問いはこれからも続く
全9回にわたる回想録を書き終えたいま、私の中に残っているのは、達成感よりも、静かな確認のような感覚です。
――自分は、問いから逃げずに歩いてきただろうか。
その問いに対して、「少なくとも背を向け続けてはいなかった」とは言える気がしています。
教育者として、何を残せたのか。
この問いに、明確な答えはありません。
知識や制度、肩書きは、時間とともに更新され、忘れられていきます。
けれど、「考えてもよい」「迷ってもよい」「問いを持ってよい」という感覚は、人の中に長く残ります。
もし、この連載を読んだ誰かが、
・かつての自分の教室を思い出したり
・今、向き合っている生徒の姿を重ねたり
・自分自身の生き方を、少しだけ立ち止まって考えたり
したのだとしたら、それ以上の喜びはありません。
私はもう、教壇には立っていません。
しかし、問いは今も続いています。
教育とは、答えを与えることではなく、
問いを手渡し、その問いとともに生きる力を信じることなのだと、今は思っています。
この連載が、
あなた自身の「置かれた場所」を見つめ直す、ささやかなきっかけとなれば幸いです。
問いは、終わりません。
これからも、あなたのそばにあります。















