• ぼうぼうどりの生物教室
  • ぼうぼうどりの生物教室
  • ぼうぼうどりの生物教室
  • ぼうぼうどりの生物教室
  • ぼうぼうどりの生物教室
  • ぼうぼうどりの生物教室
  • ぼうぼうどりの生物教室
  • ぼうぼうどりの生物教室

それでも人生にイエスと言う

2021年9月30日

i19931225life_yes.jpg
V・E・フランクルの『それでも人生にイエスと言う』(春秋社)のp132より

当時私がいた棟で最年長だった人が私に話してくれた。・・・
彼は、奇妙な夢を見たというのです。「2月の中頃、夢の中で、私に話しかける声が聞こえて、なにか願いごとをいってみろ、知りたいことを聞いてみろ、ていうんだ。答えてやれる、未来を予言できる、ていうんだ。そこで、私は聞いたんだ。私にとっていつ戦争が終わるんだって。わかるかい。私にとってというのは、アメリカの部隊がやってきて私たちを解放してくれるのはいつかということだ」。「それで、その声はなんと答えたんですか」。彼は身をかがめて私の耳に囗をつけ、意味ありげにささやきました。「三月三十日、だよ」。
 3月の中頃、私は発疹チフスになって衛生室に入れられました。4月1日にそこを出て自分の棟に戻りました。棟の最年長者だったその人はどこにいるのかとたずねました。そこで私は知ったのです。3月の終わりごろ、夢の声が予言した期日がどんどん近づいてきたのに、戦況はその声が正しかったとは思われないようなようすでした。その人はどんどん元気を失っていきました。3月29日、彼は高熱を出しました。3月30日、戦争が「彼にとって」終わるはずだったその日に、意識を失いました。そして、3月31日に彼は亡くなったのです。発疹チフスで亡くなったのです。
---------------------------------------------------------------------------------------------
人は心の病気になる。心の支えが必要である。強制収容所で絶望的な生活の中で、最年長だった人が、夢の中で「アメリカの部隊がきて、3月31日に自分たちを解放してくれる」という夢を希望にして日々を過ごしていた。ところが実際に三月三十日がになっても、解放されることはなかった。解放されるという希望を支えに生きてきて、その希望を完全に失ったときに人は絶望する。
そして、その翌日亡くなっていました。人の心は支えを失ったときにもろく、身体までも蝕ばまれる。今の社会でも、家庭や職場、学校で心の支えを失って、自分の存在の意味を見出せなくなったときに人は絶望する。逆にいうと、私は、家庭も、職場も、学校も、生きる意味を見出せる場所であって欲しいと願います。

  • 投稿者 akiyama : 14:06

最近の記事

オープンスクールで小学生に有尾研を紹介
6月21日、山脇学園中学校・高等学校のオープンスクールが開催され、来校者に向けて山脇有尾類研究所の動物飼育室を一般公開しました。現在、飼育している有尾類は、アカハライモリ、アマミシリケンイモリ、オキナワシリケンイモリ、イベリアトゲイモリ、オオイタサンショウウオです。アカハライモリ、アマミシリケンイモリ、オキナワシリケンイモリは、昨年度のJSECで科学技術政策担当大臣賞を受賞した研究において扱った種…続きを見る
回転型ミクロトームにCoMBIを装着して、3D画像作成に挑戦
群馬県立県民健康科学大学の多鹿先生により開発された撮影システム「CoMBI」を、有尾類研究所の回転式ミクロトームに組み込んでいただいた。この装置で、パラフィン包埋された標本の切断面をデジタルカメラで位置をずらさずに連続撮影し、その画像をもとにパソコンソフトを用いて3D構造を構築する手法を学んだ。 有尾研では、この装置を活用して、まずイモリの貯精嚢の構造解明に挑戦する予定である。今後は、固定した標本…続きを見る
有尾研の高1・高2の生徒の研究報告
有尾類研究所で研究に取り組む生徒たちは、これまでの研究の進捗を報告し、先生方や先輩方から講評を受けながら、自分たちでディスカッションを重ねて研究を進めている。 高校1年生は「飼育下におけるオオイタサンショウウオ幼生の形態特性に関する研究」、高校2年生は「新規モデル生物イベリアトゲイモリの飼育と観察」をテーマとしている。 当面の目標は、9月に開催される動物学会における高校生ポスター発表であり、6月2…続きを見る
4ヶ月育てたオオイタサンショウウオ幼生を放流
3月から、有尾類研究所の動物飼育室で孵化後4か月育てていたオオイタサンショウウオ(絶滅危惧Ⅱ類)が変態を迎え、四肢が形成され、鰓が消失して、一斉に上陸を始めました。 現在、ビオトープにおける繁殖や発生の観察、幼生の行動、配偶行動などを研究しています。野外から成体を採取することはせず、繁殖用に設置された人工池で得られた卵嚢から孵化・飼育した個体を研究に用いています。実験・観察を終えた個体は、人工池へ…続きを見る
マタイによる福音書第9章16節・17節 「新しい時代の科学教育に刷新すること」
マタイによる福音書第9章16節には、次のように記されています。 「だれも、真新しい布切れで古い衣に継ぎを当てたりはしません。そんな継ぎ切れは衣を引き裂き、破れがもっとひどくなるからです。」 真新しい布を古い衣に継ぎ当てとして使うと、どうなるでしょうか。新しい布は、水を含むと縮む性質があるため、継ぎ当てられた古くて傷んだ布地は引っ張られて裂けてしまい、かえって破れがひどくなってしまうのです。 さら…続きを見る
岡山県最大の山火事、2か月後のセトウチサンショウウオ生息調査
岡山県で発生した最大の山火事は、2025年3月23日に岡山市南区飽浦(あくら)地区で発生し、同年4月11日に鎮火が宣言されました。この火災は、岡山県内で記録に残る中で最大規模となる約565ヘクタールの山林を焼失しました。復旧作業を進めるため、多くの場所が立ち入り禁止となっています。 この山火事による生態系への影響が懸念されているため、立ち入り禁止区域外にあるセトウチサンショウウオの生息地において、…続きを見る

このページの先頭へ