• ぼうぼうどりの生物教室
  • ぼうぼうどりの生物教室
  • ぼうぼうどりの生物教室
  • ぼうぼうどりの生物教室
  • ぼうぼうどりの生物教室
  • ぼうぼうどりの生物教室
  • ぼうぼうどりの生物教室
  • ぼうぼうどりの生物教室

実際に“触れること”が科学的思考を育てる⑤

2013年5月18日

「生命科学コース」に具体的にどのような教育内容を盛り込んでいるか。

 「生命科学コース」の大きな特徴は、①自然体験、②実験実習、③課題研究であり、それぞれ、大学と連携して行っている。

①自然体験
「野外実習」(高1全員、4泊5日)、「沖縄研修旅行」(高2全員、3泊4日)、「ボルネオ海外研修」(希望者、8泊9日)がある。
「野外実習」は、全日程を森林を学ぶことをテーマに、講義(地球環境、森林を構成する樹木の特徴)と実習(野外での樹種学習、枝打ち、ジャングルジムからの林冠部観察、森林調査)で構成している。森林調査では、プロット(10m×10m)をグループごとに受け持って、樹木(樹高・胸高直径・樹齢)を測定し、そのデータからそのプロット内の樹木が1年間で吸収する二酸化炭素量を計算する。林道から森林に足を踏み入れての作業は、初体験で自然に触れる機会が十分ある。
「沖縄研修旅行」は、全泊西表島で、イリオモテヤマネコやオオコウモリの研究者の講義、夜間動物観察、山からマングローブ林までのトレッキングをしながらの動植物観察、シュノーケリングやカヤックによる海の動物観察で構成している。
「ボルネオ海外研修」は、マレーシア国立サバ大学と連携して、環境学習と国際性の育成をテーマにして、大学での講義、世界遺産であるキナバル公園やマングローブ、キナバダガン川での動植物観察、森林火災の跡地での植林作業、英語による課題研究発表、地元の高校生との交流がある。

②実験実習
 通常の高校の実験とは別に、大学の施設で行う「生命科学実習Ⅰ」(高1全員、3回)、「生命科学実習Ⅱ」(高2、2回)がある。これらの実習で、高校の教科書を超えた応用分野が学習できる。
「生物科学実習Ⅰ」は福山大学生命工学部と連携して行っている。内容は「大学の実験室や研究室を覗いてみよう」、「海洋生物の研究」、「食品栄養学実習」である。
「生物科学実習Ⅱ」は岡山理科大学と連携して行っている。内容は「ゲノムDNA抽出とDNAプロファイリング」、「尿タンパク半定量検査”」である。

③課題研究
 課題研究は、3つの研究グループから生徒が選んで取り組む形で行っている。 私が指導しているグループを例にすると、有尾類と酵母を研究材料にしている。
有尾類については、人工受精の方法の確立と孵化後の幼生の良好な飼育条件を見つけること、人工受精後の正常発生率を上げること、卵や精子の受精能力の保持期間を延ばすこと、幼生飼育の飼育密度、餌、共食いの影響などを調べて好ましい条件を見つけることを目指して研究している。
 酵母については、花や果実に比較的多く生息しているといわれる「花酵母」(野生の酵母)の分類に取り組んでいる。同じ酵母がいろいろな花に分布していることが予測されるので、花の種類と酵母の種類の相関を分析することによって、生態系の理解が深まると考えている。顕微鏡観察による形態、リボソームRNAをコードするDNAの塩基配列や電気泳動核型、発酵能力の有無などで分類しようとしている。

  • 投稿者 akiyama : 11:57

最近の記事

第4回高校生両生類サミットを開催  QRコードで申し込み
【交流会のスケジュール】 10:00~10:30 ZOOMへの接続の確認 10:30~10:50 開会行事・ビデオ上映(山脇有尾類研究所の紹介) 10:50~11:20 講義➊日本両棲類研究所所長・篠崎尚史氏 「両生類からの研究の展開」 11:20~11:35 発表① 岐阜県立大垣北高等学校 タイトル:岐阜県に生息する渓流性サンショウウオの生息適地モデルの作成と系統解析 11:35~11:45 …続きを見る
第4回 高校生両生類サミットWeb交流会
目的: ① 女子高校生の理系進学を推進・支援する。 ② ZOOMを使った高校生の科学研究の成果発表を通して、地域を超えた研究交流を行い、理系女子生徒間の友好・仲間意識を深め、全国の理系女子のネットワークの拡充を図る。 ③ 大学や研究所の研究者に、将来のロールモデルとしてメッセージを伝えていただく。 ④ 研究テーマを両生類に絞ることで、深い内容まで踏みこんだアドバイスを行い、高校生の研究レベルの底…続きを見る
2019年購入4年使用PC、Win10からWin11への無償アップデートに挑戦
Shuttleのベアボーンキットで組み立てた自作機がWin10のままだったので、OSをWin11にアップデートしました。機種は2019年11月9日購入のDH310V2(27,489円)です。4年間使用してきましたが、休憩していました。 Win11へのアップデートか可能かどうかを診断したら、「このPCは現在、Win11システムの要件を満たしていません」表示され、TPM2.0が有効になっている必要があ…続きを見る
中高校生の科学研究のためのオープンラボ「山脇有尾類研究所」開所
 中学生高校生が科学研究に取り組むための場所として「山脇有尾類研究所」を開設しました。開所式では、内閣府科学技術イノベーション推進事務局局長、慈恵会医科大学学長、国際医療福祉大学学長にお祝いの言葉をいただき、生徒の研究成果の発表、基礎生物学研究所所長の阿形清和先生に記念講演、研究施設の見学という内容で実施させていただきました。これから、有尾類を研究対象にした生命科学分野の研究と学校ビオトープの造成…続きを見る
山脇有尾類研究所開所式の案内
このたび山脇学園では、有尾類(イモリやサンショウウオなど両生綱有尾目の生物)に特化した研究機関として「山脇有尾類研究所」を設立しました。 両生類は、環境汚染に敏感なため「環境のカナリア」と呼ばれ、両生類の生息数の減少が地球規模での環境問題に警鐘を鳴らしています。さらに、イモリは再生医療の研究対象として世界的に注目を集めています。 本研究所を設立した目的は、有尾類に関する研究環境を中高生に提…続きを見る
山脇有尾類研究所の設立の経緯
 女子高校生にとって生物学は、物理学や化学に比べて、研究テーマを見つけやすく、将来どのような科学分野に研究に進む場合も入り口になると考え、学内に生命科学分野の研究室と動物飼育室を設置することをスタートラインにした。高校生の科学研究の基幹施設として立ち上げる。準備段階で、2022年3月まで南九州大学の理科教育研究室で使っていた研究機器を2022年4月に山脇学園に移管して、生命科学分野の研究ができる基…続きを見る

このページの先頭へ