る諸現象を理解する学問です.高校では「理科」という科目があり,物理,化学,生物に分かれていますが,これらは自然科学に属します.大学においては,一般的に理学部が自然科学の基礎研究を行い,工学部,医学部,農学部および薬学部等は,応用研究を行います.ノーベル賞受賞者の人数から明らかなように日本の自然科学は非常に高いレベルにあります.さて,自然界の不思議を理解する,すなわち「科学する」楽しさとはどんなものでしょうか.種々の自然現象の解明は「何故?」という疑問を発することから始まります.その疑問点を明らかにすることは困難も伴いますが,目的を達成したときの喜び,あるいはその過程で新しい発見をした時の喜びは,格別です.自然科学を追及していくことは決して難しいことではありません.まずあなたのまわりを見回して下さい.毎日当たり前のように思っている自然現象,でもなぜそのような現象が起こるかわからないことはありませんか.例えば,怪我をしたらなぜ痛いと感じるのでしょうか.また,軽い怪我であればいつの間にか治りますが,それはなぜでしょうか.私が所属する薬学部の分野においてもまだ解明できないことが山積みになっています.これらの未解決事項を明らかにするために,皆さんも大学で「科学する心」を育んでみませんか.

神戸薬科大学助教授 宮田興子

投稿者: 秋山繁治 日時: 23:13| | コメント (0)

「先生からのメッセージ」山城秀之

 沖縄からの応援メッセージ! みなさんこんにちは、研修旅行の際のサポートをしています自称サンゴ研究者の山城です。金にも名誉にも縁のない生物研究者(秋山先生)からの依頼は断れません、理系へ進む女子高校生へエールを送ります。自分で手に入れたデーターを見ながらああでもないこうでもない、あっ!こういうことか、と多少おたくの生活はなかなかのものです。これからの時代、生命をどう見つめるか・壊れ行く環境をどう守るのか等、一筋縄では行かない問題が出てくるでしょう。対処する手段・分野は多岐に渡ります。混沌とした世の中だからこそ、是非、女性ならではの視点で前を見つめて進んで下さい、期待しています、GO AHEAD!

名桜大学国際学部観光産業学科教授 山城秀之

投稿者: 秋山繁治 日時: 23:01| | コメント (0)

2005年02月28日

「先生からのメッセージ」朽木 太佳子

 高校生のときにコンラート・ローレンツの「ソロモンの指輪」を読み、小さい頃から動物が好きだったこともあり、動物行動学に興味を持ちました。そこで動物行動学を研究できる大学を探し、農学部に進学しました。 現在は、情報サービス系企業で購買の仕事をしています。購買といっても物を買うのではなく、ソフトをつくってくれる人を雇う(買う)仕事なので、動物行動学には直接関係ないのですが、人を見るという意味では行動観察の経験が役立つこともあります。生命科学は自分の中や外の環境に密接に関わっている分野です。そのため、生物や化学といった学校の勉強だけでなく、身の回りのこと全てについて興味を持ちどんどん吸収していってください。

朽木 太佳子

投稿者: 秋山繁治 日時: 23:15| | コメント (0)

2005年02月21日

「先輩からのメッセージ」加藤 量子

私にとって清心で学んだ6年間は有意義で楽しい日々でした。親身な先生方や温かい友人たちに恵まれて、いい思い出が沢山つまっています。理系に進もうと考え出したのは中学生のころだったと思います。医療に憧れを抱いていたこと、そして「資格を生かして働きたい」と希望していたこともあって、薬学部を進路に選びました。大学時代に、地元病院での実習で医療現場の空気を知り、所属した研究室では薬品開発にも携わり、「臨床」と「研究」の両方に触れることができましたが、とても貴重な経験だったと思います。私は現在、主人とともに調剤薬局を経営しております。薬局薬剤師の主な仕事のひとつに処方せん調剤があります。調剤は正確さとスピードが要求されます。薬は患者さんが飲むもの、間違いがあれば、それはすぐに患者さんの健康を損なうこともあるので、ミスがあってはなりません。 私の薬局では、散剤を服用されている患者さんが多く5・6種類混合する事もあるので、調剤自体はもちろん、できあがりの確認にも常に気を配っています。処方せんに医師が記した用法・用量自体に間違いないか、飲み合わせは問題ないか等のチェックも行います。これらを正確におこなうには、多くの知識が必要とされます。患者さんから薬や病気について相談を受けることもしばしばですので、国家試験にパスするだけでなく実際に働きだしてからこそ、新しい知識を身につける努力を常に怠ってはいけないなと、痛感しています。患者さんの中には、病気のせいで心に不安を抱えてしまっている方もおられます。薬や病気に対するアドバイスをさせて頂くだけでなく、患者さんの気持ちも受け止めて、安心してもらえるよう心がけています。そんな中で患者さんから納得とともに笑顔がこぼれた時が、私が薬剤師としてのやりがいを感じる瞬間でもあります。私の体験が在校生の皆さんのご参考になれば幸いです。今、高校時代という可能性にあふれたこのとき、日々充実して過ごされることを願っております。

大阪府寝屋川市 調剤薬局経営 加藤 量子
2003年 大阪薬科大学薬学部薬学科卒業

投稿者: 秋山繁治 日時: 23:21| | コメント (0)

「先輩からのメッセージ」森藤倫子

ついこの間、私の所属する研究室で、助教授によるマダガスカル旅行報告会が行われた。といっても、その助教授と京大の先生との2人旅を写真で紹介する程度の内容だった。たくさんの、マダガスカルの人々の生活と町並み、売られている牛、そして現地の野生動物、ワオキツネザルやインドリなどの原猿類にサギの仲間の写真。そしてそれらの写真の間に出てきたのが、ガイドの背中にへばりついたイグアナやヤモリ、昆虫たちであった。緑色の巨大なイグアナの写真が大きく映し出されたとき、研究室の人々の間にざわめきが走った。ある女性メンバーは、小さく悲鳴を上げた。「可愛い!」 人生において初めて蛇を見つけたのは、小学校の帰り道だった。川沿いの草むらに、縞々の蛇の背中がのぞいていたのを今でも覚えている。子供の頃の私はとても利口だった。蛇をもっと良く見たいという思いもあったが、蛇は咬む生物で、一部の蛇には毒があり、咬まれると危険であることをちゃんと知っていた。小学生の私は蛇を横目で見ながら足早にその場を立ち去った。次に蛇に出会ったのは中学生になった頃だったと記憶している。中学生にもなると、私は小利口になっていた。蛇はかむが、かまれて危険な蛇はごく一部であり、めったに出てこないことを知っていた。そうなると私の欲求を抑える理由は何も無い。今度は喜んで蛇を追った。そして当然咬まれた。今あの時のことを思い出すと、まるでそれ以降の私の、動物への対応を全て物語っているかのように見えてくる。今の私は小利口どころか、大馬鹿である。爬虫類も両生類も節足動物も、もちろん鳥や哺乳類、様々な軟体動物たち、異国の奇妙な植物たちには触れなくては気がすまない。残念ながら魚類には他の動物ほどの強い衝動を得られることは無いが、それら生物たちを実際に見たい、触れたいという感情がある。目の前の生物と私の知識とを比較して、触ったら有害という結果さえ出なければ触りにいく。たとえ有害であっても、何らかの方法でその生物をいじりたい。どうして自分の中にこのような感情があるのか、私には全くわからない。これからの人生、より様々な生物を見て過ごして生きたい。この感情におもむくまま、気が付いたら私は大学にいて、そしてさらに動物生態学の研究室に入っていた。
 先ず大学に入った時点から、清心にいた時代と比べて当然、周囲には生き物に魅了されている人々が多かった。その中で私は、鳥を追いかけては他の大学生にひかれ、昆虫を平気で触っては他の女性に信じられないと言われ、さらには通りすがりの犬に夢中になっては、何故か同じ学科の友達にすら苦笑いをされてすごしてきた。私に影響されて,2人くらい生物好きに道を踏み外していったほどだ。そんな、比較的生き物が好きであるという事で疎外感を得ていた3年間から、研究室で聞いたイグアナへの感嘆の声は、ついに行くとこまで行ったという感動を私にもたらしてくれたのである。生物への不思議な衝動を持つ人たちが、こんなにも集った研究室にたどり着いたのだ。小学校の頃の自分から随分遠くまで来たものだと、感慨深く感じたものだ。
 現在、私は先にも書いたとおり、生態学の研究室にいる。実験材料はマメゾウムシという、アズキや大豆などの豆につく害虫である。害虫とはいえ、駆除するために研究するのではない。ショウジョウバエのように、実験室で飼育され、モデル生物として系統が作られている。私がこれから卒業研究でやろうとしているのは、有性生殖を行う生物の、種分化の仕組みに関することである。こう書いていくと何だかとても格好いいのだが、実際はまだまだだ。実験を組み立てるために知らなくてはならないことはまだまだあるし、これから私の大嫌いな勉強もたくさんしていかなくてはならない。ちゃんとついて行けるかとても不安なのであったりする。なぜ自分がこの分野を選んでしまったのか、疑問を持ったりもする。それでも自分の中に、子供の頃から変わっていない感情はちゃんと存在していた。生き物を前にして感じる事ができるこの感情を、今はそれだけを信じて、自信の無さのあまり、簡単な方向へ逃げ出したくなるのを踏みとどまっているのである。
 これから、こういった分野に進学を考えている方には、ぜひそのまま迷うことなく突き進むことをお勧めする。友人がなかなかの名言を教えてくれた。こういう分野は、やろうと決めたらそのまま立ち止まらずに突き進むべきである。疑問を感じて立ち止まってしまうと、もう進めなくなる、と。私は一度立ち止まりかけて、また走り出そうとしている状態である。確かに、止まってしまったら走り出すのには莫大なエネルギーが必要だ。ぜひ皆さんには立ち止まらずに進んでほしい。そして万が一、やりたいことと違った時には、いくらでもやり直して走ってほしい。当然、その過程にある大学受験は、あくまでも過程でしかないことも知って欲しい。私が受験生の頃には、まるで大学受験を人生の目的に考えているような人たちはたくさんいたし、予備校などでは大学に落ちると人生の失格者であるような雰囲気であった。けれど本当は、大学とはそんなところではない。大学の同級生にはたくさんの浪人生がいる。研究室にはすでに子持ちの院生がいる。そんなことはたいして気にされない。問題とされるのは、むしろどれくらいやりたいことに対して努力したかである。もし、生物や物理や化学,地学,農学に看護士,医学など、自分のやりたいことがあるのであれば、ぜひ様々な過程に迷う事無く、突き進んでもらいたいのである。

筑波大学 第二学群生物学類 4年次 基礎生物学コース所属 森藤倫子

投稿者: 秋山繁治 日時: 23:19| | コメント (0)

授業「生命」2月8日の佐々木緑(薬剤師)先生からの返事

生徒さんの感想、読ませていただきました。あんな、へたくそなお話で、こんなに感想をもらえてうれしいです。薬のこと、自分の体のことについては、高校生の皆さんもぜひ興味をもってもらいたいです。実際の現場で、妊婦、授乳婦の方たちからの薬に関する問い合わせは、特に今、風邪やインフルエンザの流行っている時期は多く、もっと知識をもってほしいと思うことがたびたびです。

(講義後の質問:副作用について)-----講演が終わって疑問に思ったことがあります。薬には副作用があるっていうのは知っていますが、必ずその副作用が作用しますか。例えば薬を貰う時よく「副作用として眠くなります」と薬剤師の方に言われますが一度も眠くなったことはないんです。…やはり人によって違うのでしょうか。

(答え)副作用の出方は、薬によって異なりますし、1つの薬にもいろいろな副作用があるのがふつうです。眠気やのどの渇きといった軽い症状から、命にかかわる重い副作用まで、程度もいろいろです。人それぞれの体質にもよります。アレルギー体質の人、腎臓や肝臓の悪い人、高齢の人などは副作用がでやすいです。また、多く飲みすぎれば当然副作用が出やすくなります。たとえば、風邪薬に含まれている抗ヒスタミン剤という薬には眠気の副作用があり、車の運転や機械の操作をするときに注意してもらうため、その副作用を伝えますが、おそらくこのことだと思います。副作用はあっても自覚症状としてあらわれることもなく、病気の症状がおさまり、薬を飲むのをやめたら、薬が体外に排出され、副作用はまったくなかった(ように感じた)・・という人も中には居るでしょう。また、治療のために許容される副作用もあります。軽い副作用の場合、注意をしながら飲み続けたほうが、よい結果につながることもあるのです。大事なのは、医師、薬剤師から説明された飲み方、飲む量(用法・用量)を正しく守ること。これが一番大切です。以上が質問に対するお答えで す。
妊娠と薬についてのコメントがやはり多かったですね。ひとつ生徒さんに言い忘れたことがありました。たとえ妊娠中何らかの原因で障害のある子供が生まれてきたとしても、そういったお子さんを立派に育てているお母さん方、たくさんいますよね。障害のある子供さんも明るく幸せに暮らしています。このことも皆さんにしっかり理解しておいてもらいたいです。

投稿者: 秋山繁治 日時: 09:44| | コメント (0)

2005年01月27日

「生命科学へ進む後輩へのメッセージ」依頼

卒業させてから、どのように過ごされているでしょうか。大学、大学院でさらに学ばれていていたり、卒業生して、それぞれの専門を生かした仕事に就かれていたり、専門から離れた仕事に就かれていたり、家庭にはいられていることもあるかもしれません。もう遠い昔の話になってしまったと感じられることもあるかもしれませんが、皆さんの高校時代はどのようなものだったでしょうか。われわれ教師が、振り返って役にたっただろうかと反省しなければならないこともあるかもしれません。力は足らないかもしれませんが、それぞれの教師がそのとき、そのときできうることを生徒に提供してしていかなけれなならないといつも考えています。
今回は、卒業生の皆さん、とくに生命科学の方面に進路を取られた方にお願いがあります。それは、生徒が生命科学に進学することを同じ清心の丘で学んだ先輩として応援して欲しいのです。「清心」のイメージとしては、文系の学校というイメージが強く、これまで理系に進む生徒に十分なケアができていなかったのではないかという反省から、学校としても理系進学者を学校としてサポートするような体制をつくることを呼びかけていかなければならないのではないかと考えたのです。学校の教育内容の改革の前段階に、まず、この4月までに、生命科学(医学・薬学・農学・生物学・食品・生物工学)などの分野で、大学、大学院で学んでいたり、学んで社会人なった卒業生の後輩へのメッセージを集めて、パンフレットをつくる計画をしました。卒業生が、これまで理系にも進んでいるし、活躍しているというのを、在校生、一般の人に・・・そして、本校の教員(?)にも知ってもらうということを目論んでいます。 書いて欲しい内容は ①今の進路を選んだ動機 ②近況報告 ③ 生命科学分野に進学を考えている生徒へのメッセージです。
科学を応用した技術は私たちの生活を劇的に変化させてきていますが、それと共に近年、ライフ・スタイルも大きく変化してきていることを見逃してはなりません。少子高齢化、結婚に対する意識などの変化が起こり、男女が共同参画した新たな社会のしくみを構築していくことが求められるようになってきています。このような時代にあって、個性・能力を生かして社会に貢献できる女性が社会的に期待されるようになり、女性の生き方が大きく変容しようとしているというのは事実でしょう。これまで女性が活躍することが厳しかった自然科学の分野でも活躍が期待されるのは当然であり、理系に進路を考えている女子生徒が増えてきています。そのような女子生徒に、卒業生として応援のメッセージを書いていただけないでしょうか。

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投稿者: 秋山繁治 日時: 22:22| | コメント (0)

2004年03月02日

授業「生命」・倉敷市立短大 平山諭 講演

平山先生は、ADHD児などの気になる臨床の場として、「環境対話キャンプ」を開催している。脳の発達、ドーパミン、セロトニンなどの働き、人間関係のトラブル、適応障害など、心理学医学の知識を、いつもわかりやすく説明してくださる。

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投稿者: 秋山繁治 日時: 19:59| | コメント (0)

2003年10月28日

東歯大市川病院角膜センター長 篠崎尚史講演

毎年、臓器移植現状、歴史、移植コディネーターの仕事などについて話していただいています。授業「生命」でもっとも人気のある講師です。この講演をきっかけにして、医療関係の学部学科へ進路を決めた生徒も多くいます。

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投稿者: 秋山繁治 日時: 19:04| | コメント (0)

2003年07月01日

性機能と性役割 ⑦社会的・文化的レベルの性分化

 「男らしさ」「女らしさ」という性の社会的な側面、つまり、社会から男性としてみられているか、女性としてみられているかということをジェンダーという。アイデンティティは、「自分自身をどう定義するか」「どのような自分であるか」に対する答えと「自分がある」という感覚である。例えば、「日本人である」「教員である」と認めることであり、日本語では「同一性」、「自己認識」などと訳される。したがって、ジェンダー・アイデンティティ(gender identity)は、生物的な性別とは関係なく、社会的に「私は男である」とか「女である」と認めることである。日本語では、「性自認」「性同一性」と訳される。ジェンダー・アイデンティティは生得的要因と生後の養育や教育という社会的要因が関与して発達していく。
 従来考えられてきた男女の性格の特徴に、①男の積極的攻撃性と女の消極的防御性、②男の自立性・支配性と女の依存性・融合的同調性、③男の現状打破性と女の現状維持性などがあげられている(間宮 1994)。このような見方がステレオタイプ化されて、男であれば「男らしさ」、女であれば「女らしさ」として社会的に期待されてきた。しかしながら、現在では、その考え方が男女差別につながっていると考えられている。単なる性別による「区別」であり、不当ではないという意見もあるかもしれないが、男らしさに振り分けられた「積極性がある」「決断力がある」「さばさばしている」などがリーダー的資質なのに対して、女らしさに振り分けられた「消極的である」「よく気が付く」「優しい」は補助的な立場の人に求められる資質であることを考えると偶然ではないことが理解できる。現在では、社会状況の変容とともに男女の能力や性格が接近し、多様化しているように感じられる。性格は、生得的条件と環境的条件によって形成されるもので、男女の差よりも、生育条件による個人差の方が大きいと考えるべきである。
 能力の特性については「女は言語能力に優れており、男性は視覚・空間認識・数学的能力に優れている」とよくいわれるが本当だろうか。例えば、「男性は数学的能力に優れている」という根拠に、「数学が得意なものをあつめたら男の子が多かった」とか「男の子の方が数理的推理テストで高得点であった」など、それを立証する研究が多い。しかしながら、それが生物的背景に基づくかどうか検証するのはかなり難しい。それは性役割を強化している社会的な影響も考えられるからである。数学的能力の形成には、外部環境が影響する可能性は高い。例えば、高校で進路を考えるときに「女なのに理系なの」と言われるように、無意識的に女性には「理系に行かないように」という抑圧がかかっている場合は多い。そのことは、「世界の大学の物理学科の女性の割合」のデータが物語っている。日本では、女性が物理学の分野に進学するときに、周囲はどのように反応するだろうか。能力の形成にも、社会がどのような性役割を期待するかが影響していると考えられる。
 このように性格や能力についての性差についてみていくと、今まで当然と考えていたことにも、今日問題とされている社会的なジェンダーによる差別が深く刻み込まれていることを理解することができる。ジェンダーによる差別の問題は自覚的に修正しないと解決しない。

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投稿者: 秋山繁治 日時: 06:38| | コメント (0)

性機能と性役割 ⑥脳レベルの性分化

 脳は胎生約20週くらいから分化するといわれている。性差が認められるのは性中枢のある視床下部で、性中枢は女性の排卵周期を調節しているが、特定の時期に男性ホルモンの影響を受けると性周期が破壊される。そのためホルモンの影響を受けない女性はそのまま性周期をもち、男性は性周期を持たなくなる。また、脳の働きは行動に現れるので、行動様式の違いから男性と女性の性差をみることもできる。アカゲザルの小ザルの遊び方のパターンについての研究がある。雄は行動が活発で、社会的攻撃性が高く、喧嘩遊びをするのに対して、雌は幼い子ザルを相手にままごと遊びをしたり、同性のグループを作ったりするという結果が出ている。男性の脳は「活発で攻撃的」なのに対して、女性の脳は「穏やかで融和的」というのであろうか。さらに、妊娠中のザルにアンドロゲンを注射すると、生まれてきた雌の行動パターンが雄化する(出生後に注射しても行動に影響がない)ことが報告されている(Goy 1978)。このことは胎生期に精巣から分泌されるホルモンが脳に影響して雌雄の特徴となる行動を変化させていることを意味している。人間の脳につ いても「男の脳は、ネオテニー的に進化した女の脳を、アンドロゲンによってわずかに退化させることによってつくられる(田中 1998)」と考えられている。この実験をヒトですることはできないが、新生児のときに女の子のほうが男の子より一般的に寝つきがよく育てやすかったり、穏やかであったりする傾向をみると、このような行動の特性は脳の性差を反映した普遍的なパターンであるように思われる。ただし、脳の特性を行動様式の違いで判断するときには、社会的な影響をうけて後天的に変容していくことも考えなければならない。そうしないと、社会的に獲得した性役割を男女の性差と捕らえてしまい、その結果として性別役割分業やジャンダー・バイアスという旧来の刷り込みを強化することになってしまうことも考えられる。
また、「脳の重さ」を比較した研究もある。日本人の脳の重さの平均は、男性で1350g、女性で1200~1250gであり、男性の方が重い。身体の大きさと脳の重さを相対的に考えた場合でも、男性の方が重いので、遺伝的特性といえるかもしれない。その結果から、男性の方が優秀だといいたいのかもしれないが、女性の脳は大脳皮質が男性と比べて約100~150cm 3 小さいが、ニューロンの総数は男女差はなく、ニューロンの密度は女性のほうが優位に高いことがわかっており、IQの優劣に関する調査などから、女性の脳のほうが効率よく働いているといわれている。能力の高さは、脳の重さではなく、脳の中の神経回路がいかに有効にネットワークをつくっているかによると考えられる。脳の重さの特徴は、男性は一般に身長が高くて体重が重いというのと同じ程度の、形態的な特徴でしかない。
 脳がどのように性分化し、どのような性差をあるかについては、他にもいろいろな角度から研究されてきているが、脳の性差の研究について「男性が得意といわれる空間能力の性差については膨大な量の研究があるのに比べ、女性が得意とされる言語能力の性差研究はさほどでない」(青野 1997)という意見もある。脳の性差についての研究を男性優位社会を維持するための装置として働かせてはならない。

投稿者: 秋山繁治 日時: 06:34| | コメント (0)

性機能と性役割 ⑤性器レベルの性分化

 性腺の分化がおわる頃の胎児は男女とも内性器は同じ形をしている。外部生殖原基へ開口するミュラー管とウオルフ管という2本の生殖管をもっている。男性では、精巣の分化にともなってウオルフ管が発達して、副葦丸や輸精管、貯精嚢に分化していくが、ミュラー管は退化して消失してしまう。一方、女性では、ウオルフ管が退化してミュラー管が残り、輸卵管、子宮、膣の一部へと分化していく。両方向へ発生を分岐させているものは胎児の精巣から分泌される2種類のホルモン(アンドロゲン・抗ミュラー管ホルモン)である。 外性器については、男女とも6週の終わりまでは未分化で、差はみられないが、4か月になると、外見から判断できるようになる。男性では、生殖結節という部分が急激に変化して陰茎ができる。女性の場合は、わずかに変化してクリトリスになる。『聖書』では、創世記で「男性のアダムの肋骨から女性のイブをつくった」と記載されているが、遺伝子・性腺・性器の仕組みを科学的に考察すると、「人間の原型は女性のイブ」ということになる。 また、内性器の分化は、ホルモンの作用が重要なので、うまく働かないと性器に異常が起こる。例えば、アンドロゲンの分泌は普通でも、抗ミュラー管ホルモンの分泌が十分でない場合は子宮をもった男性になったり、女性の胎児が母親の飲んだアンドロゲン作用のある薬の影響で外性器の男性化が起こったり、アンドロゲンが正常に分泌されていても、アンドロゲン受容体がない場合は、精巣があっても外性器は女性型になる場合もある。インターセックス(半陰陽)は、解剖学的に男女に判定できない中間型(生物学的に男女が両性の要素をもっている)で、卵巣と精巣を併せ持つ場合と卵巣あるいは精巣をもつ場合があり、染色体の性や外性器の性との混乱がある場合をいう。
 性別については、スポーツ競技のセックス・チェックなどの特別な場合を除いて、一般的には出生時の外性器の形態で判断しているが、厳格に二形に区分できるものだろうか。これまで遺伝子レベル・性腺レベル・生器レベルで性決定をみてきたように、ヒトの場合は性分化の過程で男女どちらの性にもなる可能性を持っている。Y染色体上の精巣決定遺伝子が働くかどうか、精巣が分泌するホルモンが存在するか、そのホルモンの濃度や働き方がどうかによって内性器や外性器の分化の方向が大きく異なってくる。このようにみていくと、生物学的な視点でさえ男と女は完全に分離して区分されるものではなく、連続性をもったものと考えられる。

投稿者: 秋山繁治 日時: 06:30| | コメント (0)

性機能と性役割 ④性腺レベルの性分化

 男性は精巣をもつように遺伝子が働き、女性は卵巣をもつように遺伝子が働くのではない。遺伝子レベルでの性決定では、ヒトの身体の基本は女性であり、Y染色体に含まれる遺伝子が働かなければ女性になる。つまり、そのままなら女性の身体になっていく運命をY染色体に含まれる遺伝子が男性に変更していくのである。
 性腺として、男性では精巣、女性では卵巣をもっており、それぞれ精子、卵という生殖細胞をつくっているが、性腺も胎児期のごく初期には分化していない。卵や精子のもとになる始原生殖細胞は、5週目に生殖巣原基(将来の卵巣や精巣)に向かって移動する。こうしてできた男女共通の未分化な性腺は精巣決定因子が働くと、精巣に分化し、働かないときは自律的に卵巣に分化する。男性の場合は、始原生殖細胞が1回分裂した状態で、青年期まで休眠する。女性の場合は、移動後分裂して20週目に680万個の卵原細胞になるが、卵原細胞の多くは退化し、青年期には40万個に減少している。これらの細胞は、減数分裂の第一分裂で休止しており、排卵の直前に分裂を再開し、分裂をしながら卵管にでていくようになる。

投稿者: 秋山繁治 日時: 06:27| | コメント (0)

性機能と性分化 ③遺伝子(染色体)レベルでの性分化

 染色体は、親から子へその形質をつたえる働きをする遺伝子情報をつくっているDNAが集まったもので、細胞分裂時に現れ、細胞を観察するときによく染色されるので、「染色体」とよばれる。ヒトの場合は1個の細胞に46本の染色体が含まれている。その内訳は、男女に共通した常染色体が44本(22対)と男女で組み合わせの異なる性染色体が2本(1対)である。性染色体は、男性ではX染色体とY染色体があり、女性ではX染色体が2本ある。卵と精子が作られるときに減数分裂によって半減するので、卵は22本の常染色体とX染色体を1本もち、精子はX染色体をもつものとY染色体をもつものができる。したがって、受精が起きるときに卵がX染色体をもつ精子と受精すれば女性に、Y染色体をもつ精子と受精すれば男性になる。染色体レベルでの性の決定は、受精の瞬間に決定している。
 では、なぜXXが女性になり、XYが男性になるのだろうか。染色体異常の研究がきっかけになり、Y染色体の働きが解明された。染色体異常とは、卵や精子ができる減数細胞分裂の過程で、性染色体がうまく分離せずに性染色体の欠損や重複などが起こり、そのために、X、XXX,XXY,XXXYなどの性染色体の構成をもった人が生まれる場合をいう。その場合の性別は、X染色体の数に関係なく、Y染色体が1本でもあれば睾丸をもつ男性になるということが判明した。そのことから、Y染色体上に男性を決める遺伝子(精巣決定遺伝子)があることが明らかにされた。ところが、まれに、非常に少数であるがXXの男性やXYの女性があることがわかり、さらに染色体及び遺伝子の研究が進められた。
 最近になって性決定遺伝子として、Y染色体上の短腕にSRY部位の遺伝子が分離され、マウスの実験で、XYでもその部位を除けば雌になり、逆にXXでもその部位を挿入すれば雄になることがわかった。このことから、前述のXXの男性はSRY部位が転移して余分に付加されものであり、XYの女性はY染色体にSRY部位が欠損していることが判明した。しかしながら、SRY部位さえあれば、完全な性的機能をもった男性になるかといえばそうはいかない。SRY部位があって、他の遺伝子がないために精巣ができても精子形成がされないなどの報告がされており、生殖機能を持つためにはその他にいろいろな遺伝子の関与が必要であると考えられている。
 性分化については、すべての生物が遺伝子の働きであるように思われやすいが、脊椎動物でも遺伝子の働きによらない場合もある。ウミガメやワニなどの爬虫類では、産卵して孵化するまでの環境の温度により性決定していることが明らかにされている。ワニやトカゲは一定の温度より低いと雌になり、高いと雄になる。それに対して、ウミガメは逆で、一定の温度より低いと雄になり、高いと雌になる。また、両生類では、遺伝子によって性決定しているが、ホルモンの影響を受けやすく、性ホルモンを含む環境で幼生を飼育すると完全に性転換する。

投稿者: 秋山繁治 日時: 06:22| | コメント (0)

性機能と性役割 ②性の分化

 「性」とは何なのか。生殖細胞に雌性と雄性の分化が見られるときに、それをもつ個体の特徴を「性」という。アメーバのように「無性生殖」をする単細胞生物には性はないが、高等なものほど雌雄の特徴が顕著となる。性が分化すると「有性生殖」が行われ、親とは違った遺伝子の組み合わせをもった子孫(新個体)が生まれる。
 「無性生殖」では、遺伝子構成が変化しないのでまったく同一の形質をもった子孫をつくるので、良い環境下では能率のよい方法であるが、その反面集団のすべてが同じ素質をもつために、悪い環境に遭遇した場合は、環境に適応できず、全滅する危険性をもっている。「有性生殖」では、接合(受精)という遺伝子を混ぜ合わせて交換するしくみがあるので、多様な遺伝子の組み合わせをもった、つまり多様な性質の個体がつくられるという利点がある。長い進化の歴史では、幾たびかの大きな環境変化があったが、その変化に対応できた個体が生き残り、現在までに大きな進化を遂げてきたと考えられる。現在の地球上で反映している多くの高等生物たちは有性生殖で繁殖している。
 「有性生殖」は環境への適応という点で優れており、その有性生殖を有利に進めるためには、細胞レベルでさらに進化したと考えられる。有性生殖では2つの生殖細胞が接合するが、藻類などの生殖細胞は、雌雄の細胞にほとんど差がない。それが、哺乳類などの高等生物になると、卵と精子という二形に分化している。その理由は何故であろうか。それは、2つの生殖細胞が、出会う機会がなるべく多くなるように、そして、接合した後に大きな生命力(エネルギー)をもてるように進化したと考えられる。つまり、動き回れる身軽さをもった精子と大きくて栄養分をたっぷり蓄えた卵とに分化したのである。したがって、生物的な性には、雌雄の2つの「性」が存在していると考えられる。卵をつくる個体を雌(人間では女)、精子をつくる個体を雄(人間では男)という。
 有性生殖は2つの「性」が必要であり、細胞レベルから個体レベルにまで、形態・機能・行動的に二形に分化している。個体は、成長とともに分化(性分化)していくものであり、基本となる細胞レベルの分化だけでなく遺伝子(染色体)、性腺、性器、脳、社会的に獲得したものにいたるまでいろいろなレベルで分化している。

投稿者: 秋山繁治 日時: 06:17| | コメント (0)

性機能と性役割 ①性とは

 脊椎動物の脳は、進化の過程でそれぞれの種が必要とする感覚情報を十分に受け取れるように、関連した脳の部分を発達させてきた。たとえば、魚類、鳥類、哺乳類では小脳が発達し、身体情報を得てバランス感覚を磨き、高度な運動性を身につけている。ヒトの脳の特徴は、他の動物に比べて大脳が発達しているが、脳全体が発達しているのではなく、旧皮質・古皮質(大脳辺縁系)をそのままにして新皮質が付加的に大きく発達した構造をしていることである。このことは何を意味するのであろうか。旧皮質・古皮質は、「生きる」ための重要な働き(情動、本能、欲求)を支配しているが、それをうまく働かせて「上手に生きる」ために、より高度な情報処理ができる新皮質を発達させていると考えられる。
 生物的な「性」は、次の世代を残すために、つまりその種を保持するために存在する。動物が繁殖できるようになる時期を発情期といい、その時期に交尾をして子孫をつくる。ヒト以外の哺乳類の雌では、排卵前後の繁殖期しか雄を受け入れず、他の時期には拒絶するものが多い(動物の発情期:図②)。しかしながら、ヒトも同じように思春期になると、生殖可能になり、性欲をもつようになるが、すぐに行動には結びつかない。それは、性欲を調節できる大脳新皮質の働きがあるからである。ヒトの場合は、発情期が延長した形になっており、排卵期以外でも発情する。そのことは、性行動が繁殖の目的だけでなく、男女相互の社会的な結合を強める役割を担っている現状に一致している。人間の性行動は、人間関係を深めるためであったり、快楽のためであったり、文化の中で経済的な利益を生む装置として機能することもある。
 また、ヒトの脳は他の哺乳類と比較して、とりわけ脳が未成熟の状態で生まれくる。母体内で神経細胞は増殖するが、神経細胞は生まれた後で軸索や樹状突起を延ばして、神経回路を完成させていくのである。脳にとって、身体は支配するものであると同時に、身体の感覚刺激によって脳を育ててくれるものでもある。つまり、脳は神経細胞(ニューロン)がつながってできた神経回路で身体を支配している。脳の神経回路は、遺伝子の指示で計画的に形づくられるものではなく、成長とともにつくられていくものであり、十分な刺激がないと脳も成長できない。このようにヒトの脳は、成長段階で社会的・文化的な環境の影響を受けながらつくられていく。性行動には、性中枢のある視床下部だけでなく、大脳の働きも大きく影響している。

投稿者: 秋山繁治 日時: 06:11| | コメント (0)

2002年01月23日

エゴグラムによる私の性格診断結果

①性格
ほぼ理想に近いグラフ型で有ると云えます。理想が高く、倫理感や仕事に対する責任感も充実していて、しかも適度の思い遣りや寛容の精神も有り、非常に合理主義者で判断力や分析力も高く、感情面でも喜怒哀楽の表現が潤沢です。ここ迄は、結構ずくめなのですが、やや気儘な所はあります。しかしその方が仕事には強い意味合いが有りますので、やはりほぼ満点に近い性格で有る事は事実です。

②恋愛・結婚
現在の様な物の考え方のバランス状態を狂わさない限り、性格的な欠陥によって恋愛や結婚の破綻する確率は非常に低いでしょう。但し、それは相手も高いレベルか、平均的レベルの人を予想した場合の事で有って、逆に大きくバランスの崩れた相手と結婚した場合には、判断力が高く行動力が旺盛なので、いとも簡単に離婚へ踏み切るような場面が出て来る事も考えられます。

③職業適性
性格面からは一般的な職業の全てに適性が有ります。逆に云えば特異な性格の持ち主の方が却って適性のある特殊な職業では、逆に適性が乏しいと云う事になりますので、そこの所を良く理解しておく必要が有ります。

④対人関係
物の考え方や性格的な面から見て、格別に注意を払わなければならない様な点は、殆ど見当たりません。但し、或る問題、或る出来事で、貴方と周囲に人々が表面的には同じような考え、同じような行動を取っていたとしても、貴方の場合は、かなり高いレベルの判断や高いレベルの感情の動きで、そのような言動を取って行く場合が多いので、周囲の人々も自分と同程度の理解や判断の基に、そのような行動を取っているのだと云う風に解釈しない方が、賢明だと思います。

投稿者: 秋山繁治 日時: 19:38| | コメント (0)

2000年09月27日

生徒の英語のスピーチコンテストの内容・・・。

授業「生命」で学んでいる生徒が、以下のテーマを選んでくれたことに感心しました。

 Last year I got to know about Hirotada Ototake, a disabled man, who has no arms and legs.I learned that his disability is his personality, and that we should respect it. Besides differences in features though, humans also have differences in thoughts and opinions. "We are all different. We should respect our differences as our personalities," is an often heard saying.
 Many of you may say, "Of course, I know that," but I wonder how many of you can really regard another person's differences as his personality and accept it. I couldn't at first. Now I will introduce one particular difference to you. So try to answer my question again at the end of my speech; "Can you accept another person's personality though it may be very different from yours?"
 "Oh, my goodness! What's that?" A couple of women got on the train which I usually take to go to school. Almost every day I saw them. They held hands, hugged or even kissed each other sometimes. Some people stared, some averted their eyes, others even laughed at them. "Look at them! They're lesbians." "Oh, that's disgusting. What're they doing?" I felt so strange just because both of them were women.
 One day in May, I had a chance to listen to a lecture by a lesbian named Kyo Aoki. She was not abnormal as I was expecting, but as cheerful, kind and friendly as any other woman. She said, "Though I am female, I love women. I don't think it is strange and I don't hesitate to say so. For me to love women is just one of my characteristics, as my hobbies are cooking or reading. I can express myself in front of you, but there are many lesbians who shut themselves up and are suffering from discrimination and prejudice." As I had prejudice against lesbians myself, her every word pierced straight through me.
 That lecture also reminded me of another incident. Once during a Japanese literature class, we were discussing how the heroine we read about felt. I expressed my opinion as did the other students. All the opinions were written on the blackboard by the teacher. Then she asked us, "Which opinions do you disagree with?" One of my classmates said, "I think Hiroko's wrong because ..." Can you believe what the teacher did then? She erased my opinion from the blackboard! I felt as if I myself were being denied and thrown away.
 I wonder if many lesbians in Japan feel like this. Lesbians are not accepted in society because they are a small minority. In Japan, sex-change operations are only partly permitted and same sex marriages are not legal. The most serious problem is our prejudiced attitudes toward lesbians. I remember the cold eyes on the train as if the other passengers had seen something abnormal. How about you? How would you feel if you were on the same train?
 I'm sure you've heard the following line in many speeches before: in the 21st century, we should make a barrier-free society where everyone can live peacefully. To truly be barrier-free however, we have to accept different personalities completely and build up the system to accept not only the majority but also the minority: the elderly, disabled people, lesbians ... everybody.
 In Vermont, for the first time in the U.S., a same-sex couple was married on July 1st, 2000 and they now have the same rights as a heterosexual couple. Don't you think this is a big step for human beings? The same thing cannot be done in Japan right now, but I suggest that we should at least listen to homosexuals, get the right information about them and accept them in our society. Now I'll ask you again, "Can you accept another person's personality though it may be very different from yours?"
Thank you for listening.

投稿者: 秋山繁治 日時: 19:34| | コメント (0)

2000年01月31日

「イヌの帝王切開によるお産」ビデオを放映

生物の授業で「イヌの帝王切開によるお産」ビデオを放映した。生徒が提供してくれたビデオで、お母さんがビデオカメラをまわしていたらしい。知り合いの獣医さんのところで行ったということで、説明もあるので理解しやすい。生物の授業としてだけでなく、性教育の指導にも利用できると思える内容であった。生徒も食い入るように見入っていた。

投稿者: 秋山繁治 日時: 09:38| | コメント (0)

2000年01月29日

授業「生命」に青木恭さんを呼ぶことに決定

1999年4月から「発展科目」という自由選択科目(高校2年次に設定)が誕生した。後期のテーマに「性」の内容を扱っているので、”多様な性のあり方”を考えるためにまとめとして、「ジェンダー」、「同性愛」について青木恭さんに講演していただくことにした。青木さんは、現在、フリーライターをしながら岡山コミュニティエフエム・レディオモモの番組「モザイクモザイク」のパーソナリティもつとめおられる方で、同性愛や性同一性障害のグループの全国的なネットワークにも参加されていて、幅広い知識や経験をもっておられるので有意義な話がうかがえると思われます。青木さんは、同じく同性愛であることを公表している池田久美子さん(大阪の高校教師)とも交流があるので、いつの日か池田さんにも来校していただきたいと思っています。青木さんの講演は2月8日

投稿者: 秋山繁治 日時: 09:46| | コメント (0)

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