【本校の状況】
本校は東京都港区赤坂という都市の中心部に立地しており、自然体験の機会を得にくい教育環境にあります。そこで2023年9月、希少生物の保護・保全を目的としたオープン・ラボ形式の研究所「山脇有尾類研究所」を設立しました。しかしながら、実際に野外で研究対象の動物を観察することは依然として困難です。
SSHでは、教育研究課題を「地球市民として行動すること」と掲げ、環境問題への理解を深める教育プログラムを構築しました。国内では鳥取大学と連携した環境学習を、海外ではフィリピン大学との国際研修を実施し、生徒に地球規模の視点を育むことを目的としています。
【フィリピン環境学習プログラムの概要】
フィリピン大学と連携して行う教育プログラムであり、環境保護・保全および生物多様性に関する講義、実習、フィールドワークから構成しました。本研修の目的は、「生物多様性のホットスポットの一つであるフィリピンにおいて環境問題を深く理解し、国境を越えて意見を発信できる科学技術者の卵を育成すること」です。
【目的と背景】
教育研究課題は「地球市民として行動し、科学技術者へのキャリア選択を促す女子生徒の育成拠点の形成」です。仮説として、「アジア諸国は生物多様性を体感できる地域であり、環境問題の理解には自然体験が不可欠である。また、多民族・多宗教国家が多いため異文化理解が可能であり、公用語として英語が使われていることから英語力の向上も期待できる。こうした教育内容をSDGsの視点と結びつけることで、より高い教育効果が得られる」と設定しています。
内容は、フィリピン大学ロスバニョス校(University of the Philippines Los Baños, UPLB)における研究者による講義・実習、附属施設の見学、さらに自然世界遺産であるパラワン島でのフィールドワークを含みます。
2024年8月には、鳥取大学と連携して教育研究林「蒜山の森」において、他校との交流を含む国内環境研修を実施しました。今回の海外研修は、その成果を踏まえ、さらに視野を世界に広げることを目的としています。