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ChatGPT Image 2025年4月25日 17_10_44.png

Facebookで情報発信を続けていると、反応の傾向がはっきりと見えてきます。
ペットや食事、イベントといった話題には多くの「いいね」が集まる一方で、自分の意見を交えた投稿になると、読まれる数は一気に減ります。YouTubeで自分の好きな音楽を紹介しても、反応はほとんどありません。

学校教育が将来の社会を形作る上で極めて重要であるにもかかわらず、教育改革について解説した記事を書いても、ほとんど反応が得られない。この状況を残念に思います。

一方で、大学入試の世界では、確実に変化が起きています。近年、「知識量」そのものよりも、「思考力」や「判断力」を問う問題が増えています。その背景には、文部科学省が進めてきたSSH事業の成果があります。
SSHを通して、「学習によって育成された能力を統合し、課題の発見・解決に取り組む力」、すなわち課題研究の有効性が検証されたことを踏まえ、2022年度施行の新学習指導要領は改訂されました。

しかしながら、現在の教育現場を見渡すと、その理念が十分に実現されているとは言い難い状況があります。思考力を培う探究活動としての科学研究を、学校現場で日常的に推進することは、依然として容易ではありません。
現在、教育界で大きな課題となっているのは、「生徒の研究を指導できる教員をどのように育成するか」という点です。

そこで本稿では、原因について、制度や理念の問題に焦点を当てるのではなく、教員側の意識に目を向け、その構造を分析する。

①「仕事が増える」ことへの恐怖
最も多く見られるタイプである。

【思考の内側】
✖ 課題研究=自分の業務負担の増加
✖ 事故やトラブルが起きた場合=自分の責任
✖ 新しい取り組み=理解・指導できないことによる評価低下のリスク

このタイプの教員は、科学研究そのものを否定しているわけではない。問題は、「研究に自分が巻き込まれること」を避けたいという点にある。つまり、判断の基準が「生徒の学び」ではなく、自分の生活防衛に置かれている。

【特徴】
「忙しい」「前例がない」「現実的ではない」といった、具体性に欠ける安全論・管理論を持ち出す傾向がある。

②「専門外への不安」が批判にすり替わる型
繁殖や発生、生理に関わる研究テーマを提示した際、排卵誘発や性ホルモンといった専門用語に過剰に反応するケースである。

【思考の内側】
✖ 専門的知識が十分でない
✖ 理解できないかもしれないという不安
✖ 不安の正体が分からないまま、「危険」「倫理的に問題がある」という評価に変換される

これは、無知が倫理を装う典型例である。

【特徴】
「生徒にそこまでさせる必要があるのか」という形で、研究テーマそのもの、さらには探究活動自体を否定する。

③「研究=エリートのもの」という無意識の階層意識
【思考の内側】
✖ 本格的な研究は大学や研究所の仕事
✖ 高校生は受験勉強に専念すればよい
✖ 失敗すれば学校として恥をかく

このタイプは、「高校生にそこまでやらせなくてもよい」という言葉で、生徒の可能性の芽を摘んでしまう。

【特徴】
生徒の成長を本気で信じていない。同時に、指導者としての自己効力感が低い場合が多い。

④「責任を取りたくない」という管理回避
すべての型に共通する、最も本質的な問題である。

【思考の内側】
✖ 事故が起きたら誰が責任を取るのか
✖ 保護者に説明できるのか
✖ 管理職や教育委員会から指摘されないか

【特徴】
「やらないことが最も安全」という判断に行き着く。これは教育的判断ではなく、官僚的思考である。教育を「現状維持の業務」と捉え、科学研究を「トラブルの種」と見なしている。

⑤ 高い専門性をもつ教員への攻撃
【思考の内側】
✖ 嫉妬や劣等感により、相対的に自分の評価が下がる不安
✖ 高い専門性をもつ教員の存在が、自分の指導を難しくする
✖ 生徒と専門知識をもとに伴走する指導への違和感

【特徴】
判断の中心が常に自分の利害にある。
自分にとって都合が悪いため、研究そのものを否定する方向に傾く。

これらの意識に共通しているのは、「生徒がどこまで成長できるか」ではなく、「自分がどれだけリスクを負わずに済むか」を基準にしている点である。科学研究の実践が進まない最大の要因は、制度やカリキュラム以前に、教員自身の内面にある恐れと回避行動にある。

  • 投稿者 akiyama : 08:18
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おわりに

2025年12月18日

おわりに
問いはこれからも続く 全9回にわたる回想録を書き終えたいま、私の中に残っているのは、達成感よりも、静かな確認のような感覚です。 ――自分は、問いから逃げずに歩いてきただろうか。 その問いに対して、「少なくとも背を向け続けてはいなかった」とは言える気がしています。 教育者として、何を残せたのか。 この問いに、明確な答えはありません。 知識や制度、肩書きは、時間とともに更新され、忘れられていきます。…続きを見る
第9回(最終回) 置かれた場所で、問い続ける
教育者として、何を残せたのか 2016年11月、私は1983年から勤務してきたカトリック系中高一貫女子校を退職した。 その翌月、長く学園を導いてこられた理事長、シスター渡辺和子が逝去された。 一つの時代が、静かに幕を閉じた。 そう感じた。 シスター渡辺の著書『置かれた場所で咲きなさい』は、多くの人に読まれた。その言葉に救われた人も少なくないだろう。だが、私はこの言葉を、単なる励ましとしてではなく…続きを見る
第8回 理系女子を育てるということ
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第7回 女子校は、なぜ必要なのか
リーダーシップが育つ場として 「今の時代に、女子校は必要なのでしょうか」 1990年代半ば以降、学校関係者の間で、何度となく耳にした問いである。少子化が進み、共学化や校名変更、コース制導入といった改革が次々に行われる中で、女子校は「時代遅れの存在」と見なされることも少なくなかった。 実際、岡山県内の私立高校24校のうち、女子校は2校のみとなった。全国的に見ても、女子校はもはや少数派である。男女共…続きを見る
第6回 「生命」という授業をつくった理由
答えを教えない授業の試み 「その授業では、何を教えるのですか」 授業「生命」を立ち上げたとき、何度もそう聞かれた。 そのたびに、私は少し言葉に詰まった。なぜなら、「これを教える」と一言で言える内容ではなかったからである。 1990年代、日本社会は大きな転換期にあった。リプロダクティブ・ヘルス/ライツが国際的に議論され、女性の生き方や人権をめぐる考え方が、ゆっくりと、しかし確実に変わり始めていた。…続きを見る
第5回 翻訳という授業
高校生と一緒に、性を語れる場をつくった日々 「授業」と聞いて、多くの人が思い浮かべるのは、教室で教師が前に立ち、知識を説明する光景だろう。 しかし、私が最も強く「これは教育だった」と実感している時間の一つは、教科書も黒板も使わず、生徒と机を囲んで行った翻訳作業の中にある。 1990年代初め、私は担任していた生徒たちと一緒に、エイズに関する英語の書籍を翻訳するという取り組みを行った。大学受験を控え…続きを見る
第4回 エイズの問題が社会に突きつけたもの
正しい知識だけでは、差別はなくならない エイズという言葉が、突然、社会に重くのしかかってきた時代があった。 テレビや新聞では連日のようにエイズが取り上げられ、「正しい知識を持ちましょう」「恐れる必要はありません」という言葉が繰り返されていた。学校現場でも、エイズは「教えるべきテーマ」として扱われるようになり、性教育の中で取り上げることが半ば当然になっていった。 私自身も、エイズについて学び、生徒…続きを見る
第3回 性教育との出会いは、偶然だった
管理のための教育から、「生き方」を問う教育へ 私が性教育に本格的に関わるようになったのは、強い問題意識があったからではない。正直に言えば、それは偶然だった。 赴任して間もない頃、私は高校1年生の担任をしながら、学年の性教育担当を任されることになった。校内にはすでに性教育委員会という組織があり、役割としては、その一員になるという程度の認識だった。当時の私にとって、性教育は「特別な教育」ではなく、ど…続きを見る
第2回 学級通信「ぼうぼうどり」が教えてくれたこと
読ませるのではなく、待つという教育 学級通信を書き続けることが、こんなにも時間のかかる営みだとは、正直、思っていなかった。 第1回の通信を出してからも、教室の雰囲気が劇的に変わったわけではない。相変わらず、生徒たちは静かで、距離はあった。感想が返ってくることもほとんどなく、手応えのない日々が続いた。「本当に意味があるのだろうか」。そんな思いが頭をよぎらなかったわけではない。 それでも、私は書き続…続きを見る
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若い教師だった私が、最初にぶつかった壁 教室に立つということは、思っていた以上に、孤独な仕事だった。 1983年、私はカトリック系の中高一貫女子校に赴任した。期待と緊張を胸に、教室の前に立った日のことは、今でもはっきりと覚えている。黒板、机、整然と並ぶ生徒たち。その空間は、確かに「学校」だったが、そこにいる私は、まだ教師になりきれていなかった。 若かった私は、「正しいことを教えれば伝わる」「誠実…続きを見る
はじめに
問いから始まった教室の記憶 この文章は、特別な成功談でも、教育法の解説でもありません。 30年以上、学校という場所で生徒と向き合ってきた、一人の教育者が、教室で感じ、考え、迷い続けてきた記憶の断片を綴ったものです。 私が教壇に立ち始めた1980年代、日本の学校は「正しさ」を教える場であると同時に、「問題を起こさない」ことが強く求められる場でもありました。教師は管理者であり、指導者であり、生徒を「…続きを見る
フィリピン大学と高大連携で実施する地球環境を考える海外研修
山脇有尾類研究所が企画して、フィリピン大学と連携して、文科省SSH指定校の山脇学園高等学校の生徒対象で、2026年3月10日から3月16日の8日間の日程で、地球環境を考える海外研修を実施することになりました。 …続きを見る
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