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アカハライモリを教材として利用 ⑦まとめ

2019年9月23日

発生教材として、カエルの仲間がよく用いられるが、受精率と胚の観察のしやすさでは、イモリの方が優れていると考えられる。ヒトなどの哺乳類の初期発生は体内で進み、ニワトリなどの鳥類の発生は輸卵管と卵殻中で行われるのでたやすく観察できない。それに対して、イモリなどの両生類は、受精から孵化までの過程が、透明なゼリー中で進むので、初期発生からすべての段階を観察できる。受精卵の縛り方によって双頭の幼生や別々に分かれて2匹のオタマジャクシになったりする結紮実験を通して、発生初期はその後の成長に大きな影響を与えることも理解できたと思われる。一卵双生児ができる仕組みも理解できる。また、サリドマイドは睡眠薬として妊婦のつわりや不眠症の改善のために多用され、四肢の発育不全を引き起こし手足が極端に未発達な状態(アザラシ肢症)で生まれるという悲劇を起こしたが、妊娠初期での薬物は胚発生に影響するということを再認識させることにも役立つと考えられる。また、今回の産卵誘発に使用したゴナトロピンは黄体形成ホルモンの代わりに不妊治療で使われる薬剤である。このイモリを使った実験は、薬剤の働きや副作用・薬害について考える機会も与えてくれる。
 21世紀は生命科学の時代だといわれている。現代の理系の分類では生命科学に関連した分野が多くなっていることに気づく。生命科学は私たちの健康や生活に密着したものになっている。「生物学」も従来のように動植物を対象としたものから、直接でなくとも人間を対象としたもの「生命科学」に変わってきている。しかしながら、ヒトを中心にすべてを考えるのではなく、人間も自然環境の一部であるという認識を忘れてはならない。人間を学ぶために必要な知識を動物から学ぶことも必要なのである。

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  • 投稿者 akiyama : 14:42

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アカハライモリを使った発生の観察 ⑥生徒へのアンケート
 生徒の自己評価をみると、「卵割からいろいろな器官に分化する過程が理解できた」、「発生の仕組みに興味をもった」がともに86%であり、学習の動機づけにはなったようだ。一方、技術的には、「実体顕微鏡の操作が身についた」が81%、卵の結紮は、「うまく縛れた」が62%と少なかった。しかしながら、生徒の感想に「今まで映像で見てきたイモリの胚を実際に見て,映像や写真通りに卵割の形が見られて,とても面白かった」…続きを見る
アカハライモリを教材として利用 ⑤授業の展開
授業は、①アカハライモリの特徴及び生態の理解(ビデオ教材を利用)、②初期胚の観察及びスケッチ、③各発生過程の理解(ビデオ教材を利用)、④胚の結紮実験の順に進めた。 ①については、雌雄の区別、春の繁殖期と冬の越冬期の野外での様子と繁殖行動を紹介した。積雪下の水田側溝で多数のイモリが群れているシーンや、配偶行動(配偶行動の後,雌が雄の産み落とした精包を貯精嚢に取り込む)を見て、貯精の仕組みや受精のさせ…続きを見る
アカハライモリを使った発生の観察 ④実験の準備
 産卵は、前述のゴナトロピン注射による産卵誘発でおこなった。繁殖期のイモリは貯精嚢(総排出腔付近の各細管)に精子を保持(貯精後6カ月以上受精可能)し、産卵時に体内で受精させる仕組みになっている。産卵時を発生のスタート(受精時)と考えて観察することができる。したがって、生徒に初期胚を観察させるには、第一卵割までに要する時間をさかのぼった時刻に産卵するように注射をしておけばよい。  注射したイモリを入…続きを見る

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