岡山市の人と科学の未来館・サンピアで、春季企画展として「オオきいサンショウオと小さいサンショウウオ」展が4月27日~6月16日の期間、開催されています。
オオサンショウウオの展示
日本の在来種は天然記念物ですが、中国との交雑種は今夏から特定外来生物に指定される「オオサンショウウオ」。サイピアで飼育展示しているのは、中国との交雑種です。
日本の小型サンショウウオの紹介
オオサンショウウオの実物は見たことがなくても、名前は知っているという方が多い。じゃあ、小型のサンショウウオもいることは知っていますか?しかも、日本全国に50種以上の種がいるんです。
全国のサンショウウオを水族館職員から博物館学芸員、大学教授にサンショウウオを愛してやまないアマチュアの方まで、いろいろな立場の方々にサンショウウオの魅力を語ってもらうパネルを展示します。
オオイタサンショウウオ Hynobious dunni 野外で産卵行動を観察
雪舞う日中に産卵をするなんて!
野外での産卵に最初に出会ったのは2009年1月24日、その日は今年一番の寒波が到来していました。大分県国東市で午前10時頃、残雪が残る静かな林の中を散策していて、小さな溜りの水面が波打っているのを見つけました。近寄るとオオイタサンショウウオが群がって産卵をしている最中でした。これまでの経験で、両生類は雨が降った後で、気温が上がったときに夜中に産卵すると考えていたので、雪が舞う日中に産卵行動をするとはまったく想像していませんでした。この日の気温は0℃。水温は3℃、水底の泥の中でも5℃、低温の条件であっても、いったん繁殖行動のスイッチが入ったら、産卵するということを知りました。
この体験以降、サンショウウオの仲間の飼育下の繁殖に挑戦して、すでに40年が経ちました。今では、人工授精に成功し、水槽での繁殖行動も観察できるようになりました。そして、実験や観察に使った個体を放流している人工池でも自然産卵(今年は卵嚢57.5対を確認)するようになりました。繁殖生態を研究することで、保護に役立てたいと考えています。