本校の女子生徒のための理系進路選択支援の教育プログラムは,「知識」,「体験」,「研究」の3本の柱で構成しているが,10年間のSSH事業の取組の成果として,「体験」に関わる学校設定科目として,野外実習(「自然探究Ⅰ・1単位),研修旅行(「自然探究Ⅱ・1単位」),海外研修(「自然探究A・1単位),の3科目が誕生した。
「自然探究Ⅰ」は,SSH事業初年度に鳥取大学の協力で企画した森林調査を中心に据えた実習,「自然探究Ⅱ」は,従来の修学旅行を学習への動機づけにする方向で再検討し,全日程を自然体験と環境学習を盛り込んだ内容に変更した。
「自然探究A」のルーツは海外研修で,本報告では,「自然探究A」について説明する。これまで本校の海外研修は,語学研修と異文化体験が目的で,英語圏のアメリカ・カナダ・オーストラリアを研修先にしてきたが,グローバルな視点をもち「地球規模の危機管理」を考える人材を育成する目的を設定し. 生物多様性・生態系保全活動を学ぶ研修先としてアジア地域の多民族・多宗教国家であるマレーシアを選んだ。なお,研
修内容は,マレーシア国立サバ大学・UMS(サバ州),マレーシア国立ツン・フセイン・オン大学・UTHM(ジョホール州)との連携が決定しており,旅行会社の仲介は受けていない。
現地の大学の先生方の指導で,熱帯の雄大な自然との触れ合い,自然観察や野外調査によって生徒の自然への科学的理解の芽を育てるとともに,国内では得られない体験(多民族,イスラム教などの異文化と触れること)によって,グローバルな視点を得る研修になったと考えている。10年間の取り組んできた成果を,企画に至った経緯,実施内容,保護者の反応,生徒の評価を中心に紹介したい。
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