以下は、友人が「秋山繁治の教育実践について」ネット上でAIに質問した結果です。
インターネット上には、生物学や教育に関する論文、助成金事業の報告書、雑誌原稿などが公開されているため、それらのデータを収集し、これまでの科学教育の取り組みを整理・要約したものだと理解しています。今後の科学教育の改革に、少しでも役立てていただければと考え、提供させていただきました。
今年70歳を迎え、現在は現役教員として日常的に生徒の前に立つ立場ではありませんが、1980年から高校教員として、2016年からは大学における理科教育に携わり、さらに2023年からは研究所所長として、継続的に科学教育に関わってきました。あわせて、2016年度以降10年間にわたる文部科学省SSH事業への関与も含まれています。
なお、これまでの個人の研究成果は、reserchmapで公開されています。また、文科省SSH事業への取り組みの資料も公開しています。
※ 2006年度から2015年度の申請から採択後の主任として運営したSSH事業の総括の論文集(清心中学校・清心女子高等学校紀要No.15)は、清心女子高校紀要として2022年3月31日に発行しております。学校に問い合わせていただいければ、冊子としての入手も可能です。
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持続的探究エコシステムの構築と2030年への展望序論
科学技術立国の基盤としてのスーパーサイエンスハイスクール事業文部科学省が2002年度に創設したスーパーサイエンスハイスクール(SSH)事業は、日本の教育改革における最も成功した施策の一つとして数えられる。将来の国際的な科学技術人材の育成を目的としたこの事業は、従来の知識偏重型教育から脱却し、生徒自らが課題を発見・解決する「探究活動」を学校教育の中核に据えることを目指してきた。
この四半世紀に及ぶSSHの歩みの中で、現場の指導者として、また研究者として常に最前線に立ち続け、独自の教育モデルを提示してきたのが秋山繁治氏である 。秋山氏は、広島大学において理学博士の学位を取得した生物学者でありながら、ノートルダム清心学園清心女子高等学校での教員生活を通じて、女子生徒の理系進学支援という困難な課題に正面から取り組んできた 。
同氏の実践は、単なる部活動の枠を超えた「科学課題研究」をカリキュラム化し、それを学校全体の文化へと昇華させるプロセスであった。
本レポートでは、秋山氏が歩んできたSSH事業の軌跡を詳細に分析し、現在取り組んでいる山脇学園での「オープン・ラボ」構想、さらには文部科学省が打ち出している2025年度以降の新たなSSH改革方針に基づき、日本の科学教育が向かうべき新たな展開を予測する。
秋山繁治氏によるSSH事業の振り返りと教育的成果
秋山氏のSSH活動の核心は、1989年に生物室に持ち込まれたカスミサンショウウオの卵嚢から始まった、34年以上に及ぶ有尾類(サンショウウオやイモリ)の研究にある 。この地道な観察と実験の継続が、後のSSH事業における「生命科学コース」の構築へと繋がった。
ノートルダム清心女子高等学校における「清心モデル」の確立
秋山氏がSSH主任を務めた期間(2006年度~2016年度)における最大の手腕は、女子高という環境下で「研究者を目指す女性」の基盤をいかに育成するかという点に集約される 。当時、女子生徒の理系進学、特に物理や工学、高度な生命科学分野への進出は依然としてハードルが高かった。秋山氏は、生徒自身が「未知の事象」に直面し、それを科学的な手続きによって解明していく成功体験を重視した。
期間指定区分・テーマ主な教育アプローチ
2006年 - 2011年第1期指定:生命科学コースの導入「なぜ?」を大切にする思考の作問、観察スキルの徹底 2011年 - 2016年第2期指定:女性研究者の基盤育成成果普及・地域連携、国際学会での英語発表の常態化 この時期の具体的な成果として、生徒によるオオイタサンショウウオの人工受精の成功や、完全飼育下での繁殖方法の開発が挙げられる 。これらは、プロの研究者でも困難とされる領域であり、高校生が数年にわたる継続研究(ロングターム・スタディ)を通じて達成した点は、日本の科学教育における特筆すべき事例である。秋山氏はこれらの成果を単なる「思い出」に留めず、査読付き論文や学会報告として学術的に定着させた 。この「研究者としての教員」という姿勢こそが、生徒に対する最高のキャリア教育となったのである。
国際化の進展と地球規模の視点
秋山氏のSSH活動は校内だけに留まらず、早い段階から国際的な連携を重視していた。2015年のJST報告書によれば、秋山氏が指導した生徒たちは、海外のノーベル賞受賞者との質疑応答において、極めてレベルの高い英語による議論を展開し、専門家を驚かせている 。連携国・地域連携機関活動内容の深度フィリピンフィリピン大学発展途上国の環境問題と科学技術の役割を学ぶ マレーシアツン・フセイン・オン大学 (UTHM)熱帯雨林の生物多様性調査と保全に関する共同研究 日本(南西諸島)屋久島・種子島フィールドワークによる環境動態の直接観察 これらの国際活動は、単なる語学研修ではなく、現地の生態系や社会問題に直接触れる「自然探究」として設計されていた。ボルネオ島での環境学習を通じ、女子生徒たちが生物多様性の喪失という地球規模の課題を自らの問題として捉え、解決への意欲を育んでいく過程が、秋山氏の論文によって実証されている 。
山脇学園における「山脇有尾類研究所」とオープン・ラボ構想
2023年、秋山氏は活動の拠点を山脇学園中学校高等学校に移し、これまでのSSH活動の集大成ともいえる「山脇有尾類研究所」を設立した 。これは、学校という組織の中に独立した「研究所」を設置するという、日本の教育界でも稀有な試みである。オープン・ラボの機能と教育的意義山脇有尾類研究所が掲げる「オープン・ラボ」構想は、大学の研究室レベルの設備を中高生に開放し、自律的な研究活動を支援するものである 。従来の「理科室」が授業のための空間であったのに対し、この研究所は「発見のための空間」として機能している。このオープン・ラボにおける具体的なプロジェクトは以下の5点に集約される
①高度な研究環境の提供: 顕微鏡や分析機器など、生命科学分野の先端研究に対応した設備の中高生への開放 。
②科学倫理・ガバナンスの構築: 「動物実験委員会」の設置による、倫理的・法的な研究手続きの教育 。
③学術ネットワークのハブ化: 大学や外部研究所の研究者と生徒が日常的に交流できる体制の構築 。
④校内ビオトープによる生態系再現: 観察対象である有尾類が生息できる環境を校内に作り、生物多様性を学ぶ場とする 。
⑤国際共同研修の企画: マレーシア等の海外拠点と連携した、地球規模の環境問題をテーマとする研修の実施 。
特に注目すべきは、動物実験委員会の設置である。秋山氏は「果たしてそれはやっていいのか」という倫理性(ELSI)を問う教育を重視しており、これは2024年4月から施行された学校法人山脇学園の「動物実験規程」にも反映されている 。中高生が自律的に研究を行うためには、自由な環境だけでなく、厳しい科学的規律が必要であることを示すこの取り組みは、日本のSSH事業における新たなスタンダードとなりつつある。
探究の日常化とサイエンス・アイランド山脇学園では、中学1年から「サイエンティスト」という必修科目を設け、全生徒が観察・実験・データ処理の基礎を学ぶカリキュラムを構築している 。秋山氏の指導する研究所は、この全学的な探究教育の「頂点(トップ層の育成)」を担っている。学年・段階プログラム名内容とスキルの獲得中学1・2年サイエンティスト基本的な実験操作、観察力、データ処理、グループディスカッション 中学3年探究基礎・ELSI先行研究の調査、データサイエンスの手法、倫理的・社会的な判断 高校サイエンスクラス(新設)分野別の高度な課題探究、学外発表、キャリアデザインの構築 「イングリッシュアイランド」と並び称される「サイエンスアイランド」の存在は、校内の物理的な空間が、生徒の「何が好きか」から始まる好奇心を引き出し、成功体験へと繋げるための強力な装置となっていることを示している 。
文部科学省によるSSH事業改革の最新動向(2025年~2027年以降)
SSH事業は、2025年度(令和7年度)から大きな転換期を迎える。文部科学省および科学技術振興機構(JST)は、これまでの成果をさらに深化させ、より高度な人材育成と地域への普及を目指した新制度の設計を進めている 。2027年度(令和9年度)本格実施を目指す新類型化文部科学省の検討によれば、2027年度からはSSH指定校の役割をより明確にするための「3つの類型」が導入される予定である 。
類型案名称(仮称)重点目標と活動内容類型
①地域・全学的探究全学的な探究活動の実施と、地域全体の理数教育レベルの底上げ 類型
②研究職・高度探究研究職志望者の育成、博士号取得を見据えた高度な探究、大学院進学支援 類型
③国際・リーディング国際共同研究、アドバンストプレイスメント(大学レベル教育)の導入
秋山氏が推進している「山脇有尾類研究所」の活動は、正にこの「類型②」および「類型③」の先取りと言える。特に、特定の生物種(有尾類)に特化した高度な研究や、マレーシアUTHM大学との学術交流協定(MOU)に基づく活動は、高校教育の枠を超え、大学教育との接続(高大連携)をより強固にするものである 。
支援期間の再編と「20年ルール」の影響新たな方針では、一つの学校に対する財政支援期間が最大20年に短縮される一方で、一定期間(第I期~第IV期相当)の支援を終えた学校は「認定枠」へと移行し、状況変化に応じた「加速支援(仮称)」を受けられる仕組みが検討されている 。これは、SSH事業が「国からの補助金頼み」の段階を終え、学校自らが自律的な運営基盤を確立することを求めていることを示唆している。
秋山氏が清心女子高等学校から山脇学園へと拠点を移し、新たに研究所を立ち上げたプロセスは、ある意味で「SSHの成果の移植と自律的な拡張」の好例である。長年のノウハウを持つベテラン指導者が、新たな学校環境においてゼロから研究基盤を構築し、そこを核として地域の科学教育を牽引していくモデルは、20年という支援期間の制約を克服する一つの解となるだろう。
今後必要とされる新たな展開と予測
秋山氏の実践と文部科学省の政策動向を掛け合わせることで、2025年度から2030年にかけての日本の科学教育における「新たな展開」を以下の4つの観点から予測する。
1. 「学校内研究所」の普及と社会実装
山脇有尾類研究所のような、特定の学術領域に特化した「校内研究所」が、トップ層のSSH校において増加すると予測される。これは、単なる「理科部」の延長ではなく、外部資金の導入や、バイオリソース(研究材料)の管理・提供、さらには地域社会への知見の還元を行う「拠点」としての機能を持つ。
秋山氏がオオイタサンショウウオの完全飼育に成功した事例に見られるように、学校が「絶滅危惧種の保全拠点」や「地域の生物多様性ハブ」としての役割を担うことは、生徒にとっての「社会貢献としての科学」を実感させる有力な手段となる 。
2. データサイエンスとELSIの完全統合
今後、生命科学のみならず、あらゆる探究活動においてデータサイエンスの手法が不可欠となる。山脇学園が導入している「データサイエンスの手法を活かした探究」は、2020年代後半の標準的なスタイルとなるだろう 。
同時に、AI技術やバイオテクノロジーの急速な進展に伴い、「その技術を社会に適用してよいか」という倫理的・法的・社会的課題(ELSI)への配慮が、科学教育の重要な柱となる。秋山氏が主導する動物実験委員会のガバナンスモデルは、今後、物理(量子技術)や情報(AI倫理)といった他分野にも波及し、高校生が「責任ある研究」を行うための基盤となると予測される 。
3. シームレスな才能育成(第0段階の導入)
文部科学省が掲げる「第0段階(裾野拡大)」の導入により、選抜なしで幅広く児童生徒に理数系への興味を抱かせる活動が強化される 。これに対し、秋山氏のような高度な研究ノウハウを持つ指導者は、地域の小中学校に対する「アウトリーチ(出前授業)」の質を劇的に向上させる役割を担う。
例えば、山脇学園で開発された「イモリの観察キット」や「ビオトープ管理マニュアル」が地域の小学校に提供され、そこでの気づきが中高の高度な研究へと繋がる「シームレスな才能育成のパイプライン」が形成されることが期待される 。
4. 性差を超えた「探究志向型教育」の普遍化
秋山氏が清心女子高等学校で長年培った「女子生徒のための理系進学支援」の知見は、2027年度の同校の共学化を一つの契機として、より普遍的な教育モデルへと進化するだろう 。
「何が好きか」という個人的な好奇心を出発点とし、丁寧な観察と徹底した対話を通じて研究を深化させていく秋山氏の手法は、性別を問わず、現代の生徒に最も必要とされる「主体的な学び」の核心を突いている。今後は、女子校特有のメソッドと思われていた「きめ細かな探究指導」が、共学校や男子校においても理数教育の質を向上させる鍵として再評価されると予測される。
結論
持続可能な科学教育エコシステムの実現に向けて秋山繁治氏のSSH事業における歩みは、日本の教育現場が「知識の習得」から「価値の創造」へとダイナミックに変容してきたプロセスそのものである。サンショウウオという小さな生命の観察から始まった同氏の挑戦は、今や「校内研究所」という制度的な枠組み、そして国際的な学術ネットワークへと結実している 。
今後、2025年度からの新制度下において、SSH事業は単なる「予算措置」ではなく、日本の科学技術力の源泉となる「自律的な教育エコシステム」への進化を求められている。秋山氏が山脇学園で実践している「オープン・ラボ」や「ELSI教育」、「高度な国際共同研究」は、文部科学省が目指す「類型②・③」のロールモデルであり、日本の未来を担う博士号取得者やイノベーターを輩出するための必須のインフラとなる。本レポートの予測が示す通り、2030年に向けた新たな展開は、学校という物理的な境界を超えた、地域、大学、産業界、そして海外との「開かれた連携」の中にある。秋山繁治氏という一人の先駆者が耕してきたこの沃野に、次世代の科学者たちが集い、新たな「知」のフロンティアを切り拓いていくことを期待してやまない。













