• ぼうぼうどりの生物教室
  • ぼうぼうどりの生物教室
  • ぼうぼうどりの生物教室
  • ぼうぼうどりの生物教室
  • ぼうぼうどりの生物教室
  • ぼうぼうどりの生物教室
  • ぼうぼうどりの生物教室
  • ぼうぼうどりの生物教室

1997性教育の課題 ⑤性教育とエイズ(性教育への影響)

1997年8月 1日

 最近おこった性教育に関わる出来事としては,エイズがある。エイズ感染予防対策の一環として,1992年10月に「AIDS正しい理解のために」という小冊子が,全国の高校生ひとりひとりに配布された。そして,エイズ教育が話題になり,教師向けの指導資料が配布されたり,研修会が設定されたりして,色々な機会にエイズ予防についての啓蒙活動が展開されるようになった。教師の中にも,熱心にエイズ教育に取り組む人たちが現れ始めた。例えば,1995年8月に千葉県で開催された日本生物教育会(JABE)第50回全国大会でも,大阪の高等学校教師グループが,生物授業で特別にエイズ教育のための時間を配当している実践例が報告された。発表ではエイズを感染予防の面からだけとらえるのではなく,生物学的(科学的)に理解するとともに患者や感染者の人権保護の面からも考えなければならない点が指摘された。
 性に関する問題については,生徒指導的・道徳的に扱われることが多く,性に関する教育(性教育)の位置づけができないまま,多くの教師から敬遠されてきた。しかし,最近のエイズの感染原因の多くが,性的接触であるということで,性についての基礎的な知識を扱う性教育そのものが見直され始め,性教育をめぐる状況が変化してきた。エイズという外的な要因によって,人間の性に関する教育をあらためて考える機会が提供されたのだ。
 最近になって,研修会などでエイズ教育の実践例が報告されるようになったが,内容的には,文化祭でのエイズを題材とした取り組みや授業計画など,エイズに限定した内容が多く,また発表者も限定されているのが現状である。エイズをきっかけにして,性教育の価値の重要さに気づき,「エイズ教育をするためにも,また人間性豊かな社会をつくっていくためにも,本当に性教育が必要なのだ」という認識が欲しい。
 また,エイズに関する教育に使用する資料に「正しく理解することによって,エイズに対する誤解や偏見を取り除くことができます」という記述を見かける。科学的な正しい理解をすれば,差別はなくなるという意味かもしれないが,そうではないと思う。「他人の身になって考える」という隣人愛が学校も含めた社会全体に欠けているという点が大きな問題だと思う。それは今までの教育の中で一番見落されていたことであり,資本主義の論理と個人主義が作った社会の問題である。エイズについては感染予防的な知識を学ぶだけでなく,背景としての社会,性文化についても見直し,考えていかなければならない。

  • 投稿者 akiyama : 08:05

最近の記事

スピノザのいう自然権とは
ます、スピノザの自然権を理解するために『神学・政治論』の第16章の2節から5節をまとめてみます。 第16章 2節 自然権とは「各個物の力の及ぶ範囲」である。 スピノザはまず、「自然の権利」とは何かを定義します。ここでいう自然権とは、道徳的に正しい権利や、人間社会の法律上の権利ではありません。自然の中に存在するすべての個物が、自分の本性に従って存在し、活動する力そのものを意味します。 たとえば、魚…続きを見る
『有尾類研究所という思想』観察から制度へ、そして自由へ
新年度を迎え、これまで文部科学省のSSH(スーパーサイエンスハイスクール)事業において、支援をいただきながら開発してきた教育プログラムの構築過程を、一冊の本にまとめようと思い立ちました。 今年で70歳になります。世間では「老害」と揶揄されることもある年齢かもしれませんが、来年3月で教育現場を去る私にとって、これは自身の歩みの集大成だと(いささか手前勝手ながら)考えています。 もっとも、引き受けて…続きを見る
恩原湖付近の水田風景(雪解け)
先月、恩原湖を訪問した際には、残雪によって水田は完全に覆われていました。そこから14日が経過し、雪はすっかり解けていましたが、現れた水田は休耕田となり、枯れた草に覆われた状態でした。5年前に最後に訪れたときには、春には水が張られていましたが、耕作されていた方が亡くなられた後、放棄されたようです。 この場所を訪れると、雉に出会ったり、水田の脇でシュレーゲルアオガエルが白い泡状の卵塊を産んでいたりと、…続きを見る
「高度経済成長の熱気」と共に育ち、成熟社会への転換点で社会へ出た世代
1956年に生まれ、1979年に大学を卒業した私は、「高度経済成長の熱気」とともに育ち、成熟社会への転換点で社会に出た世代である。1956年は、フランクルの『夜と霧』という「意味への意志」を問う名著が日本に紹介された年でもある。激動の25年を経て、「変わっていく時代に何を信じればよいのか」「教育は何のためにあるのか」、そして「これから残された人生をどのように生きるのか」という問いに向き合わざるを…続きを見る
no image
映画アニメ『ひゃくえむ』は2025年公開されたドラマで、100m走に取り組む選手の生きざまとして、その「才能」「努力」そして「何のために生きるのか」という根源的な問いが扱われていました。 物語の主人公は、生まれつき足が速く、100m走で常に1位を走り続けてきたトガシ。彼にとって「速さ」はアイデンティティそのものであり、周囲を見下す唯一の根拠でした。しかし、理論派で執念深い小宮という男との出会い、そ…続きを見る
山脇有尾類研究所事業報告(2025年度)
山脇有尾類研究所は、2024年度のSSH指定に向けた準備組織にとどまるものではなく、「女子校から世界の科学舞台へ」という大きなビジョンを具現化するための、科学教育の新たな拠点として機能している。本研究所は、高校生の科学研究を支える存在として、次の三つの役割を担っている。 第一に、「真正な科学研究」の実践の場としての役割である。従来の高校の授業や部活動の枠を越え、大学の研究室に匹敵する「オープンラ…続きを見る

このページの先頭へ