• ぼうぼうどりの生物教室
  • ぼうぼうどりの生物教室
  • ぼうぼうどりの生物教室
  • ぼうぼうどりの生物教室
  • ぼうぼうどりの生物教室
  • ぼうぼうどりの生物教室
  • ぼうぼうどりの生物教室
  • ぼうぼうどりの生物教室

フィリピンのサンロケ多目的ダムプロジェクトを見学

2026年3月11日

 ルソン島パンガシナン州を流れるアグノ川(Agno River)の上流に建設された、アジア最大級のロックフィルダム「サンロケ多目的ダム」を訪問しました。このプロジェクトは、単なるエネルギー開発や治水にとどまらず、「徹底した環境配慮」を基盤に進められてきた先進的な多目的ダムのモデルです。生徒たちは、現地の巨大なインフラ施設を間近に見学しながら、持続可能な社会づくりに向けたアプローチについて深く学びました。

IMG_0266_1980.jpg

IMG_0169_1980.jpg

1. サンロケダムの4つの主要な役割(多目的ダムの解説)
 現地スタッフの方からのレクチャーを受け、ダムの構造や多目的プロジェクトの全容について解説していただきました。サンロケダムには主に4つの重要な役割があります。

IMG_0111_1980.jpg

IMG_0107_1980.jpg

① 洪水調節(治水)
 台風の通り道であるフィリピンにおいて、下流の平野部を壊滅的な洪水被害から守る防波堤の役割を果たしています。
② クリーンエネルギーの創出(発電)
 最大345メガワットの電力を生み出す水力発電所が併設されており、化石燃料に頼らない再生可能エネルギーを首都マニラを含むルソン島全域へ供給しています。
③ 大規模な農業灌漑】
 ダムによって安定した水利用が可能になり、下流に広がる約70,000ヘクタールもの広大な水田や農地に通年で水を送り、地域の食糧生産を支えています。
④ 水質の改善・浄化
 上流の鉱山地域などから流出してくる有害な堆積物(シルト)をダム湖で適切にトラップ(沈殿)させ、下流へ安全で綺麗な水を流す工夫がなされています。

2. 生徒が見た、徹底された「環境問題への配慮」
 施設見学の中で特に印象的だったのは、開発に伴う環境負荷を最小限に抑え、地域の自然と共生するために多額の投資と技術が投入されている点です。

IMG_0243_1980.jpg

IMG_0248_1980.jpg

水質管理のセンシング技術
 下流の生態系を守るため、放流する水の温度や溶存酸素量、濁度などをリアルタイムでモニタリングする高度な管理体制を見学しました。

大規模な植林プロジェクト(水源林の保全)
 ダムの寿命を縮める「土砂の流入」を防ぐため、ダムの周囲や上流エリアでは大規模な植林が官民一体で進められています。森を守ることが、結果としてダムの機能を維持し、生物多様性を守ることにつながるという「森林と水」の強い連動性を学びました。

IMG_0130_1980.jpg

 大型インフラの開発は、かつては環境破壊と表裏一体に語られることが多くありました。しかし、今回のサンロケダムで目にしたのは、「科学技術(工学)によって環境問題を解決し、同時に人々の暮らしを豊かにする」という試みです。

  • 投稿者 akiyama : 19:23

最近の記事

数学者の岡潔の「情緒」についての思想
   岡潔は、「情緒が人間を創造的にする」ということを一貫して述べています。ここでいう情緒とは、単なる感情の動きではありません。美しいものに心を動かされること、自然の中で不思議さを感じること、人との出会いに感動すること、生命をいとおしいと思うこと。こうした経験が、人間の内部に「まだ言葉にならない世界」をつくります。その世界が成熟したとき、「なぜだろう」という問いが生まれます。岡潔は、この順序を非常…続きを見る
自由を可能にする教育(スピノザの哲学する自由から考える)
   スピノザは『神学・政治論』で、「哲学する自由(libertas philosophandi)」を抑圧することこそが、国家の平和を危うくすると論じている。この考えは、学校教育にも深く関わっている。国家が人々の思考を完全には管理できないように、学校もまた、生徒の心を完全に管理することはできない。むしろ、管理によって生徒の考える自由を奪おうとすると、教育そのものが内側から壊れていく。  スピノザ…続きを見る
映画『急に具合が悪くなる』を鑑賞
【映画『急に具合が悪くなる』のあらすじ】  パリ郊外の介護施設「自由の庭」の施設長マリー。彼女は、入居者を人間らしくケアしたいという理想を抱きつつも、人手不足やスタッフの無理解に悩む日々を送っていました。マリーは、コミュニケーション・ケア技法「ユマニチュード(Humanitude)」を介護施設に取り入れようとしていました。そんな彼女が出会ったのは、日本人演出家、森崎真理でした。真理が演出するのは…続きを見る
ルソーとアドラーから考える、主体性と共同体の教育
 ルソーの「一般意思」とアドラーの「共同体感覚」は、一見すると、政治哲学と個人心理学という異なる領域の概念です。しかし、どちらも「他者と共に生きる中で、個人の主体性と自由をどのように育てるか」という問いに深く関わっています。この二つの思想を手がかりにすると、現代の学校教育、とくに管理や一律化に傾きがちな教育を見直すための重要な視点が見えてきます。  ルソーは『エミール』の中で、子どもを育てる際に…続きを見る
有尾研という思想 ⑨学級通信「ぼうぼうどり」から授業「生命」
⑨ 学級通信「ぼうぼうどり」から授業「生命」 ― 生き方を問う教育の出発点 ― 1 関係から始まった教育  私の教育実践は、一九八三年に清心女子高校に赴任し、最初の年に高校一年生の担任を持ったところから始まった。赴任した学校は、伝統ある、しつけの厳しいカトリックの女子校という印象であった。  当時の高校現場には、いま振り返ると独特の緊張感が漂っていた。一九八〇年代は校内暴力といじめが社会問題化し…続きを見る
有尾類研究所という思想 ⑤研究倫理 
⑤ 研究倫理 生命を扱う研究を成立させる判断の技術 1 研究倫理とは何か ― 生命を扱う研究の出発点 ― 観察だけでは、科学は成立しない。自然を見つめ、そこに規則性を見いだし、問いを立てることは、科学の出発点である。しかし、生命科学においては、観察の対象が単なる物質ではなく、「生きているもの」であるという一点において、他の自然科学とは異なる重さをもつ。生き物は、研究者の好奇心を満たすために存在し…続きを見る

このページの先頭へ