• ぼうぼうどりの生物教室
  • ぼうぼうどりの生物教室
  • ぼうぼうどりの生物教室
  • ぼうぼうどりの生物教室
  • ぼうぼうどりの生物教室
  • ぼうぼうどりの生物教室
  • ぼうぼうどりの生物教室
  • ぼうぼうどりの生物教室

考えるということ 池田晶子

2025年9月 3日

2017-IMG_2098.jpg

池田晶子の『14歳からの哲学・考えるための教科書』の古本を入手した。
1960年生まれ、私より4年年下。2007年に腎臓癌で亡くなられている。今回読んだ本は、中学生・高校生向けに書かれた本で、2002年に発行されている。彼女の代表作である。闘病生活の中で書かれた可能性がある。
この本で強調されているのは、「悩む」のではなく、「考えろ」というメッセージである。
「悩む」とは、感情に絡め取られている状態、出口がない堂々巡り、思考停止に近い状態であり、「考える」とは、感情から距離を置く知的営み、答えや理解に向かう行為、理性の働きである。
池田が強調しているのは、①「悩む」は感情の渦のなかで停滞すること、②「考える」は感情を一歩外から眺めることで初めて可能になること、人は「悩む」のではなく「考える」ことで初めて自由に生きられる、ということである。
以下の文章で始まる。

君はいま中学生だ。
どうだろう、生きているということは
素晴らしいと思っているだろうか。
それとも、つまらないと
思っているだろうか。
あるいは、どちらなんだか
よくかわからない、なんとなく
これからどうなるのかなと思っている

この本は、学校の勉強に追われる一方で、「生きるとは?」「死ぬとは?」「自由とは?」といった根源的な問いに自然と出会いはじめる年代向けに哲学の入門書として書かれてはいるが、同時に 日常の煩雑さの中で「生き方についての根源的な問い」を忘れかけ、再度、哲学的に考えたいと思った大人にもヒントをくれる本にもなっていると思う。

全然わからなくなりましたって言うなら、
君、大成功だよ。
わからなくなったからこそ、これから考えられるんだ。
悩まないで、考えてゆけるんだ、
多くはそんなところだろうか。

頭でわかるだけの知識、
借りものの知識なんかに、
どうして一人の人間の人生を
変えてしまうだけの力があるだろう。
なぜなら、「考える」とは
まさにその自分の人生、その謎を
考えることに他ならないからだ。
考えるということは、
答えを求めるということじゃないんだ。
考えるということは、
答えがないことを知って、
人が問そのものと化す
ということなんだ。
どうしてそうなると君は思う。
謎が存在するから、
人は考える、考え続けることに
なるんだ。

哲学史(ソクラテスやカントなど)を紹介するのではなく、「問い」をもつことに重点をおき、「自分で考え続けること」そのものを哲学と捉えることの大切さを主張している。

真理は、君がそれについ考えている
謎として真理は、
いいかい、他でもない、君自身なんだ。
君が、真理なんだ。
はっきりと思い出すために、しっかりと感じ、
そして、考えるんだ。

これは、池田は、考え続けることで、誰しもが自分の中に眠っている真理を思いだして欲しいとメッセージを送っている。


  • 投稿者 akiyama : 06:29

最近の記事

化学グラコン・審査委員長賞「2つの能力を野生酵母菌に求めて」
パソコン内のファイルを整理するためにあれこれと見返していたところ、『高校化学グランドコンテスト ドキュメンタリー 高校生・化学宣言 part 6』という本に掲載するために、生徒が当時書いた原稿が見つかりました。そこで今回、内容に大きく手を加えることはせず、簡単な校正を行ったうえで公開することにしました。 なお、ここに示す文章は、生徒自身が研究の歩みを振り返って書いた原稿です。そのため、書籍に掲載さ…続きを見る
デンマークでの人々の生き方と社会の仕組み
『第3の時間』井上陽子著を読んでいます。本書は、39歳でデンマークに移住した著者が、そこで出会った「短時間労働でありながら豊かな暮らしを実現する人々の生き方」と、それを支える社会の仕組みを紹介した一冊です。 著者が提示する「第3の時間」とは、時計で測られる「第1の時間(客観的・社会的時間)」でも、心の流れとして感じられる「第2の時間(主観的・心理的時間)」でもなく、「質としての時間」を指します。そ…続きを見る
マレーシアのツン・フセイン・オン大学と高大連携で実施する環境学習
山脇有尾類研究所が企画して、マレーシアのツン・フセイン・オン大学(UTHM)と連携協定を結び、文科省SSH指定校の山脇学園高等学校の生徒対象で、2026年8月16日から8月25日の10日間の日程で、環境学習を目的にした海外研修を実施することになりました。 …続きを見る
有尾類との出会いで学んだこと
雪花が散る林でオオイタサンショウウオの産卵を観察 2009年1月24日、九州はこの年一番の寒波に見舞われていた。大分県国東市での野外調査である。午前10時、山際を散策していると、林の中に水田跡の湿地があった。残雪が残る静かな林の中で、溜まりの水面がわずかに波打っているのが見えた。近寄ってみると、オオイタサンショウウオが群がり、まさに産卵の最中であった(写真)。 これまで両生類は、雨が降り気温が上昇…続きを見る
藤井風「帰ろう」、「満ちていく」、「prema」そして、「grace」
藤井風は、岡山県浅口郡里庄町から、岡山市東区にある岡山県立岡山城東高校(2015年度入学:音楽学類ピアノ専攻)に通っていた。私の息子(2004年度入学)も娘(2007年度入学)も、同校に毎日自転車で通学していた。藤井風もまた、里庄から東岡山まで、約50kmの道のりをJRで1時間かけて通っていたのだろう。 里庄は、教え子の息子が小学生の頃からサンショウウオの研究について相談を受けており、何度か訪れ…続きを見る
2027年度共学化。清心女子高校はSSH指定10年間で何を目指していたか。
清心女子高等学校を9年前に退職しました。今改めて東京の新たな学校で2024年度からSSH採択され、今度は、学校内に生徒の科学研究の場所を「研究所」という形で提供する試みを実践しています。 清心女子高校のSSH申請案の作成から、2006年度の採択以降2016年度までの10年間、SSH主任および生命科学コース主任として、何を目指して取り組んできたのかを、改めて振り返りたいと思います。 2025年10…続きを見る

このページの先頭へ