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2027年3月13日(土)〜3月20日(土)の8日間、フィリピン大学ロスバニョス校(UPLB)の College of Forestry and Natural Resources(CFNR)/Training Center for Tropical Resources and Ecosystems Sustainability(TREES) にお協力していただいて、日本の高校生とフィリピンの高校生による「学術・文化交流+熱帯陸域・海洋生態系のフィールド研修」を計画しました。正式名称は Japanese Academic and Cultural Exchange Program in the Philippines 。
今回の研修が単なるフィリピン大学ロスバニョス校(UPLB)訪問ではなく、①UPLB・マキリン山での熱帯森林生態系、②ミンドロ島・アポリーフでの海洋生態系、③フィリピン高校生との国際交流を一つのプログラム、④SSH的には、日本の他のSSH校をも巻き込んだ環境教育のプログラムになっていることです。

1.研修の中心テーマ
フィリピンを世界17か国の「メガダイバーシティ国家」の一つと位置づけ、特にMount Makiling Forest Reserve(MMFR:マキリン山森林保護区)、Apo Reef Natural Park(ARNP:アポリーフ自然公園)という二つのASEAN Heritage Parkを主要な研修地としています。前者は熱帯陸域生態系、後者は熱帯海洋生態系を代表し、対照的な二つの環境を実地で比較する試みです。
したがって、この研修は、「フィリピンの自然を見学する」というより、生物多様性 → 保全 → 保護区管理 → 環境ガバナンス → 持続可能な資源利用まで学ぶ、かなり体系的な環境教育プログラムになっています。
さらに、日本とフィリピンの生徒が一緒に学ぶことによって、自然科学の学習と国際交流を重ね合わせる構成で、講義、フィールドワーク、保護区管理者との対話を通じ、ASEAN Heritage Parksが生物多様性保全や持続可能な発展に果たす意味を理解することが目的とされています。

2.研修目標
総合目標は、ASEAN Heritage Sitesにおける陸域・海洋保護区の生物多様性保全について、体験的に学習することです。具体的には、熱帯アジアに存在する異なる生態系を知り、陸域・海洋生態系における保全方法を理解し、フィリピンの生物多様性と地域全体への貢献について学ぶことが挙げられています。同時に、ASEAN Heritage Siteでのフィールド学習を通じて環境に対する責任意識を育て、日本・フィリピンの生徒間の協働と文化交流を促進することも目指しています。
これは生徒にとって、単に「海外で生物を見る」のではなく、自然科学・環境政策・文化・国際協働を横断して学ぶ研修となります。

3.期待される成果
研修後には、
① フィリピンの生物多様性について理解と関心を深める
② 保護区およびASEAN Heritage Siteの管理・運営を理解する
③ 陸域生態系と海洋生態系の生態学的重要性を認識する
④ 地域住民、政府、ASEAN地域協力が長期的自然保全に果たす役割を理解する
⑤ 国際交流と環境意識を高める
ことが期待されています。特に「地域社会・政府・国際協力」という視点が含まれているところが特徴的です。生物学的観察だけでなく、自然を誰が、どのような制度で守っているのかまで扱っています。

4.教育方法
教育方法としては、講義と野外体験を統合するexperiential learning(体験学習)を明確に掲げています。まず出発前オリエンテーションで、研修目的、日程、安全管理、環境倫理、保護区内での行動規範などを確認します。その後、TREES Training Centerで、マキリン山森林保護区、アポリーフ自然公園、ASEAN Heritage Park制度、生物多様性保全、保護区管理について事前講義を受けます。
そのうえでMMFRおよびARNPを訪問し、自然観察、自然・文化資源の解説、生態系サービス、生物多様性、保全活動、管理方法について現地で学びます。アポリーフでの活動については、Protected Area Management Officeの規則・指示・承認された日程に従うことになります。
さらに、大学教員、専門家、フィリピン環境天然資源省(DENR)、保護区管理担当者などとの対話が予定されています。保護区のガバナンス、現在の保全活動、管理上の課題について実務者から直接学べることになっています。研修中には振り返りの時間も設定され、生徒が現地観察で「生物多様性保全」「持続可能な資源管理」「environmental stewardship」という広い概念に結びつけてくれることを期待しています。

5.現地フィリピンの高校生との交流
今回、フィリピン側から、University of the Philippines Rural High School(UPRHS)、Philippine Science High School(PSHS)、Laguna Science High School(LSHS)の選抜された生徒が参加し、高校生同士による共同フィールド研修で日本側生徒と一緒に活動することになっています。

6.全体を構造化すると
この研修は三段階になっています。
① UPLB・マキリン山では、熱帯森林、生物多様性、森林保護区管理を学ぶ。
② その後、サブラヤン・アポリーフでは、地域文化、陸水環境、海洋生態系、サンゴ礁、海洋保護区管理を学ぶ。
③ 最後に再び、UPLBへ戻り、日本・フィリピンの高校生が研修成果を共有し、国際交流を行う。

したがって、大学で学ぶ → 森林で観察する → 地域社会を知る → 海洋で観察する → 大学へ戻って考察・交流するという循環型の研修になっています。
単発の「フィリピン研修」のではなく、学校で生まれた問いを、大学・海外の高校・研究者・行政・自然保護地域へ接続し、現地観察と対話によって問いを深化させ、再び学校へ持ち帰る教育プログラムと位置づけられます。
なお、全体の日程は3月13〜20日の8日間ですが、到着日と帰国日を除いた実質的な教育プログラムは「6日間」で、ルソン島南部のUPLB→ミンドロ島→アポリーフというかなり広域のフィールド研修になっています。

7.清心女子・山脇学園の課題研究との接続
プログラム自体は課題研究型の海外研修に非常に発展させやすいものになっています。特に、森林と海洋における生物多様性の比較、保護区における人間活動と自然保護の関係、熱帯森林・河川・海洋の生態系の連続性、日本とフィリピンの自然保護制度の比較、
地域住民と自然保護の関係、ASEAN Heritage Parkの仕組み、環境教育と若者の役割などを、出発前から各生徒が「問い」として持って参加することができます。探究活動につながる「問いを持って現地へ行き、観察によって問いを変化・深化させる」型の海外研修に敵化させたプログラムになっています。

8.安全管理・環境倫理も明記されている
事前研修の段階で、safety protocols、environmental ethics、responsible conduct within protected areasを扱うことになっています。
さらにアポリーフでの活動はDENRやProtected Area Management Officeの管理下で行うとされているため、自由行動型ではなく、大学・行政・保護区管理組織が関与する正式な教育プログラムになっています。
研修記録についても、大学側が、出席、写真、動画、activity report、evaluation form、reflection outputを用いて記録・評価することになっています。
SSH事業として事後評価を行う場合にも使いやすい設計になっています。

9.この教育プログラムの特徴
最も重要なのは、「大学との連携」そのものよりも、大学がハブとなって、高校・研究者・行政・保護区・地域社会・自然環境を接続していることです。UPLBという大学を拠点として、日本の高校生、フィリピンの高校生、UPLB研究者
DENR、保護区管理者、森林保護区、海洋保護区、地域社会が一つの教育プログラムの中でつながっています。これは、SSHで構想しているハブ型オープンラボ教育の国際版として非常に説明できる研修になっています。

  • 投稿者 akiyama : 11:46
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