『第3の時間』井上陽子著を読んでいます。本書は、39歳でデンマークに移住した著者が、そこで出会った「短時間労働でありながら豊かな暮らしを実現する人々の生き方」と、それを支える社会の仕組みを紹介した一冊です。
著者が提示する「第3の時間」とは、時計で測られる「第1の時間(客観的・社会的時間)」でも、心の流れとして感じられる「第2の時間(主観的・心理的時間)」でもなく、「質としての時間」を指します。それは「仕事の効率や成果」とは無関係であり、「役に立つ/立たない」という価値基準を超えて、「人が根底に持っている本来の生き方を回復するために必要な時間」です。本書は、その重要性を改めて気づかせてくれました。
デンマークの経済状況を見ると、一人当たりGDPは世界トップ10に入り、日本の2倍以上という水準にあります。また、公的年金の支給額は2024年度時点で世界第3位(31万7,000円)とされ、総指数は81.6(Aランク)で、十分性・持続性・健全性の三項目のバランスが取れた優良な制度であると評価されています。一方、日本は総指数54.9(Cランク)で世界36位にとどまり、中国やブラジル、ボツワナを下回っています。今後さらに人口減少が進み、公的年金額の縮小が見込まれる中で、日本では若いうちから公的年金に過度に依存しない老後の備えを考えざるを得ない状況にあります。
デンマークの生活の特徴として印象的なのは、短時間労働でありながら経済的な豊かさを享受している点です。例えば、子どもを持つ人は、企業幹部であっても国家官僚であっても、午後4時には保育園に迎えに行きます。フルタイム労働は週37時間が標準で、残業はほとんどありません。さらに、夏休みは連続3週間取得するのが一般的です。
「ゆるい働き方をしていて、なぜ経済が上手く回るのか。競争の激しいグローバル経済の中で生き残れるのか。を考えてみたい。














